先日、6月4日の22時から、NHKのドラマ10枠にて放送された、石橋静河さん主演のドラマでも燕は戻ってこない」の第6話のネタバレ&個人的感想を。



毎日文学賞と、吉川英治文学賞をW受賞した、桐野夏生さんの同名小説が原作の、このドラマは

『命は誰のものか?』という重要なテーマを扱った鮮烈なエンター・テイメント作品です。



石橋静河さん演じるリキは、北海道から戻り、3回目の人工授精を受けて遂に妊娠します。


しかし、お腹の子の父親が、稲垣吾郎さん演じる草桶基だという確証がありませんでした。


北海道に帰省した際に、再会した、戸次重幸さん演じる、職場の上司だった、不倫相手の日高と、北海道から帰省して、直ぐに会った、森崎ウィンさん演じる、セラピストのダイキと関係を持ってしまった為でした。


自分が招いた事態に激しく後悔するリキ。



リキが、自分が招いた事態の結果に困惑していると、悠子からのメールが届きました。



リキは悠子と基に、北海道の「お土産」を買ってきて、悠子宛に送っており、そのお礼を伝えるのと同時に、基が、帰省したリキに、失礼なメールを送った事を詫び「せめてもの、お詫びに」と、基に、リキの病院への送り迎えをさせる事にした」と言うのでした。


メールを読み終わると、ほぼ同時に、リキの部屋のチャイムが鳴り、基が姿を現しました。


リキは慌てて出て行きます。


悠子に叱られた基は、メールの文調とは打って変わって、リキを大いに労わります。


帰省の事も、「偽装とは言え『結婚』したのだから、両親に報告に行くのが当然で、自分も挨拶に出向くべきだった」と謝罪しました。


「只でさえ『大それた事』をしているのに、最近は、少し怖くなってきた」と心中を打ち明けた基に、リキも「私も怖い!」と心情を吐露します。


「まるで、自分が産むだけの機械になったような気がする」と基に告げたリキ。


基は「機械なんて、とんでもない! あなたは大切な人だ」と反論し「このプロジェクトに関わる

不安や恐れを理解できるのは、この世で、私達3人だけなのだから、もっと、仲良くならなければいけないのかもしれない、この先は、何でも分かち合おう、何でも話して欲しい!」とリキに言いました。



数日後、リキが使った、妊娠検査薬が陽性を示しました。



ちょうど、その時、伊藤万里華さん演じるテルから、久しぶりにリキの携帯に電話があり「リキ、私、妊娠した!」と言われたリキは、ますます落ち込みます。


テルは電話で「リキの子は『生まれる前から、金持ち決定』だから、幸せだけれど、自分の子は

『最初からジリ貧』だ」と言うのですが、テルの電話越しの声が、リキには「幸せな声」に聞こえたような気がしたのでした。


それは、リキのお腹の子が「本当の父親が、誰だか分からない」からでした。


しかも、母親である自分も「産むだけの女」だと自虐的になります。



リキは、悩みに悩んだ挙句、悠子に相談する事にしました。


リキが妊娠したと聞いた悠子は喜びますが「実は父親が誰か分からない!」と聞くと、さすがに驚きを隠せませんでした。


リキは全てを正直に打ち明けました。


悠子は「以前、精子が生きている時間は、72時間だと言われたから大丈夫だと思う!」とリキに言いますが、リキは信じません。



リキは「中絶して、もう一度やり直した方がいいのではないか?」と悠子に提案しました。


「基には『流産した』と言えばいい」と。


しかし、悠子は自分の流産の経験を思い出し「それだけは絶対にダメ!」と猛反対します。


しかし、リキは「後になって、DNA検査をされて父親が違うと分かっても違約金など払えない!」と心配します。


悠子は「検査など、絶対にさせないから、必ず産んで欲しい!」とリキに訴えました。


それでも、リキは心配でなりません。


「もし、バレエの素質が全くなかったら? 基に全く似ていなかったら?」と言いますが、悠子は

「それは普通に良くある事だ」と答えます。


「しかし、基はこだわるに違いない」とリキには不安しかありませんでした。


悠子は「基には黙っていれば良い!」と言い、更に「基を欺けば良い、子供の為に秘密は守る!」と言ったので、リキは、ようやく承知しました。


悠子は「貴女には呆れたわ!」と言いながらも、「私は貴女の味方だから」と念を押します。


その夜、青沼から「リキが妊娠した」との報告が来ると、基は手放しで喜びます。


「俺が、世界の頂点に連れて行く!」と言い、悠子は「子供は生まれてくるだけで尊い!」と反論しました。


「例え、どんな子供でも愛してあげなくちゃ」と悠子は言いますが、基は「多少才能が無くても、努力すれば大丈夫だ!」と断言します。


それに「リキの体型なら、バレエ向きだ」と保証しました。


その言葉が悠子の癇に障りました。


結局、基は、相手は誰でも構わない、自分のバレエの才能を受け継いだ子供が欲しいだけなのでした。


基は、悠子が嫉妬しているのではないかと思ったようで「産めなかったからって、劣る訳じゃない全然、気にする事はない!」と言いますが、悠子は、この発言にブチ切れてしまいます。


「それなら、どうして子供を諦めてくれなかったの? 私だって産めるものなら産みたかった、私はもう他人なのよ? リキさんのお腹には、もう子供も居るの、それを考えたら、私が、そのまま消えるべきね! 産めなかった私が悪かったんだものね!」と激昂しました。


更に「あなたの無邪気で、鈍感な所を愛していたでも、今は顔も見たくない!」と言って、悠子は出て行きました。


それから悠子は、ずっと、仕事場のアトリエに寝泊まりしていました。


数日後、リキの口座に「300万」が振り込まれました。



ある日、病院で、リキは「双子の妊娠」を告げられます。


リキは不安に耐えられなくなり、改めて、悠子を訪ねました。


そこに来ていた、中村優子さん演じる、悠子の親友である、りりこは大騒ぎしますが、悠子が、りり子を黙らせます。


リキは、またしても悠子に不安をぶちまけます。


「もし、違約金が発生しなくても、自分が双子を育てるなど出来る筈ない」と。


リキが風俗専門の「セラピスト」のダイキと関係を持ったと聞き、りりこは目を輝かせます。


リキは「お金で買われて、カテーテル入れられてハイ、妊娠!って、おかしくなりそうだった」とりり子に説明しました。


そして「男と好きに寝るでもしないと、自分じゃ無くなっちゃいそうで」と言いました。


りりこは、すっかり、リキを気に入ります


「あなた、最高よ! 女もそうやって、自分に忠実に生きるべき、中絶、大賛成! 女が欲望に従った結果、生殖を担わされる事が、そもそも間違っているんだよ! 生殖と性行為は別物であるべき、あなたは純粋に性行為を楽しみたかっただけ! 産みたくなかったら、産まなきゃいい!」とまで言います。


しかし、悠子は「産んで欲しい!」とリキに訴えます。


「中絶しても、また授かれると思っているかもしれないけれど、そんな保証はないわ、双子は、私達が育てるから!」と言いました。


そんな悠子を、りり子が批判します。


「いい加減なこと言わないで! 双子なんか育ててたら、貴女のキャリアは潰れる、しかも、自分の子ではなく、基の子供でもないかもしれないのにどうやって、モチベーションを保つの?」と言います。


悠子は「責任感だ」と、りり子に答えます。


「こうなった以上は、私が育てる、だから産んでちょうだい!」と。 


一方、リキが双子を妊娠したと聞いた、黒木瞳さん演じる、基の母の千味子は大喜びでした。


「高いと思ってたけれど『コスパ』が良いわ、早速、ここに来てもらって、バレリーナに適した体を、今から作らなくちゃ」と言い、更に、千味子は『保険』が出来た!」と喜びます。


「2人生まれれば、せめて一人は才能があるに違いないわ!」と言います。


基は、悠子に出て行かれた事が、かなりショックだったようで、以前の自分と同じような考えの千味子に「そういうのやめよう! 彼女の自由を奪いたくない、彼女は普通の人間なんだ!」と反論します。


千味子は「基が、リキに好意を抱き始めたのではないか?」と勘ぐったようでした。


それでも、リキはやっぱり「違約金」が気になりました。


すると、りり子は「もし、違約金を請求されたら私が払ってやる!」と言い出します。


りりこの実家は、病院を経営する資産家なのでした。


更に、りり子はリキに「自分の仕事を、アシスタントとして手伝って欲しい! これから1人では、何かと大変だろうから、うちに来れば良い  シェアハウスだけど、気を遣う事は無いから!」と言います。


リキは、しばらく考えた後「りり子の所で働きたい!」と言い、中絶の事も「少し時間を置いて考えます」と悠子とりり子に伝えました。


その後、リキはりり子と2人で食事をするのですが、リキの顔には、これまで見た事のないような「屈託のない笑み」が浮かんでいたのでした。


第6話は、ここまで。



今回も、かなり原作に忠実に描かれていましたが原作では、千味子の「コスパ」発言は無く、同じような内容の事を基が悠子に話します。


りり子と、リキの出会いも、少し違うのですが、内容は、ほぼ同じです。


第6話の時点で、原作の全5章の内、ほぼ4章まで描いているので、残り話数を考えると、今後、ドラマ・オリジナルのシーンが増えるのでは?


どんな展開になって行くのか、これからが非常に楽しみですね。



今回の第6話では、リキの双子の懐妊が発覚し、父親が分からないという不安から、リキが情緒不安定になり、中絶を考えますが、悠子とりり子の親身の説得により、辛うじて踏み留まります。



第6話のラストでの、リキの笑顔を見て、リキは精神的に、まだ子供だったんだと思い知らされました。


これまでは、ただ、リキの体だけが目当てで、優しく接して来るような男や、他人の幸せを妬み、足を引っ張るような先輩達を見て来た事もあってリキは今まで、本当に信頼できる大人に出会った事が無かったようです。



富田靖子さんが演じた、叔母の佳子が、唯一、信頼で出来る大人の女性だったのでしょうが、佳子も、未婚だった為、ずっと、1人前の大人扱いされずに生きて来たように見えました。



代理母の事を抜きにして、もっと早く、悠子や、りり子のような自立した女性と出会えていたならリキは、もっと違う生き方をしていたのかのかもしれません。


次回は、リキが悠子ではなく、基に助けを求める事態が起きて、千味子がリキと会うようです。