親知らずを抜いた。
 いや、「抜いた」というより、「削りだした」と言った方が正確だったろう。右下の歯茎の中に横倒で埋まっていたのを、歯茎を切開し、細かく砕いて取り出し、開いた歯茎を糸で縫合してある。
 文字にするだけでもおぞましい絵が浮かぶが、術中は全くの無痛だったのには感心した。
 
 ところが、約2時間経過して麻酔が覚め始めたら、さすがに切開した歯茎がとてつもなく痛み出した。
 「麻酔が切れたら食事をしよう」と思っていたが、それどころではない。もらった鎮痛薬は『食後に服用のこと』とある。しかたがないので僅かの食事を痛みを我慢しながら食べ、鎮痛剤を飲んだ。
 実は僕にとって鎮痛剤というものは初体験だった。さて、歯が痛いのに飲み薬で痛みが消えるのか、どうにも合点がいかなかったが、これも感心したことに、ものの数十分で痛みが気にならない程度に治まってしまった。

 さて、鎮痛剤の効き目が続いている間に、寝てしまおう。