昨年の八月二日、39歳の娘が飛び降り自殺した。私に「ちょっと散歩に行って来る」
と言い残して… 薄曇りの夏の午後、部屋着に日傘だけ持って…遺書も残さず、顔に傷ひとつ付けず頭から飛んだ。救急車の中で心臓マッサージ受けながら、でも私が触った足首はまだ温かかった。私は娘と二人暮らし。平日の昼間妹にも父にも連絡は取れずICUの待合室で娘の死を宣告された。遠く北海道で働いている次女に電話で泣きながら「ねぇちゃんが死んだ」と伝えた。次女も泣いた。
15年間統合失調症に苦しんだ果ての自死だった。
葬儀はしなかった。身内だけで棺にお気に入りのぬいぐるみと花いっぱいを入れて火葬した。数少ない友人に遺品を分けひっそりと送った。
それからの数日は悔しくて、悲しくて、諦めきれなくて、自分を責めて泣いて叫んで神を恨んで酒を呑み娘の骨をかじった。
我が子を死なせた親は被害者であり、我が子を救えなかった加害者でもあるのだ…
わけわからぬままに三週間が過ぎ、職場復帰した頃今度は私の肺癌が見つかった。
本音を言うと、これでやっと娘のところへ逝ける、と思ったが… 次女、骨髄腫末期の父を残し今死ぬ訳にはいかず、左肺上葉の全摘手術してもうすぐ三ヶ月。心療内科にも三週間入院し今も心はずっと泣き叫んでいる!
娘にあいたい‼あいたい‼闇のなかを生きている。辛い………いつまでも続くこの闇は何かの罰なのか………………………