先日、5月14日の22時から、NHKのドラマ10枠にて放送された、石橋静河さん主演のドラマでも燕は戻ってこない」の第3話のネタバレ&個人的感想を。



毎日文学賞と、吉川英治文学賞をW受賞した、桐野夏生さんの同名小説が原作の、このドラマは

『命は誰のものか?』という重要なテーマを扱った鮮烈なエンター・テイメント作品です。


原作は、先日読了しましたが、ドラマ終了後に、読書レビューとして公開予定です。



石橋静河さん演じる、リキは、稲垣五郎さん、内田有紀さん演じる、草桶基・悠子夫妻と遂に対面します。


代理出産は、単なるビジネスと自分に言い聞かせるリキですが、悠子の思いも激しく揺れているという事を知り、混乱し、戸惑うリキ。


一方、基は、リキと初めて会い、自分の選択に間違いはないと確信し、自らの遺伝子を受け継ぐ子が生まれる事への期待が高まり「50歳までに、子供が欲しい、時間との戦いなのだ」と、リキに決断を迫ります。


基が、リキに決断を迫ったのは「子供が成長してバレエ・ダンサーとして、活躍する姿を見たい! 自分のDNAの証明を生きている内に確認したい」という思いからでした。



一方、トイレで2人きりになる悠子と、リキ


リキが持っていた、白いハンカチを見て、以前に自分が渡した物であり、リキと出会っていた事を思いした悠子。


「もう、出会っていたなんて! 今日、来なければ良いのに!」と思ってたと言い、リキに「どうして代理母を?」と尋ねます。


リキは「ビジネス、お金が欲しいから!」

と答えます。


「好きな人はいないの? 付き合っている人はいないの? 初めは好きな人の子供を産みたいよね? 後悔しない?」と何とか、リキに代理母を辞めさせようと、言葉を並べる悠子。


リキは「分からない、実際産んでみないと」と言言います。


悠子「子供が出来たら、理屈じゃなく、母性が溢れて子供に会いたくならない?」と、悠子は聞きますが、「ならないです!」と言い切るリキ。


「あなたこそ良いの? 愛せるの? 他人の子ですよ」と言い返す、リキ。


「女性には、子供を産んだ女、産んでない女、どちらかしかいない、どちらかが劣っている訳でないのは分かってる でも、私も、そちら側になりたい」という悠子。


「お金で解決できるんたから」とリキ。


帰りの遅い2人の様子を見にきた、朴璐美さん演じる、アメリカの生殖医療エージェント「プランテ」日本代理店のエージェントの青沼は、状況を悟ったのか「女にはいつも、タイム・リミットがある、サロゲート・マザーは20代まで、タイム・リミット、最後のチャンス、女だけが果たせる、究極の人助けよ! 遠慮する事は無い、あなたが決断してね!」と、リキの背中を押します。



代理母に支払われる報酬の相場は300万ですが、リキは草桶夫妻に1千万という金額を提示。


それは、リキ迷いの表れだったのかもしれませんが、1日でも早く、自分の子どもが持ちたい基は「出産した暁には、Sすんなり、子どもを渡してくれ」と言い、あっさりと条件を承諾。


動揺が隠せない悠子。


契約を交わし、帰りのタクシー代として、5万円をリキに手渡した基。


そのお金で、リキが最初に買ったのは、カフェの新作ドリンクでした。


新作ドリンクを手に自撮りをするリキ。


自宅アパート帰ると、セクハラ男の広岡と出くわしますが、このアパートから出ていけるメドが

立ったからか、リキは「私は、さっき、ある契約をしてきた! 私の体はもう、自分のものじゃないから」と強気に言い放ちます。

基から貰った、5万円も、服や食材など、豪快に使い過ぎて、あまり残っておらず、富田靖子さんが演じた、佳子叔母さんの葬儀にも行けなくなりました。



一方の基は、代理出産を決めたと、黒木瞳さん演じる、母の千味子に報告。


その際、千味子から「誰が払うと思ってるの?体は、しっかりしているの? 今度の人は、ちゃんと産める保証はあるの? 顔は?、やっぱり、母さんも面談するわ!」などと言われてしまい、基は

「もう決めたんだから、母さんは黙っててよ!」と反論します。


母の千味子は「もし産めなかったら、クーリング・オフは出来るの?」とまで言い放ちます。



リキは、伊藤万梨華さん演じる、テルに、代理母契約を交わした事を報告。


テルは驚きますが、リキの契約者が、有名なダンサーと、イラストレーター夫妻だと知り、再度驚きます。



テルは「自分の所にも、プランテからエッグ・ドナーだけでも、登録しないか?」と連絡があった」と言い「卵子の採取は、ハワイか、タイで行うと言われた」と言い、「タイは、彼氏のソム太の故郷だから、ここの仕事を辞めて、タイに行くの

もありかな? エッグ・ドナーやらなかったら、AVしかないし、AVの方が、ソム太が悲しむし」と言いますが、リキは、テルの話を羨ましく思います。


リキは、テルに「気持ちの良いSEXを知らず、男に優しくされた事も無く、このまま、愛とか、一生知らないままかも? なのに、カテーテルを入れられて妊娠だけするなんて虚しい!」と愚痴りました。


そんな話を聞いたテルは「愛は、プロに頼めるよ!」と言い「男を買う風俗で買われている子は、買い返す、客になったら、サービスして貰える、本番も気に入ったら、挿れて貰える、男は簡単に女を買うんだから、女も買えば良いんだよ!」と言います。


悠子は、中村優子さん演じる、親友・りり子の個展「朱色のわななき」を観に行き、会場で、りり子と会い、帰りの中華飯店で、一緒に食事をしながら話します。


りり子は「私は、代理母には反対、子宮の搾取、女の人生の搾取、お金が欲しくて、他に売るものが無いからするの!」と言い「男性同士のカップルでは、女性に協力して貰わないと」と反論する悠子に対して「女性の事も考えろ!」と、キッパリと言います。


2人の話を近くで聞いていた、吹越満さん演じるサラリーマン風の客達が、聞き耳を立てて、話に参加して来ます。

吹越満さんの部下らしき、若い人が「僕も、女性に性的な興味は無く、恋愛感情を抱いた事も、無ければ、性欲も無い、無理に結婚して、無理に、子供を作るのか?と思っていた」と、悩みを打ち明けると、りり子は「自分が変わっているのか
と思ったけど、無理に好きになろうとすると、気分が悪くなる、自分の感情のありのままに、放っておく事にした、1人で居る方が心地良い!」と言うと、それを聞いた彼は「ホッとした!」と笑います。

さらに、りり子は「これだけ、たくさんの人間がいるのだから、性も欲望も色々な形があって当たり前!」と言い、それを聞いた悠子は「だったら生殖もそう、正解なんて無い!」と言い「私が、子供を欲しいと言ったから、基は諦め切れなかった、私が子どもを願ったから、私が育てるよ、2人の子を遺伝子が入らなくても、これが、私の生殖行為なの!」と、悠子は代理母を受け入れ、生まれた子を、自分の子として育てる事を決意しました。

一方、リキは、テルから紹介された、セラピストのダイキと渋谷で会います。

第3話は、ここまで。


今回の第3話で、遂にリキは「代理母」になる事を承諾します。


元々、子供を望んでいたのは、基よりも、悠子の方でした。


悠子と出会った頃の基には、既に妻のカナが居ましたが、それでも構わずに、基を愛した悠子。


彼女が魅せられたのは、基という人間ではなく、世界的バレエ・ダンサーだった、草桶基の肉体美だったのかもしれません。


舞台上で、鳥のように軽やかに舞う、基の細く、しなやかな筋肉。


悠子は、彼の遺伝子を欲しました。


第3話の回想シーンでは、基の妻だった、夢咲ねねさん演じる、草桶カナが、不倫相手だった悠子の事務所を訪れ、頬を叩いて去って行くシーンも描かれました。


日本人初の国際的バレリーナであった、基の母の千味子も、また、自身の遺伝子を繋いでいく事に躍起になっています。


そんな中で、公演中のケガにより、ダンサー生命を絶たれた基が、自分に残された唯一の道として代理出産で、自らの遺伝子を継ぐ子を持つ事に、希望を見出したのは、必然だったのでしょう。


「人間の数だけ、性も欲望も、色々な形があるのよね」と、様々な性と欲望が渦巻く、中華料理店で、悠子は自分と血の繋がらない基と、リキの子どもを育てていく覚悟を決めます。


バックで流れるのは、服部良一さん作曲の「蘇州夜曲」でした。


僕が、この曲を知ったのは、飛鳥涼(現・ASKA)さんのソロ・デビューアルバム「SCEANE」でした。


叙情的なメロディーが美しい、恋の歌が、心に沁みました。


この曲が流れる、中華料理店でのりり子と、同じ客として偶然居合わせた、吹越満さん演じる、男性サラリーマン達と交わされた会話も、大変興味深かかったです。


一方、リキは身体が買われる事への抵抗から、森崎ウィンさん演じる、女性向け風俗のセラピストのダイキと会いますが「愛はプロに頼める」と、テルは言いましたが、果たして、お金で買った愛は、リキにどのような変化をもたらすのでしょう?


原作を読み終えたので、ストーリーは、全部分かるのですが、原作に忠実にドラマ化されているのかを気にしながら、見て行きたいと思います。


第3話までは、ほぼ、原作通りです。


リキと草桶夫妻が自転車と車で偶然出会い、ハンカチを受け取るシーンと、坂向芳さん演じる、セクハラ男の平岡が、原作では50代の肥満気味の男である事と、りり子と悠子が食事をする、中華料理店で「蘇州夜曲」が流れるシーンと、基の母の「クーリング・オフ」発言は、原作にはありませんが。


次回も楽しみです。