日本は本当に輸出依存国なのか? その1 | 日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

日本経済復活への処方箋とは!? 22世紀へのモノづくり

「中小企業経営者」や「働く人」として危機感を持っている方へ
日本経済復活への解決策を共有していくブログです

日本経済復活への処方箋とは!?を考えていくブログです。

中小企業経営者の視線から、閉塞感の強まる日本経済に必要なモノとは何かを一緒に探っていきたいと思います。

 

前回は、中小製造業の貸借対照表を取り上げ、平均的な中小製造業の貸借モデルを示しました。

 

今回は改めてGDPや輸出について考えてみたいと思います。

 

グローバル化が進む昨今ですが、中小製造業の経営者さんと話をしていると、

輸出型のグローバルビジネスに頑張って適応していかなければならない、と考えている方が多いように思います。

 

日本は輸出依存度が高いのだから、グローバルにビジネスを展開しないと取り残される、という思いがあるようです。

 

それでは、果たして日本は本当に輸出依存国と言えるのでしょうか。

 

最近の統計データを見ながら、情報をアップデートしてみたいと思います。

 

まずは用語の意味から確認しましょう。

 

GDP(国内総生産:Gross Domestic Product)とは、「一定期間(たとえば1年間)に国内で生み出された付加価値の総額」です。

GDPには、生産面、支出面、分配面から見ても総額は同じになるという三面等価の原則が成り立ちます。

 

生産面とは、企業などで生産された付加価値の合計という側面です。

分配面とは、賃金や税金など、生み出された付加価値を分配した金額の合計という側面です。

支出面とは、分配された国内総生産が最終的にどのように使われるのかという側面です。

 

企業経営者からすると、支出面=需要と捉えられますので、今回は支出面のGDPについて着目してみましょう。

 

図1 国内総生産の推移 支出側・名目 (国民経済計算 より)

 

図1は内閣府統計データである”国民経済計算”の支出側の国内総生産をグラフ化したものです。

金額は物価の変動を考慮しない「名目値」です。

年度での計算値となります。

 

支出面の国内総生産は、大きく次のような項目に分かれます。

民間最終消費支出: 主に家計最終消費支出など、民間での消費支出の総額

政府最終消費支出: 公共事業等の政府による消費支出の総額

総資本形成(民間): 住宅や企業設備などの民間での固定資本形成に要した支出の総額

総資本形成(公的): 住宅や企業設備などの公的な固定資本形成に要した支出の総額

財貨・サービスの純輸出: 海外との輸出から輸入を差し引いた正味の輸出額(輸出額が多い方がプラス)

 

折れ線グラフで示しているのが、財貨・サービスの輸出額です。

(純輸出がマイナスでもグラフ上で表現されており、わかりにくいグラフとなってしまいましたがご容赦ください。)

 

1994年度から2017年度のデータを示していますが、

GDPは合計500兆円前後でほぼ横ばいです。

直近の2017年度で見ますと、そのうち民間最終消費支出が303兆円(55.4%)、政府最終消費支出が108兆円(19.6%)、

総資本形成(民間)が19.0%、総資本形成(公的)が5.1%、財貨・サービスの純輸出が0.9%となります。

財貨・サービスの輸出額は98兆円で、GDPの合計値の17.9%にあたります。

 

内訳の推移を見ていきますと、民間最終消費支出は2007年度までわずかずつですが増加し、2008年度からほぼ横ばいです。

政府最終消費支出は一貫して徐々に増加し続けています。

総資本形成(民間)は2007年度までほぼ横ばいでしたが、2009年度に一気に下がり、その後徐々に元の水準に戻っています。

総資本形成(公的)は2008年度まで一貫して下がっていますが、その後はほぼ横ばいで推移しています。

財貨・サービスの輸出額は、2007年度まで増加していますが、2008年度に落ち込みその後徐々に元の水準に戻っています。

 

2007~2008年度を境にでそれぞれの項目の推移が変化しているのは、もちろんリーマンショックの影響と考えられますね。

 

さて、輸出については、GDPの17.9%程度で政府最終消費支出と同程度、民間最終消費支出の3分の1といった水準です。

はたしてこの割合が、輸出依存と言えるほど大きいかというと、私はそうでもないと考えます。

 

つまり、日本では内需の方が圧倒的に大きい(輸出の約5倍)ためです。

ただし、この内需が伸び悩んでいるという事が問題なのだと思います。

 

図2 国内総生産の推移 支出側・実質 (国民経済計算 より)

 

ついでに、物価の影響も考慮した「実質」値のGDPについても見てみましょう。

図2にグラフを示します。

このグラフの実質値は、2011年の物価水準を100とした場合に、各年のGDPを各年の物価水準で補正したものになります。

この補正する係数が、いわゆるデフレーターですね。

 

グラフをみると、名目値よりもなんだか右肩上がりに推移しているようです。

実質値でみると、順調に経済成長しているように見えますね。

 

何故でしょうか?

名目のグラフと実質のグラフをよく見比べてみると、なんだかおかしい事に気づくのではないでしょうか。

過去にさかのぼると、名目値よりも実質値の方が低いことがわかると思います。

 

1994年には、名目値でちょうど500兆円くらいなのですが、実質値では450兆円以下に目減りしています。

過去の数値を補正すると、実際の金額よりも低く評価されてしまっているのです。

 

図3 名目GDPと実質GDPの推移比較 (国民経済計算)

 

わかりやすくするために、GDPの合計値のみを重ね合わせてみましょう。

図3に名目GDPと実質GDPの推移の比較を示します。

やはり過去にさかのぼるほど、名目値よりも実質値の方が低くなっています。

 

何故でしょうか??

 

 

 

 

それは、ずっと日本がデフレ(デフレーターがマイナス)だったからですね。

 

インフレとは、モノの価値(物価)が持続的に上昇していく状況、デフレは逆で物価が持続的に減少していく状況ですね。

物価が下がると、その分お金の価値は高まります。

 

デフレだと、同じ名目上のお金を持っていても、モノの価値が下がりますので、買えるモノが増えるわけですね。

その”今”から考えると、相対的にモノの価値が高かった”一昔前”では、同じお金を持っていても買えるモノが少なかったわけです。

つまりお金の”実質的な”価値が今よりも低く評価される事になる、わけですね。

 

本来なら、適度なインフレ状態で物価が徐々に上がりながらも、それを上回る名目GDPの増加があり、その結果実質GDPが緩やかに上昇するのが、健全な経済成長だと言われています。

 

それが、名目GDPが横ばいなのに、デフレ状態で物価が下がっているものだから、一見経済成長しているように”みえる”といういびつな状況が、今の日本の経済状況だという事がわかります。

確か三橋貴明さんが、これを”デフレ型経済成長”とおっしゃっていたと思います。

 

確かに、同じお金で買えるモノが増えるのだから、実質的には豊かになったとも言えるかもしれません。

でもそれは、お給料が同じであれば、ですよね。

今まで、さんざんご紹介してきましたが、お給料自体も減っている状況では、必ずしも物価が下がってハッピーとは言い切れないわけです。

デフレ型経済成長は、結局このような国民の貧困化を招く、という影響が出ると言われています。

この辺りは、いずれもう少し勉強して詳しくご紹介できればと思います。

 

いかがでしょうか、現在の日本では輸出よりも内需が5倍ほどあるという事、デフレの影響で経済成長しているように見えるが問題も多いことが分かったと思います。

 

 

これは、日本だけの傾向なのでしょうか?

次回は、各国との比較をしてみたいと思います。

 

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