増田章の『からだで考える』

増田章の拓真道(タクシンドー)


テーマ:

より深く、より高く

〜私の空手道修行の目的

デジタル教本は、空手道の第一歩を踏み出した人のために作成(製作)しているのではありません。もちろん、空手道の初心者が活用すれば、絶大な効果があると思っています。このような言い方を選ぶと、人に誤解を与えるかもしれません。それでも、あえて誤解を恐れずにお伝えします。

 

デジタル教本製作の目的は、空手道の研究をさらに進め、その成果をアーカイブすることです。そして将来の承継者に、その核を引き渡すためにあります。しかし今、私には承継者がいないのではないかという不安に駆られています。ゆえに、これまで以上に真剣に教え、思いを伝えなければ、真の承継者が生まれないように思うのです。

 

私の空手の師である、大山倍達先生は70歳頃、組織の整理整頓と若手の後継者の育成、そして武道空手の体系化を熱く唱えていました。私も直接、その思いを伺ったことがあります。そして、その仕事に取り掛かろうとした矢先に亡くなられました。誰もが、後10〜20年は存命に違いないと思っていたと思います。

 

しかし大山先生の例を挙げるまでもなく、先のことは誰にもわかりません。ただ一つ言えることは、後継者(承継者)の育成は、早い方が良いのです。より正確に言えば、承継者のことを常に考え生きていくことが、自己の命を大切に使うことだと、私は考えています。ゆえに、すでに遅きに失したと思っているぐらいです。ですから、嫌われることを覚悟で、現在の黒帯、弟子を鍛えます。同時に弟子達の可能性を信じます。

 

ここでもう一つ伝えておかなければならないと思うことがあります。それは、空手道と言わず、道を求めるものすべて、先人の思いを掘り下げ、かつ吟味し、それを基盤につつも、時にそれを否定しなければならないと、私が考えていることです。また私は、むしろ否定できるものだけが、より高次化(高いレベルに達する)することが可能なものだと考えています。

 

その意味は、物事や技術をより高次化するとは、あらゆる認識を自己の中で否定(更新)し続けることだと、言い換えても良いでしょう。それは、先人、先駆者の存在価値を否定することとは異なります。むしろ、先人、先駆者と常に向き合い、交流(コミュニケート)することです。私は、大山倍達のみならず、情熱と誠意ある先駆者とは、死ぬまで向き合いたいと考えています。

 

さて、人間の求めるところは時代とともに変化するようです。また、環境の変化に対応することが、人間の使命だと思います。ゆえに私は「人間として変わらないもの(変えてはいけないもの)=不変のものも探求し、またそれを活かすものとしての普遍性を追求する」という目標を持っています。私は、そのような目標を目指しながら、自己を含め、人と社会により有益な空手道を創出したいのです。それが親、先人に対する報恩であり、私の目指す生き方であり、空手道修行の目的です。

 

IBMA極真会館空手道デジタル教本は、その目的に協力しつつ共に歩んでいく、同志の育成のためにも製作されています。「誰でも理解できる簡単な内容から抽象的なものまで」「根拠が確証されているものから確証されていないもの(研究科生のみ閲覧可)」まで掲載していきます。なお、根拠が確証済みのものはもちろんのこと、検証中のものこそ、本来アーカイブする価値のあるものです。

 

私は今、そんな思いで、膨大な資料、データ、過去の経験、稽古と向き合っています。

 

最後に、いつかは「生きるという旅」を終えなければならない時が、私にも来るでしょう。デジタル教本の製作は、2年間ほど前から始まったばかりです。しかし、始めたばかりの仕事も、私一人では、いつまでやるれかはわかりません。また私は「物事には全力で処する」「ただし、やれる時に」というスタイルです(社会的に貧弱だった時は、その考えが災いし、人生の第1、第2志望から遠く外れてしまいました…深く反省)。

 

私は、空手道を通じ、良き思い出を共有していける仲間を探し続けます。是非、私とIBMA極真会館空手道にお付き合いください。(増田 章)

 

8−7 22:00  一部加筆修正

 

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