教室で夢について語る。
「リンさんの夢はなんですか」
「私の夢はいろいろなものを売るお店を始めたいです」
「あれ、リンさんの夢は日本語の先生ではありませんか」
「それもあります」
「あと、アパートを持って人に貸したいです」
生徒たちはいろいろな夢を持っている。
お金を貯めていろいろなビジネスをしたいのだ。
お金が無いと何もできない。
一般フィリピン人の給料は月5万円程度。
物価が安いわけではない。
モールに行くと日本と変わらない値段だ。
レストランも同じだ。
高級店は2000円以上かかる。
しかしローカル人向けのレストランは安い。
250円ほどでいっぱい食べられる。
お金持ちとそうでない人の差が激しい。
走っている車はみんな大きい。
軽自動車はほとんど走っていない。
一方で、身なりの貧しい人たちが多く歩いている。
学校も私立学校は授業料が高い。
大学も日本と変わらない授業料だ。
お金持ちでないとよい教育が受けられない。
フィリピンは格差社会だ。
その格差社会で上を目指す。
そのためにはなんとかしてお金をためる。
貯めたお金でビジネスを始める。
そのビジネスで成功してお金を増やす。
それが上を目指す方法だ。
彼らはそのように考えている。
日本で働いてお金を貯める。
そのお金でビジネスを始める。
だから難しい日本語でも挑戦する。
お金をもらって日本に行けるわけだから。
彼らにとっては大きなチャンスなのだ。
彼らは自分の家族だけではない。
地域の人たちが豊かになることを夢見ている。
自分たちが豊かになって、周りも豊かになる。
生徒たちの基本的な考えだ。
日本はチャンスを活かす場なのだ。
「日本は美しい国です」
生徒たちの会話での答。
今の日本が彼らの憧れの国であるのか。
「日本は素晴らしい国です」
いつも生徒たちに話している。
確かに文化と伝統があり、料理も美味しい。
彼らの豊かな人間性をみると日本も負けていられない。