SYOMIN'S 旗揚げ公演
『隻眼の産婆』

@下北沢 シアター711



隻眼の産婆、アワ。 

取り上げた赤子は数千人。
トレードマークの眼帯の奥で、
今日も妊婦のその瞬間を見極める。


ある日、アワの助産院に
ハナが担ぎ込まれた。

アワと苦楽を共にした妹、
高齢出産である。

助手のマオンと共に、
お産が始まった。

これでもかという程に
ハナを褒めたたえるマオンと、
その瞬間をじっと、見つめるアワ。

「今だ!
あんたの一番美しい瞬間を魅せてやりな。
赤子が見たさに飛び出てくるから!」

無事に出産を終え、
ごま油と塩で胎盤を食すハナを見ながら、
アワはこれまでの辛く長い道のりを
思い出すのだった。



貧しい人々。
この国ではかつて戦争があって、
それからそう時間は経っていないらしい。

主人公が経験した戦時中と
戦後である現在を往き来して
ストーリーが紡がれていく。

教科書には載っていない、
しかしながら‘あったであろう’
戦後の庶民の生活、歴史をまざまざと
見せつけられた。

あまりの生々しさに
目を背けたくなるシーンもあったが、
時々心温まるやりとりや、
思わず笑ってしまうところもあった。

…それ故に、
あの、ラスト十秒が、衝撃的。

これが戦争なんだよね。




**・.+丸山小百合+.・**