友が死んだ


40代のころ一緒に過ごした友


旅行や演奏会や食事や飲み会


ほぼ毎日逢っていた友


優しくて


おしゃれで


生涯独身だった友


娘が亡くなって


娘の事を聞かれるのが辛くて


なんとなく疎遠になっていたが


心の隅には


いつかまた逢いにいこう


また一緒に過ごしたいと


そんな想いがあった


「いつかまた」は


もう来ない


私達の年齢になれば


「いつかまた」なんて


想ってはいけない


今、この時だけを


大切に生きねば、ね


空に向かい


「ありがとう


あちらで待っててね」


眼を閉じれば


優しい笑顔が浮かぶ


本当にいい人だった



私はまた


修羅の現世を生きる


取り残されて


惨めに生きる


ただ


終わりを待つためだけに


今日を生きる


悔いなきように


今を生きる