春、花粉、ワルトシュタイン | 浮浪人間への道 = Road to Groningen!

先日のオランダ語の内容でこんなものがあった。

 

Opdracht 18, Hoofdstuk 5, [uit “Nederlands op niveau“]

 

(蘭文)

Neem een beroemd persoon in gedachten. 

Beschrijf die persoon met enkele zinnen terwijl je zijn naam niet noemt. 

De anderen moeten raden wie jij in gedacht had.

 

(和文)

「有名な人を考えてみましょう。

その人物の名前を触れずに、数文でその人物について説明してください。

他の人は、あなたが誰を念頭に置いていたかを推測する必要があります。」

 

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課題について作文をして披露した。

 

(蘭文)

Het is een persoon:

 

・die muziek componeerde voor de massa in plaats van voor de adel.

・die negen symfonieën componeerde.

・die eerst een symfonie met een koor conbineerd.

・die in Duitsland geboren is, maar later naar Wenen verhuisde.

・die op latere leeftijd volledig doof werd.

・die in Japan aan het einde van het jaar vaak een bepaald symfonie wordt gespeeld.

 

(和文)

それは人です:

 

・貴族に対してではなく大衆のために作曲した

・9曲の交響曲を作曲した

・最初に交響曲と合唱を組み合わせた

・ドイツ生まれ、のちにウィーンに移住した

・晩年完全に耳が聞こえなくなった

・日本では年末に頻繁にとある交響曲が演奏される

 

誰かはもうわかるだろう。

 

答えはこの人↓

 

 

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今年の2月は寒暖差が激しい。

寒暖を繰り返しながら春は近づいてくる。

春を感じる今日この頃。

無性に聴きたくなるのがどう言うわけかベートーベン。

 

音楽の持つ空気感が、今の時期そのものに似つかわしいのだ。

だから、今頃の気候が彼の音楽に誘うのだ。

そうとしか思えない。

 

彼はつくづくいい意味で不思議な人だと思う。

 

絶望・死にたい・辛すぎる、そんな時があるはず。

他の作曲家の曲はおそらく聴く気にすらなれない状況だ。

だが、彼の音楽ならば、拒絶されることなく体に染み入る。

 

思うに、彼の音楽の中には「待ち遠しい春へ渇望」がある。

それは「春」という季節から遠く離れていた人のそれだと思う。

音楽には生命力、または春の息吹が満ちている。

 

あくまで個人的な体験だ。

だが、おそらく他人にも理解されうることだと確信している。

 

春って本当にいい季節のはずなのに。

花粉症になって以来、春は憂鬱でしかなかった。

そんな、損な状況を打開したいと思ったのが数年前だった。

花粉症対策に本腰入れて取り組んできた。

 

2年続けた「舌下免疫療法」だが1年前に辞めた。

毎日欠かさず一錠を体内に取り込まなければならない。

やはり、2年が限界だったと思う。

 

薬とは対症療法の一助。

飲み続けるべきものではないと思っている。

それでも2年やった「舌下」は効果があったと信じている。

症状が軽くなっていることを感じている。

 

昨シーズンはレフトオーバーの薬があったため通院しなかった。

今日久々に通院したがクリニックは自宅から歩い行ける他院へ変更した。

「お薬手帳」を事前に医師に読ませていた。

だから、それまでと同じ薬を処方された。

 

点眼・点鼻・経口薬の3点セット。

 

経験上「点鼻」だけで十分だ。

医者からも言われたが「症状があるときだけで良い」と。

ただし「点鼻薬は症状がなくても続けたほうがいいです」と。

 

帰宅してもまだもらいたての薬を供用していなかった。

ところが、夜になって症状が出始めた。

 

昔はなかった「花粉症」に苦しむ現代人。

その一人である自分。

昔の人は春を心から渇望し、愛でて、堪能して。

春にまつわる芸術遺産も多く残してくれた。

 

再び心の底から春の喜び、素晴らしさ、哀楽を享受できる体になりたい。

 

ベートーベンをこの時期に聴きたくなって戻ってくる。

そして、原点に立ち戻ろう。

自分の座標軸は今どこにあって、どこへ向かおうとしているのか?

残された時間はどのくらいで、優先的に何をしたいのか?

 

日々に忙殺されて、大目標を見失いかけていることがある。

それを今一度確認しよう。

 

もっと前向きに。

もっと支えてくれる人に感謝を伝えよう。

もっと建設的にフィードバックしよう。

もっといい仕事をするために、どうしたらもっと良いのか。

 

大したことのない頭だが、考える頭はある。

だから、もっと考えよう。

考えることをやめたら前進はできないと思う。

 

AIが迫ってきている。

食物連鎖の頂点にこれまでいた人間にとって変わる存在が勢力を増している。

じわじわ居場所を奪い、人間を駆逐し始めている。

人間のいる頂点をAIが奪う状況をシンギュラリティと呼ぶ。

その現象が思っている以上に早くやってきそうだ。

 

自分の仕事はものつくり・職人仕事であるが、そう遠くないうちに淘汰される日が来る。

実際にもう、ものつくりの現場にも人が要らなくなっている。

これからは職人の時代ではない、職場では若手はNCオペレータとして活躍している。

そんなNCオペレータも、要らなくなる日が来る。

 

それまでは、AIに喰われないで生きてゆくための術を、方向性で生きてゆく。

 

自分が死ぬまではなんとか持ち堪えたい。

それだけを考えている。

つまり、未来はないから。

 

自分の中での結論:「今後、人間に明るい未来はない」

 

そんなことを思う春。

少し悲しい気もするが、そんなことはない。

人類はとどまることなくは繁栄しすぎた。

早く滅びるべきだと思っているからちょうど良い。

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話はベートーベンに戻る。

伝記によると、彼は病気も多く経験し、なおかつ40代で全聾になった。

そんな人が、生命力に満ちた音楽をたくさん残せたのはどうしてか。

一般人の感覚で不思議でしかない。

 

春先に無性に聴きたくなって、彼の曲の何かしらを聞く。

今はピアノ協奏曲第4番、ピアノソナタ21番「ワルトシュタイン」など。

不思議なことに、やる気をもらえる。

そして、良い意味でリセットされて、新たな活力を得る。

 

彼の音楽を聞き出した10代に自分の感性が戻ってくる感覚がある。

無限の可能性を持ち合わせていたあの頃がまぶしい。

 

戻れるものなら、戻りたい。

 

 

花粉症の対症療法薬はベートーベンの音楽だけで良い、という話。