老後レス時代の到来を描く本「交通誘導員ヨレヨレ日記」 | Mat-chanの料理・旅行・建築・映画のこと

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本「交通誘導員ヨレヨレ日記」

遅くなりましたが、昨年話題になった本です。実は11月には読了しながら、なかなか感想文が書き終わりませんでした。最初新聞広告で観た時は、単なるイロもの本かと思っていましたが、昨年11月10日付の朝日新聞朝刊1面の記事を読み、認識を新たにして読もうと思いました。

朝日の特集は「老後レス時代」というもので、老後はリタイアして年金もらいながら楽して暮らすという従来の常識が崩壊しつつあり、その現状を鑑みながら、楽な老後が無くなる「老後レス時代」が到来し、一生働き続かなければ生きていけない現実を直視しながら、特集が組まれたものです。

その特集第1回で紹介されたのがこの本でした。筆者の柏耕一氏は、73歳の交通誘導員で、若い頃は編集プロダクションを経営する編集者でライターでしたが、現在は週5日警備員として働いています。

本の帯には「誰でもなれる」「最底辺の職業」とあり、その内容は全て実話の生々しさと書いてあります。筆者自身がライターなので文章が上手く、実話を自嘲的かつユーモアで包みながら、軽妙なタッチで描いており、中には思わず笑い出してしまうページもありました。

警備員といってもその仕事内容は、仕事の要領や人間関係など他の職業と大差ありませんが、ただ上記の「最底辺の職業」というレッテルが、ドライバーなどの余計なクレームを生み出しているという現実も書かれています。

筆者が実感するのは、高齢になるとそれだけで職業選択の余地が非常に狭くなってしまい、実際筆者が務める警備会社も70歳代が8割を占めているということでした。

「老後レス時代」は筆者の体験によれば現実のものとなっていますし、今年65歳になる私も決して例外ではありません。

老後レスになるのはやはり経済的な理由が主かもしれませんが、高齢化社会に移行した今、生きている限り社会的な接点は、ボランティアなども含めて必要なのかもしれません。それは生活のためだけではなく、何らかの生きがいに繋がっていけば、より良い方向に向かうと思うのですが。