「÷10」の計算を考えていきます。教科書では,
「1ふくろにあめが10個入っています。あめ1個のねだんは何円ですか。」
という問題で,1袋の値段をいろいろと変えていくパターンです。私はこの問題は「÷10の導入問題としては不適当」だと思っています。
 この問題は,単価を求めるので「等分除」の問題です。もし1袋が80円だとしたら,その80円を10人に均等に配る操作になります。その場合「1円玉80枚を10人に配る」ことになります。しかし80円というのは普通「10円玉8枚」と捉えるのが普通でしょう。これでは「十進位取り記数法のよさ」が生きてきません。その原因が「等分除」なのです。
 そこで私は「包含除」で導入しています。口頭で
「たこ焼きが30個あります。」
と言ってその絵を描かせます。みんな○を30個一生懸命かきました。次に,
「それを10個ずつ箱に入れます。」
を絵に表します。そして「何箱できましたか。」という答えを求めます。
 前回の実践(「その様子はこちら

 

 

」)の場合,たこ焼きの絵が多様に出てきました。ところが今回は,何度やっても子どもたちの絵は「○」から進化していきません。こんな場合,教師から工夫を提示してしまうと子どもたちは引いてしまいます。思案しながら子どもたちの絵を見ていると,10個で「改行」している児童がかなりいます。それを利用することにしました。
 箱に入れるのは10個ときまっているので,その10で一区切りが付くように並べておけば,箱に入れるのが簡単,というわけです。この活動を「30÷10」「60÷10」「100÷10」まで続けました。そして,
「次は,絵を描かずにやります。130÷10です。」
と投げかけました。こうすると,位ごとに10で割るアイデアが出てきます。位ごとの計算は黒板上に残っています。この後「240÷10」まで進めました。
 ここまでの活動を振り返ります。全て10で割っています。その計算結果を眺めてみると,元々あった「位ごとの数字」が1つずつ移動していることに気づきます。このことを位取り板で確認し,右端の0が「消えていく」ことも押さえ,一般化しました。
 包含除で計算方法を一般化してしまった後に,教科書と同じ「等分除」の場面を提示し,式と答えを考えていきます。直感的に値段は分かりますので,それを式にしていきます。□を使った式なども出てきました。
 その後は教科書の練習題をして終了です。『ノートにしゃべろう』は,×10と÷10が同じなのか違うのかを判断させます。ほとんどの児童が「違う」と答えます。これが子どもの心理で,些細な違いでも強調したがる者です。そんな中に,「0の数だけ」「数字が位を移動するだけ」など,本質的な共通点を指摘できる児童も出てきました。

 

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