里川隧道は、和歌山県東牟婁郡串本町にある廃トンネルである。
竣工は大正3年から昭和6年までのいずれかと、とても幅が広い。また、廃道になったのは平成5年である。完成から、およそ100歳。
土木遺産としてはCランクであるが、レンガ造りのポータルを持つとの事で是非、鑑賞したいと思っていた。
今年の夏季休暇は南紀で過ごしたので、寄ってみることにした。
 
大阪からなら、すさみ南IC(現在の終点)で下りて、国道42号線を走る。釣りでも有名な、和深から県道39号線に曲がると、ほんの少しの町並みを通り過ぎる。その跡は、九十九折といった道を進む。ほんの数キロで現地に到着する。
 
新里川トンネル 延長155m、幅員6.5m、勝村建設施工。竣工は1993年なので、人間なら25歳ってところか。
目的の廃隧道道は、トンネル横の旧道を上がっていったところだった。車両は進入禁止だが、歩行者は問題無い。
 
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旧道になってから25年が経過しているので、若干の落石等があるが道自体は健全性を保っている。ただ、不思議なのは、路面がメチャクチャ滑ること。登るのはいいが、下る自信は無い。木の棒を拾って、転倒防止に備える。
 
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最終コーナーは、おそろしく鋭角だったので、トンネルがいきなり現れた印象。
 
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見事な大正時代のレンガ造りトンネルです。
最初の印象は、デコ(額)がやたら長いこと。ここまで長い人(トンネル)は見たことないですね。
里川隧道:延長86m、幅員4.2m、高さ4m
 
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扁額を取り付けてあった気配はあるが、現在は撤去されている。
 
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トンネルの入り口は、防獣柵が設置されているが、きちんと閉めれば通行は可能。
中は、レンガの覆工が続いている。
 
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入り口の覆工にひび割れが発生している。廃道になった直接の原因かもしれない。
 
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中央部に進むにつれて、新鮮なレンガの赤色がまぶしい。
 
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バッサバッサと音がする。懐中電灯を当てると!
トンネル内での撮影が成功したのたのは初めてです!
 
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反対側の坑から10mは、コンクリートで補強されていた。
 
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反対の坑口は、コンクリート造でやりかえられていた。
 
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コンクリート造りで見ることろが無さそうであるが、苔で覆われたトンネルポータルは芸術作品。苔マニア以外にも喜ばれそうです。
 
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この先は、新設の道路があるのだが高低差があって、階段が付けられていた。そこを下りて進むと、新里川トンネルの反対側となる。よって、そのまま新設のトンネルを通って帰ることにした。
 
近代以前に開発された熊野街道は幅50cm程度の山道であって、ここより奥の産業品(木材や炭)を運び出すのに難渋していた。そこで、明治の後期に熊野街道の拡幅を計画し、大正年間に完成させている。
この隧道が完成したことにより、どれだけ地域が活性化したかは容易に想像できる。

近代化遺産Cランクとは思えない容姿を見ることができて、わざわざ立ち寄った価値があったと思う。