〜宝刀を取り戻せ!武士(もののふ)、アメリカ西部を征く!!~
アメリカ合衆国は大統領へと日米修好の任務を帯びる坂口備前守一行が乗る汽車が、列車に詰まれた金貨を奪取せんとするゴーシュ(アラン・ドロン)と相棒のリンク(チャールズ・ブロンソン)からなる強盗団に襲われた。金貨を奪取され、更にゴーシュは日本の帝からアメリカ大統領に贈呈する為の宝刀を奪って去る。
そして、リンクはゴーシュに裏切られてしまった。
条約調印まで時間は無く、坂口備前守は臣下の黒田重兵衛(三船敏郎)に七日間の猶予を与えて宝刀奪還を命じる。宝刀が取り返せなかった場合は切腹である。
かくして、黒田はゴーシュへの復讐を誓うリンクと手を組んで宝刀奪還を目指し広大なアメリカ西部に乗り出すのであった――。
三船プロが企画を持ち掛け、三船敏郎、アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソンという世界の三大豪華キャストが揃い踏みしたアメリカ、フランス、イタリア、スペイン合作の異色の西部劇が、『レッド・サン』である!!
ということで、本ブログ記念すべき200投稿目は、『レッド・サン』です。
で、これはもう僕は大好きな西部劇もとい映画でしてね。
「アメリカ西部で侍が活躍する」という日本人にとっては夢の題材であることはさることながら、宝刀奪還の旅路でぎこちないながらも徐々に築かれていく三船敏郎とブロンソンの男の友情、アラン・ドロンのイカした悪党演技、そして粋なラスト、と、どこをとっても完璧な映画なんですよね。
更には、日本語吹き替えがこれまた完璧なんですな。
三船敏郎には大塚明夫、アラン・ドロンには安定の野沢那智、チャールズ・ブロンソンにはこれまた安定の大塚周夫、と、非常に景気が宜しい。
野沢那智と大塚周夫の安定感は勿論のこと、三船敏郎の大塚明夫の吹き替えは実にマッチしすぎていて大変素晴らしいです。
なので、個人的にはこの映画はやはり日本語吹き替えでご覧になることを強くお薦めします。
また、本作の監督はなんとテレス・ヤング!
いやはや、どうりで面白いわけです。
日米(当時)の精神性や文化の差異を丁寧に描きつつ、その垣根を超えた男同士の粋な友情を描いた本作。
武士ならば死してなおという当時の日本人もとい武士の生き様を三船敏郎が非常に渋く好演しております。
そんな三船敏郎演じる黒田の姿に呆れつつ強制的に手を貸すことになるブロンソンことリンク。リンクは風の向くまま気の向くままな自由人。いわばアメリカの象徴的な存在。
そして、リンクが裏切りまくるというスリリングさも加わって非常に見応えがあります。
何でそんなに命をかけるのかとリンクに訊かれた黒田の切実な答えが時代を物語っていて日本人としては非常に胸に来ます。
もはや数百年続いた武士の世は終わる、宝刀奪還は自分にとっての武士としての最後のお勤めなのだ、と語る黒田。
リンクはそんな黒田の覚悟に徐々に心動かされていく。
ゴーシュお気に入りの娼婦クリスチーナ(ウルスラ・アンドレス)を強引に連れ出して遂にゴーシュを見つけた二人。
ところが、そこへインディアンの襲撃が!
銃がないなら棒手裏剣である!な三船敏郎。刀と棒手裏剣を駆使して応戦!
ゴーシュへの復讐も果たしたが、黒田は瀕死に。
黒田は宝刀をリンクに託すと息を引き取った。
リンクは黒田の墓を作ってやる。その際に興味深いのは、リンクが黒田の刀と脇差しを十字架にしてやるところ。
そしてラスト、坂口備前守一行が外を見ると宝刀が括り付けられていた!
だが、リンクの姿はそこにはない。リンクはどこへ向かったのか、誰も知る者はいない…。
という超絶粋なラストで終わるのが、『レッド・サン』である!!
もうね、すんばらしい映画ですよ!!
…でもね、個人的には、三船敏郎にはオビ=ワン役をOKして欲しかったなぁ…、なんてこれを観る度に思ったりなんかしたりします。