Q&A594 41歳、胚移植合計9個不成功 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Q 41歳、胚移植合計9個不成功
移植した胚は、胚盤胞4個(4AB、3AB、4BC、4BC)と初期胚5個(7~9細胞のG1)ですが、一度も着床したことがありません。hCGの値はゼロです。8個は凍結胚、1個新鮮胚で、2個移植もあります。主治医からは、体外受精が合わないから、腹腔鏡をやって自然妊娠を目指したほうが良いと言われました。子宮鏡も卵管造影でも異常はなく、不育の基本的な血液検査でも問題なしです。移植時の子宮内膜は8~10mmあり、医師からは問題ないと言われています。そのわりに最近は特に生理の量が少なく1日~2日で終わるので、気になっています。

2014.12.8「☆慢性子宮内膜炎と着床障害」の記事を読みました。慢性子宮内膜炎の確定診断は細胞の病理検査が必要のようですが、子宮鏡でも内膜炎の疑いがあることが分かりますか。子宮鏡で問題なしの診断を受けている場合は、慢性子宮内膜炎の疑いはないといえますか。全く着床しないので、慢性子宮内膜炎の記事を読んで私もこれに当たるのではと思ったのですが、腹腔鏡で子宮内膜炎が見つかったりということもありますか。腹腔鏡までやる必要があるのかと悩んでいて、着床に関係する問題が見つかるならやりたいと思ったり、全ては年齢からくる卵の質なのかと思うと腹腔鏡までやる必要もないかと思ったりで、決断できずにいます。

A 9個の胚が全て異常であるとは考えにくいですから、何らかの原因があると考えます。不育症検査や慢性子宮内膜炎の検査を行い、改善索を施して移植してもなお結果が出ない場合には、着床の窓がズレている可能性があります。

なお、子宮内膜炎の確定診断には細胞の病理検査が必要です。子宮鏡だけでは不十分だと思います。腹腔鏡は子宮の外側を見ることしかできませんので、子宮の内側の変化である子宮内膜炎の診断はできません。