今日は経営法務のR1第9問の著作権に関する問題について解説します。

 

R1 経営法務 第9問
以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、X株式会社の代表取締役α氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
α氏:「今度、人気マンガ家のYさんに、当社の企業キャラクターを創ってもらうことになりました。将来的には着ぐるみやアニメを作って活用する予定です。Yさんからその著作権の譲渡を受けるために、次の契約書を作ってみたのですがどうでしょうか。」

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Y(以下「甲」という。)とX株式会社(以下「乙」という。)とは、キャラクターの絵柄作成業務の委託に関し、以下のとおり契約を締結する。
第1条 (委託)
乙は、甲に対し、以下をテーマとするキャラクターの絵柄(以下「本著作物」という。)の作成を委託し、甲はこれを受託した。
テーマ:乙が広告に使用するマスコットキャラクター
第2条 (納入)
⑴ 甲は乙に対し、本著作物をJPEGデータの形式により、2019年10月末日までに納入する。
⑵ 乙は、前項の納入を受けた後速やかに納入物を検査し、納入物が契約内容に適合しない場合や乙の企画意図に合致しない場合はその旨甲に通知し、当該通知を受けた甲は速やかに乙の指示に従った対応をする。
第3条 (著作権の帰属)
本著作物の著作権は、対価の完済により乙に移転する。
第4条 (著作者人格権の帰属)
本著作物の著作者人格権は、対価の完済により乙に移転する。
第5条 (保証)
甲は、乙に対し、本著作物が第三者の著作権を侵害しないものであることを保証する。
第6条 (対価)
乙は甲に対し、本著作物の著作権譲渡の対価、その他本契約に基づく一切の対価として、金1,500,000円(消費税別途)を、2019年11月末日までに支払う。
本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各自1通を保持する。

2019 年  月  日
甲  Y     印
乙  X株式会社代表取締役 α 印

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あなた:「そうですね。まず第3条については[ A ]、検討が必要です。また、第4条については[ B ]。詳細は弁護士に確認した方がよいと思いますので、もしよろしければ、著作権に詳しい弁護士を紹介しますよ。」
α氏:「著作権の契約はなかなか難しいですね。よろしくお願いします。」

(設問1)
会話の中の空欄Aに入る記述として、最も適切なものはどれか。
なお、著作権法の第21条、第27条及び第28条において規定される権利は次のとおりである。
第21条:複製権
第27条:翻訳、翻案等する権利
第28条:二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

ア 著作権は著作者の一身に専属し、譲渡することができませんから
イ 著作権法第 21 条から第 28 条の権利は、そもそも対価を支払った者に自動的に移転しますから
ウ 著作権法第 21 条から第 28 条の全ての権利を特掲しないと、特掲されなかった権利は譲渡した者に留保されたと推定されますから
エ 著作権法第 27 条と第 28 条の権利は特掲しないと、これらの権利は譲渡した者に留保されたと推定されますから

(設問2)
会話の中の空欄Bに入る記述として、最も適切なものはどれか。
ア 著作者人格権は移転できますが、職務著作の場合に限られますから修正が必要です
イ 著作者人格権は移転できますが、著作者が法人である場合に限られますから修正が必要です
ウ 著作者人格権は移転できませんが、特約があれば移転についてはオーバーライドすることができる任意規定ですから、このままでよいでしょう
エ 著作者人格権は移転できませんし、特約があっても移転についてはオーバーライドできない強行規定ですから、修正が必要です

 

著作権に関する問題です。

問題文は長いですが、内容は知っているか知らないかが問われている知識問題です。

それでは早速各設問を見ていきましょう。

 

【設問1】

契約書の第3条の内容について問われています。

契約書の第3条は「本著作物の著作権は、対価の完済により乙に移転する。」というものでした。

 

まとめシートでも解説しましたが、著作権を譲渡するだけ場合、全ての権利が譲渡されるわけではなく、翻訳権・翻案権等や二次的著作物の利用に関する権利、著作者人格権は著作者に残ります。

 

これを踏まえて選択肢を見てみると、著作権法第 27 条(翻訳、翻案等する権利)と第 28 条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)の権利は特掲しないと、これらの権利は譲渡した者に留保されたと推定されるとしている、選択肢エが正解となります。

 

【設問2】

契約書の第4条の内容について問われています。

契約書の第4条は「本著作物の著作者人格権は、対価の完済により乙に移転する。」というものでした。

 

著作者人格権とは、公表権や氏名表示権、同一性保持権などの著作者本人と切り離せず、譲渡したり相続したりすることができない権利です。

著作者人格権は移転できず、法律の規定を契約で変える「オーバーライド」もできません。

 

これを踏まえて選択肢を見てみると、著作者人格権は移転できませんし、特約があっても移転についてはオーバーライドできない強行規定であると解説している、選択肢エが正解となります。

 

以上から正解は設問1はエ、設問2もエとなります。

 

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