そもそも物価ってなに!? | 日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

「中小企業経営者」や「働く人」として危機感を持っている方へ
日本経済復活への解決策を共有していくブログです

日本経済復活への処方箋とは!?を考えていくブログです。

中小企業経営者の視線から、閉塞感の強まる日本経済に必要なモノとは何かを一緒に探っていきたいと思います。

 

前回は、デフレーションについて取り上げ、日本だけがマイナスで推移していることがわかりました。

 

デフレは物価が継続的に下落していく現象です。

前回のグラフで見る限りでは、日本の物価は昔の水準を下回っている状態が続いていますが、

下がり続けているわけでもないという事もわかりました。

かといって、下げ止まったまま小康状態が続いていますので、決してインフレという事でもなさそうです。

 

もちろん物価は上がれば良いというわけでもないと思います。

消費者からすれば、物価が上がる=モノの値段が上がるわけですから。

 

したがいまして、適度な物価の上昇があり、それを上回る経済成長(GDP、消費、賃金などの名目値)があって、

緩やかな実質値の上昇があるというのが好ましい循環なのだと思います。

 

あるいは、経済成長の過程で、供給が減るために物価が上がり(インフレ)、それらを指しい引いてもプラスの成長(実質的成長)がある、

という順番の方が正確な表現かもしれません。

 

現在は、経済停滞の中で、需要が減っているため物価が下がり(デフレ)、差引するとプラスの成長(実質的成長)があるように見える状況です。

 

もちろんこのような中で、物価が上がるから景気が良くなるとは必ずしも行きませんので、物価を上げる事だけに腐心するのはどうかと思います。

原因と結果を取り違えてはいけないという事ですね。

 

とはいうものの、そもそも物価とは何なのでしょうか。

今回は物価について考えてみたいと思います。

 

「(物価とは)」種々の商品やサービスの価格を、ある一定の方法で総合した平均値のことであり、物価指数として示される。いいかえれば、商品・サービスが貨幣に対してもつ交換価値のことであり、貨幣の購買力とは逆数の関係となる。」

 

少しわかりにくいのですが、要するに物価とは個々の値段を指すものではなく、総合的・一般的にとらえるモノやサービスの価値の事だそうです。

 

物価の程度を表す代表的な指標として、前回取り上げたGDPデフレータや消費者物価指数があります。

 

GDPデフレータは前回ご紹介した通り、名目GDPと実質GDPの割合として表現されます。

数値が1(あるいは100)よりも小さいと、名目GDPが実質GDPよりも小さい事になるので、デフレ状態という事です。

GDPデフレータは、国民が家計で消費したもの以外にも、企業が消費したものも含まれます。

 

一方消費者物価指数は、「全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの。すなわち家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によって、どう変化するかを指数値で示したもの。」とのことです。(総務省)

 

小売物価統計の小売価格の平均から、各種統計的な処理を施して、指数としてまとめたもののようです。

 

消費者物価指数は通常の総合指数CPI(Consumer Price Index)の他に、

コアCPIやコアコアCPIが使われます。

 

コアCPI: 天候などの影響を受けて変動の激しい生鮮食品を除いた指数

コアコアCPI: 食料およびエネルギーを除いた指数

 

国際的に物価指数として用いられるのは、コアコアCPIが多いようです。

 

それでは、まず各種CPIの推移について見てみましょう。

 

図1 消費者物価指数の推移 長期 (総務省統計局データより)

 

1970年を100とした場合のCPI、コアCPI、コアコアCPIについて図1に示しました。

ピークは1997-1998年で、CPI、コアCPIで311程度、コアコアCPIで325程度です。

1970年から50年弱かけて物価が3倍以上になっているという事ですね。

 

1997年以降は持続的に下がり、2014年あたりから少し上がっています。

CPIとコアCPIは2006年から2008年にかけて若干上がりかけていますが、

2008年以降は下がっています。

恐らくリーマンショックの影響でしょうか。

 

図2 消費者物価指数 短期 (総務省統計局データより)

 

図2に1997年以降の物価の推移を示します。

1970年を100としたまま、図1を拡大して表示した形になります。

2012までコアコアCPIは下がり続けていますが、

CPI、コアCPIは2008年に小さなピークが見られます。

2014年にグッと上がっています。

大よそ300くらいから、310くらいまでですね。

割合として3%くらい。

消費税が5%から8%に上がったタイミングですので、

ちょうど消費税増税分だけ物価が上がったという事です。

消費増税は物価の強制的な底上げ、という側面が如実に表れていますね。

 

ただし2016年以降はCPI、コアCPIが上昇傾向ですね。

この後の動きに注目したいところです。

 

図3 CPIとGDPデフレータの比較

 

図3にCPIとGDPデフレータを比較のために同じグラフにプロットしたものを示します。

いずれも1997年を100にしたものです。

念のため、GDPデフレータはOECDではなく、内閣府発表の国民経済計算の数値を使っています。

 

同じ物価を示す指数のはずなのですが、CPIとGDPデフレータには大きな乖離があるようです。

CPIよりもGDPデフレータの方が大幅に下振れしていますね。

 

CPIとGDPデフレータは対象や計算式が違うため、一致しないという事はよく指摘されるようです。

GDPデフレータは国内で生産されるすべてのモノやサービスを対象としていますが、CPIは家計で消費されたモノやサービスのみを対象としているという違いがあるそうです。

消費者物価指数には自国で生産されていない輸入品の購入も含まれていますが、GDPデフレータには含まれません。

逆にGDPデフレータには家計で購入されないような産業用の機械などが含まれます。

 

いずれにしても、ピークとなっていた1997年からは減少傾向が続き、2014年に消費増税分だけ増加している事は変わらないようです。

GDPデフレータは1997年に対して直近の2017年には87.7です。

CPIは100.8、コアCPIは100.1、コアコアCPIは95.5です。

 

試みにGDPを構成する要素のうち、家計現実最終消費についてのデフレータをグラフ化して掲載してみました。

コアコアCPIに大分近い推移となっていることがわかると思います。

 

図4 OECD各国のGDPデフレータ推移 (再掲 OECD統計データ より)

 

さて、改めて図4にOECD各国のGDPデフレータの推移を示します。

36カ国全てプロットしているので見難いですが、ご容赦ください。

他の先進国は少なくとも2003年に比べて10%以上の物価上昇があります。

G7平均で20%以上は物価上昇していますし、その他の国ではもっと極端に物価が上がっている国も多くあります。

 

少なくとも基準年を下回ったり、基準年を超えるかどうかという水準の国は日本以外ありません。

(アイルランドだけ2011年に基準年を割り込んでいますが)

ちなみに、GDPや賃金も同じような推移です。

 

他の国がこれだけ物価が上昇している中で、日本だけCPIが100近辺、コアコアCPIは100を超えない、

GDPデフレータに至っては90も行かない状況なわけです。

 

TVやインターネット上の議論などでも、コアCPIが前年度からプラスになったから厳密にはデフレではない、

などの指摘もあるようですが、もう少し長い目で見てざっくりと見てみるとどうでしょうか?

短期的な変動ばかりに注目してしまうと、大局的な動きを見逃してしまうのではないでしょうか。

また、国内の指標ばかり見ていても、世の中全体の趨勢は見えてきません。

 

日本は間違いなく1997年のピークから、衰退、良くて停滞を続けています。

物価にもその影響がそのまま反映されている状況ですね。

作家の佐藤健司さんは、「日本は衰退先進国である」とおっしゃっていましたが、

まさにそのような状況がこの物価のグラフからも読み取れるのではないでしょうか。

前年に比べて0.1%上がったか、どうか、を議論しているような余裕は無いように思いますがいかがでしょうか。

 

恐らく2019年、2020年の統計結果は消費増税分だけ、物価が上がったようなグラフになるのかもしれません。

確かに物価の底上げにはなっていますが、それで経済が成長するかどうか、税収が増えるのか、

今後の展開が待たれるところですね。

 

ちなみに、私は必ずしも消費税反対という意見ではありませんが、

1997年は消費税が3%から5%に上がった年である事にも注目すべきかもしれませんね。

 

すべてを消費税のせいにするつもりはありません。

私の主張はそれでも、個々の企業がより高付加価値なビジネスにシフトしていけば、

経済的な成長も可能なのではなないか、という事です。

 

例えば、物価水準が今よりも2分の1や3分の1の時代に値段が決まった仕事を、延々と値上げせずに受注している企業は無いでしょうか。

物価が上がれば対価に反映するのは、当然の経営判断です。

あるいは、生産性を向上させ、従業員の給与アップさせると共に、徐々に対価を上げていく事で、適度なインフレにも繋がるのだと思います。

単純に昔の値段を引きずったまま、自分たちで付加価値を下げている老舗企業も多いのではないでしょうか。

当然熾烈な競争を勝ち残るためには、値段を下げたり変えない努力は必要性のある事とは思いますが。

 

ただし、現在の日本の状況は、従業員を貧困化させるほど、値段を下げる事(上げない事)ばかりに気を取られているように思えるのです。

あるいは、中小企業で言えば、産業構造の中で下請けとして、一度決まった値段を上げる事に対して抵抗がある(上方硬直性がある)事も理解できます。

 

その結果、物価が上がらず、ビジネスも好転せず、かえって消費者である労働者が貧困化しています。

私は、今回のブログではこの点にこそ注目すべきではないかと思っています。

 

主に”企業”が適正な判断をした結果として、物価が上がるはず。

従業員のお給料を決めるのも、どんなビジネスをして、誰に何をいくらで売るのかを最終的に決めるのも、企業経営者です。

つまり現在の停滞を変えられるのは、”政府”ではなく、”企業経営者”ではないかと思うのです。

 

今の時点で消費税を上げる事は良い判断であったとは思えませんが、

消費税が上がった事をビジネスがうまくいかない言い訳にしてはいけないと思います。

 

皆様はどのように考えますか?

 

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