日本型グローバリズムの正体 | 日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

「中小企業経営者」や「働く人」として危機感を持っている方へ
日本経済復活への解決策を共有していくブログです

日本経済復活への処方箋とは!?を考えていくブログです。

中小企業経営者の視線から、閉塞感の強まる日本経済に必要なモノとは何かを一緒に探っていきたいと思います。

 

前回は、現代のグローバリズムの主役である多国籍企業について取り上げてみました。

その中で、日本だけが流出(Outward)ばかりで流入(Inward)のほとんど無い「日本型グローバリズム」ともいうべき状況であることが明らかになりました。

 

つまりヒト、モノ、カネが自由に国境を超えるグローバル経済において、日本だけが大きく流出超過となり、日本国内の労働者(多くの国民)が取り残された状態という事です。

 

今回はもう少しこの日本型グローバリズムの中身を見てみましょう。

 

 

図1 日本の多国籍企業 企業数・労働者数 (OECD統計データより)

 

まず図1に、日本の多国籍企業(Multinationals)の海外展開(Outward)している企業数及び、海外拠点の労働者数を示します。

 

2010年から2016年にかけて海外展開している企業数は1万4000社程から2万2000社ほどに増え、

海外で雇用する労働者数も360万人程度から480万人程度に増加しています。

 

日本の労働者数が約5000万人程度ですので、既にその1割ほどの人数に相当する労働者が

日本企業によって海外で雇用されているという事ですね。

 

驚くのはその増加の具合です。

たった6年で企業数は5割以上、労働者数は3割以上も増加しているのです。

顕著な伸びが見えるのは2011年から2012年にかけてですね。

この間に何があったのかは、言うまでもなく2011年3月11日に発生した「東日本大震災」でしょう。

 

ある経営者様のご指摘を下記にご紹介させていただきます。

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2008年のリーマンショックのあと、2009~2011年に進んだ大幅な円高によって輸出が不採算になったこと、

日本経済が緊縮財政と増税、円高で停滞する一方、中国は2010年にGDP世界2位へと躍進したこと、

その結果、日本の大企業は海外に市場を求めて、こぞって海外生産拡大に梶を切っていきました。

そんなところに2011年の東日本大震災。

2008年以降、「日本の市場は縮小する、需要拡大が見込めない」という理由で、

日本国内にはあまり投資せず、海外への投資に資金を回した。

個々の企業経営者にとっては経済合理性のある行動が、全体としては日本をさらに停滞に追い込んだ。

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2010年時点でこれだけの海外進出が進んでいた事にも驚きますが、

2011年から2012年にかけてさらに急激に増加し、そのまま高止まりが続いている状況です。

 

図2 日本の多国籍企業 売上高・輸出入 (OECD統計データより)

 

図2は日本の多国籍企業の海外展開(Outward)による売上高、輸出・輸入額を示します。

売上高は2010年の144兆円程度から、2015年に251兆円のピークとなり、直近の2016年では227兆円となります。

日本の法人企業の売上高総額が1500兆円程度(法人企業統計調査より)ですので、

その15%程度にあたる経済活動が、海外で行われているという事になります。

 

こちらのグラフもやはり2012年、2013年で急伸しているように見えます。

 

また、海外展開している拠点での貿易額も見てみましょう。

海外拠点からの輸出は直近で約64兆円、海外拠点への輸入は約34兆円です。

日本の輸出総額は直近の2017年で98兆円、輸入総額は約93兆円です(国民経済計算より)。

日本の輸出額に対して、かなり近い割合の貿易(特に輸出)が海外拠点で行われている事になります。

 

以前、日本は輸出依存国なのか、というテーマを扱いました(参考記事)。

日本の輸出額がGDPに占める割合は先進国の中では低く、正味の純輸出についてはほぼ0に近い割合です。

しかし、海外拠点では純輸出がプラス30兆円にもなるわけです。

これだけでも日本のGDPの6%程度に相当します。

 

 

図3 日本の多国籍企業 人件費・純利益・設備投資費・研究開発費 (OECD統計データ より)

 

図3に日本の多国籍企業が海外で雇用した労働者の人件費、海外拠点の事業活動による利益、海外拠点への設備投資費、研究開発費を示します。

 

人件費は2010年からの6年間で、3.7兆円から8.0兆円へと2倍以上に増加しています。

日本の法人企業の人件費総額が約200兆円(法人企業統計調査より)ですので、その約4%にあたります。

売上高(15%程度)や労働者数(10%程度)からすると人件費の割合が非常に低い事がわかります。

 

また、海外事業活動による利益(Gross Operating Surplus)は、4~7兆円程度です。

2016年の日本の法人企業の売上総利益が約370兆円程度、営業利益が59兆円程度、純利益が50兆円程度(法人企業統計調査より)です。

これが営業利益に相当すると考えれば、日本の法人企業全体の営業利益の12.7%(2016年時点)に相当します。

 

事業活動だけでなく、その他の数値も見てみましょう。

海外拠点への設備投資額は2010年に約34兆円から、2016年には約72兆円となります。

日本企業の設備投資(国民経済計算より 総固定資本形成のうち企業設備の総額)が20年以上にわたって80~100兆円で横ばいなのに対して、この金額と伸びは大変大きいと思います。

 

また、研究開発活動も海外拠点での行われるようになっているようです。

2010年には3600億円程度だった研究開発費が2016年には約8100億円に増大しています。

 

設備投資や研究開発も6年間に2倍以上増大しているという事ですね。

 

以上をまとめてみますと、日本型グローバリズムの特徴を次のように見て取れると思います。

 

・ 2010年までに既に流出超過は大きかったが2011年を契機に一気に進んだ

・ 現在では日本国内の経済活動の約10%以上に相当するビジネスが海外に流出している。(流入は微小、詳細は前回記事ご参考下さい)

・ 海外展開している事業は、事業規模の割りには人件費が安く抑えられている(低賃金労働力の希求)

・ 日本企業は設備投資の多くを海外で行っている

・ 研究開発についても大きな増大が見られる

 

日本から流出(Outward)したビジネスは、やはり低賃金の労働力を求めてという要因が一番大きいように思います。

 

ドイツやフランスなども流出が多いですが、流入(Inward)も多く双方向という印象が強いです。

それに対して、日本の場合は安い労働力を海外に求めて一方的に流出していくという印象です。

低賃金による生産でしか稼げない、平成的なビジネスが海外に進出して活路を求めた結果と言えそうです。

 

日本企業のグローバルビジネスの立ち位置がこれで見えてきたのではないでしょうか。

 

ここで取り残されているのは、間違いなく日本国内の労働者(多くの日本国民)です。

自分たちの”仕事”がいつの間にか海外に流出していたわけです。

それに対して、海外からの仕事(外資系企業の進出)は入ってきません。

グローバル化が進んでいるのだから世界的にも当たり前、と思っていたらこれは日本だけの現象だったわけです。

 

問題は、このような日本型グローバリズムに対して、国内企業がどのように対応していくかだと思います。

 

このようなグローバリズムに歩調を合わせ海外展開を加速していくのか、

日本国内で高付加価値ビジネスを創出していくのか、

日本企業の経営者の判断が問われるところではないでしょうか。

 

特にBtoBビジネスをしている国内中小企業からすると、

自分たちの仕事の多くが海外に流れてしまっており、

国内に残った仕事を取り合う状況が続いているわけです。

 

皆さんはどのように考えますか?

 

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