生徒たちは3年間、日本で働く。
その間、日本には帰らない。
家族とは直接会えなくなる。
家族との結束の強い彼らにとっては大変なことだ。
今、受け持っているクラスは12月に日本に行く。
クリスマスに家族に会えない。
3年間クリスマスに会えないわけだ。
それでも日本に行く。
それは家族のため。
豊かな生活をするため。
好きな日本に行きたいため。
彼らは日本人を尊敬している。
「日本人は真面目です」
「日本人は仕事に一生懸命です」
現地での評判もよい。
車は日本製が多い。
トヨタ、三菱、ホンダ……。
「日本製は丈夫です」
真面目にものを作っている。
ものは嘘をつかない。
かれらはそのことをよく知っている。
先輩方のおかげで日本人は好かれている。
日本で技術を磨きたい。
信頼できる国で学びたい。
彼らの想いだ。
彼らを応援することは大きな意義がある。
実習生制度が変わりつつある。
時代が変わりつつある。
円安などの状況もある。
ただ、人が信頼できるという点は変わっていない。
最後は人と人だと思う。
彼らが初めて会う日本人。
それが日本人教師。
それだけ責任が重いと思う。
フィリピン人先生のJさん。
日本に5年間行っていた。
「バイクで転んで大けがをしました」
「大丈夫でしたか」
「上司がとても優しく助かりました。日本人を尊敬しています」
卒業式には家族が来る。
「先生、写真を一緒に撮ってください」
Kさんには2歳の子どもと奥様が来ていた。
こんな小さな子がいて、3年間日本に行く。
Kさんは30歳を超えている。
彼は日本語の発音に苦労した。
それでも必死に努力した。
「健康に気をつけてくださいね」
涙が出そうになってしまった。
彼にどれくらいのことができたのか。
私自身、真剣に学ぶ日が続いている。