Q&A54 34歳、OHSSリスク | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 34歳、体外受精にステップアップを決めました。私の通うクリニックは、Long法、Short法の刺激周期の他に、注射の本数を少なくして5~8個程度の採卵を目指すマイルド刺激が選べます。人工授精に使用したhMGなどの反応も悪くないことから、高刺激だとたくさんの数の採卵が見込めるけれどOHSSになる可能性が高いと言われました。担当医はどちらかというと高刺激を勧めているのですが、やはり薬に反応するうちは高刺激で採卵した方がいいのでしょうか。OHSSは2週間ほどで治まるようなのですが、たくさん卵を育てすぎると、ひとつひとつの質が落ちたりしないか不安に思っております。

A マイルド刺激で5~8個程度の採卵が可能であれば、それもありだと思います。
しかし、高刺激(通常の刺激)でも、全胚凍結し、カバサールを使用すれば、重症OHSSを回避することが多くの場合に可能です(2013.1.14「☆OHSSの予防」を参照してください)。
卵子は毎日育とうとしていますが、それはランダムに選ばれていると考えられます。たくさん育ったからといって悪くなるのではありません。お話にある刺激周期でもマイルド刺激でもはたまた自然周期でも一定の確率で良い卵子と悪い卵子が混在します。ですから、一般的に、刺激周期1回分がマイルド刺激の2~3回分、低刺激の3~4回分、自然周期の6~7回分に相当します。刺激周期で早く採卵するのがよいか、自然周期で年月をかけて採卵するのがよいか、どちらを選ばれるかはご夫婦の考え方次第だと思いますが、卵子の老化現象を考慮すれば早く採卵する方がよいと私は思っています。(2013.6.17「☆卵巣刺激開始はいつがよい?」を参照してください)。