日本型グローバリズムの急進展 | 日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

「中小企業経営者」や「働く人」として危機感を持っている方へ
日本経済復活への解決策を共有していくブログです

日本経済復活への処方箋とは!?を考えていくブログです。

中小企業経営者の視線から、閉塞感の強まる日本経済に必要なモノとは何かを一緒に探っていきたいと思います。

 

前回は、私達日本人の貧困化について取り上げました。

1990年代後半から、私たちはずっと貧困化し続けている実態が明らかとなりました。

 

私達は何故貧困化するのでしょうか。

 

大きな要因としてデフレがあげられることは以前取り上げました。

デフレは総需要の不足です。

国民の貧困化が進み、消費が減り、また貧困化していくいわゆるデフレスパイラルですね。

しかしその裏で、企業の利益は増大しています。

何故でしょうか。

 

その一つのポイントは経済活動のグローバル化ではないかと思います。

 

経済活動のグローバル化とは、国や地域を超えてモノ、サービス、資本、技術が世界規模に拡大する事を指しますね。

 

貿易による輸出、輸入もグローバル化の一端と言えるかもしれませんが、

現在の経済において、その大きな役割を担うのが多国籍企業によるグローバルビジネスではないでしょうか。

多国籍企業は、自国だけでなく、海外にも支店や子会社を設置し、

世界規模で経済活動を行っています。

 

日本でも、例えば自動車メーカーなどが海外に工場を作り、

現地の住民を労働者として雇い入れ、

製品をその国や更に別の国に販売します。

当然そこで発生した売上や賃金は、その国の経済活動の結果として記録されるはずです。

 

逆に、いわゆる外資系企業と言われるように、海外企業が日本に進出して経済活動を行えば、

日本人が雇用され、日本のGDPに寄与するはずです。

(海外事業に詳しい方がいれば補足等コメントいただけると幸いです)

 

さて、まず日本企業の海外展開はどのような状況かグラフを見てみましょう。

 

図1 多国籍企業の海外売上高 日本(OECD統計データより)

 

図1に日本の多国籍企業が海外で売り上げた総額(Turnover)を示します。

2010年には144兆円だったのが、直近の2016年には228兆円と6年間に6割近く増えています。

日本のGDPが約500兆円、日本企業の売上高総額が1500兆円くらいです。

GDPに対しておよそ42%程度もの事業を海外で行っているという事ですね。

 

私の感覚からすると、非常に大きな経済規模だという事に驚きます。

税収数十兆だとか、経済対策数十兆と言われている中で、

毎年100兆円以上(近年では200兆円以上!)ものビジネスが海外で行われているわけですから。

 

グローバル化が進んでいるのだから当然だ、とお考えの方もいると思いますので、

この数値が大きいのか、小さいのか国際比較もしてみましょう。

 

図2 多国籍企業の海外売上高(Outward 対GDP比) (OECD統計データ)

 

図2はOECD各国における多国籍企業(Multinational)の、自国以外での海外(Outward)の売上高(Turnover)を示します。

数値は各国のGDPに対する比率[%]です。

 

ルクセンブルクや北欧諸国に次いで、ドイツ、フランス、日本が続きます。

 

フランスやドイツの多国籍企業はGDPの6~7割程度に値する海外活動を行っているという事ですね。

2010年から2016年の変化をみると、ルクセンブルク、フィンランド、イギリスが大幅に減少しています。

ドイツ、フランスは増加していますがそれぞれ1割に満たない程度の増加率です。

それと比べると日本の伸び率は6割近くになりますので、この中では断トツで大きい伸びと言って良いと思います。

 

図3 多国籍企業の国内売上高(Inward 対GDP比) (OECD統計データ)

 

グローバル化を考える上で、自国企業の海外進出ばかりを見ていては、

一面的になってしまいます。

当然外国企業の自国への進出も考えてみなければいけませんね。

 

図3に、自国へ流入(Inward)する多国籍企業の売り上高を示します。

やはりルクセンブルクが多いですが、

ハンガリー、スロバキア、チェコなどの国が続きます。

ドイツやフランスは下位の方になりますが、それでもそれぞれ46.4%、34.2%といった数値です。

アメリカも下位ですが21.7%、下から2番目のギリシャで19.3%です。

日本だけが何故か6~7%と一桁の数値です。

 

日本は海外展開する企業が多い割には、

外資企業が進出してきていないという状況ですね。

 

図4 多国籍企業のグローバル収支(OECD統計データ より)

 

それでは、各国の目線で見た時の、多国籍企業の活動は差引どの程度なのでしょうか。

海外展開は国内から流出(Outward)するビジネスと捉えられますのでマイナス、

外資企業の国内ビジネスは流入(Inward)するビジネスとして捉えられますのでプラスとすると、

各国のグローバルビジネスの収支として評価できるのではないでしょうか。

 

この収支がプラスであればグローバル化により自国のビジネスが増え(グローバル黒字とでも表現できそうですね)、

マイナスであればグローバル化により自国のビジネスが海外に流出している方が多い(つまりグローバル赤字)と考えられます。

 

図4を見るとスロバキア、チェコ、ハンガリーなど東欧諸国が軒並み大きなプラスとなっています。

グローバル化により外国資本が入り国内に仕事が大量に流入している状況ですね。

 

アメリカやドイツ、フランス、日本などの経済規模の大きい国や

スウェーデン、フィンランド、デンマークなどの北欧諸国はマイナスです。

 

その中で日本が最もグローバル赤字が多い結果となります。

GDPの約36%にあたる、193兆円が流出超過となっている状況です。

しかもドイツやフランスと比べると、6年間での超過の伸びも大きいですね。

この6年で急速に流出が進んだと言えそうです。

 

また、内容を見ると、ドイツやフランスはOutwardの割合が大きいですが、Inwardも相応に大きな数値です。

2016年でのOutwardとInwardの割合(Inward÷Outward)は、

ドイツ0.65、フランス0.52、アメリカ0.70です。

これに対し日本は0.15と極端に小さな数値です。

流入と流出の割合を見ると、日本だけ極端に流出に偏ったグローバル化が進んでいると言えます。

 

次に、売上高(Turnover)だけでなく、労働者数についても同様に見てみましょう。

 

図5 多国籍企業の海外従業員数(Outward) (OECD統計データ より)

 

図6 多国籍企業の国内従業員数(Inward) (OECD統計データ より)

 

図7 多国籍企業の差引従業員 (OECD統計データ より)

 

図5,6にそれぞれ多国籍企業の進出している国で雇用している従業員の人数を示します。

(統計データ収集の都合上、若干違うカテゴリーがミックスされていますが、かなり小さな差異ですのでここでは統一的にグラフ化しています)

 

図5は海外進出している自国企業が、進出国で雇用している従業員数(Outward)です。

図6は自国に進出してきている外国資本企業が、自国で雇用している従業員数(Inward)です。

 

図7はその差引となっていて、自国で外国資本に雇用されている従業員数(Inward)から、

海外進出している自国企業が進出国で雇用している従業員数(Ouward)を差し引いた人数です。

 

この人数がプラスだとグローバル化によって自国民がより多く職を得た事になりますし、

マイナスだとその逆に職を失った(可能性のある)労働者の方が多いことになります。

 

図7で大きくマイナスなのがドイツ(-250万人)、日本(-420万人)、フランス(-440万人)、アメリカ(-764万人)ですね。

各国ともこの6年で大きく割合を増やしています。

 

イギリスだけマイナス(-189万人)からプラス(49万人)に転じているのが興味深いですね。

 

また、図5、図6を見比べてみると、

ドイツ、フランス、アメリカはOutwardの人数も多いですが

Inwardの人数も多く上位に位置します。

2016年のInwardとOutwardの割合(Inward ÷ Outward)をみてみますと、

ドイツ0.57、フランス0.29、アメリカ0.50です。

 

逆に日本はOutwardの人数は上から4番目(しかも6年間の伸び率が大きい!)ですが、

Inwardの人数は極めて少ない水準です。

日本は2016年の時点で、海外で雇用した従業員数が480万人近くになります。

日本の労働者が約5000万人ほどといわれますので、その1割近くを海外で雇用している事になるわけです。

 

また、日本の2016年におけるInwardとOutwardの割合は0.09です。

売上高同様、かなり流出側に偏っていますね。

 

 

いかがでしょうか、グローバル化と一口に言っても、

流出も流入も盛んなアメリカやドイツ、フランス、

流入が極めて大きい東欧諸国、などと比べると

日本だけ状況が大きく違うようです。

 

日本は海外への進出をしてばかりで、

海外からの流入が極めて少ない特殊な状況です。

このような流出ばかりに偏ったグローバル化は、

少なくともOECDでデータのある国の中では日本だけのようです。

これを日本型グローバリズムと呼んでも良いのではないでしょうか。

 

このような日本型グローバリズムが急速に進展した裏で、

前回まで見てきたように日本経済の停滞(衰退)が続いたわけですね。

 

全てがグローバル化のせいにするつもりはありませんが、

長期的にデフレから脱する事のできない大きな要因の一つとして、

この日本型グローバリズムがあるのではないでしょうか。

 

皆さんはどのように考えますか?

(専門家の方がいらっしゃいましたら、是非コメント等いただければ幸いです)

 

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