Q&A246 AMH < 0.10 ng/mL | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 37歳、AMH < 0.10 ng/mL
D3での採血の結果、FSHが12.5、E2が76でした。E2が若干高く、内診の結果、両卵巣が2~3センチほどに腫れていたので、完全自然周期となりました。D10、卵胞は16ミリに育っていましたが、E2が下がって26と低く、採卵キャンセルになりました。

Q1 E2が低いと何故採卵できないのでしょうか。
Q2 E2が下がった理由はどのようなことが考えられますか。高プロラクチン血症は関係ありますか。
Q3 このような場合、しばらく様子を見たらE2が上がり、採卵可能となることはありますか。
Q4 以前も完全自然周期の際にD10でE2が下がって採卵キャンセルとなったことがあるのですが、私は完全自然周期は向いていないということなのでしょうか。
Q5 上記とは関係ないのですが、先生は移植前後にタイミングを取ることを推奨されていますが、SEET法を行う場合でもタイミングを取った方が良いのでしょうか。

A 

A1 卵胞の内側で作られるホルモンがE2であり、ひとつの卵胞から約200程度出ると良いと考えられています(この数値は刺激法で異なりますので絶対的なものではありません)。卵胞の内側の細胞は卵子を養っている細胞でもあります。E2があまりに低い場合(E2<50)は、卵子がないのではないかという判断になります。
A2 AMHが低い場合には、卵胞発育がイレギュラーなパターンを示すことが多くなります。どの程度の高プロラクチン血症かはわかりませんが、その関与はさほどではないように思います。
A3 あります。別の卵胞が育つ場合があるからです。生理周期と関係なく卵胞は毎日育とうとしていますので、育ってきた時が採卵の時期です。生理中の採卵もあり得ます。
A4 A2の通り、AMHが低い場合には、卵胞発育がイレギュラーなパターンを示すことが多くなります。完全自然周期が向いていないのではなく、いつ育つか見極めが難しいということです。
A5 妊娠率増加に与えるSEET法(培養液中の着床促進物質)と性交(精液中の着床促進物質)の作用機序が異なりますので、併用した方がよいと思います。