本当は映画館で観たかったのですが、コロナの影響もあってようやく数少ないDVDを借りて「三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実」を鑑賞。

全共闘の最大の特徴は、中国の文化大革命に影響を受けたと思われる暴力の賛美にあり、その社会主義革命を夢見る東大生1000人相手に、取っ組み合いのバトルになる事なく、言霊によっての説得を試みる三島由紀夫氏。

ただ、戦後生まれでGHQ占領政策の影響をまともに受けた世代と戦前の教育を受けた三島氏とのギャップは埋める事は容易ではなく、天皇についての考えは全く相いれない。

ただ、三島はあえて「講堂で全学連の諸君がたてこもった時に、天皇という言葉を一言彼等が言えば、私は喜んで一緒にとじこもったであろう」と学生達の想いを全否定はしていなかった。

当時長髪にひげを生やし、赤ん坊を抱いた全共闘最大の論客といわれた芥正彦(あくた・まさひこ)氏も、当時から「(日本)国籍など関係無い」と言い、年老いた現在でも「俺は日本国で生きていない(自分は自分で作っている自治区で生きている?)」などとかなりの偏屈な方だが、彼が「当時一体何と闘っていたのか」の問いに「あやふやなわいせつな日本国」という考えは、案外三島由紀夫氏と共通していたのかも知れません。

そして討論から50年以上経過した日本国は、たしかに右から見ても左から見ても、三島由紀夫も全共闘の学生達も結局変える事の出来なかった「あやふやなわいせつな日本国」のままである事を実感した映画でもありました。