「Yellowjackets」シーズン1、終了 | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

アメリカのShowtimeで放送されていた

TVシリーズ「Yellowjackets」のシーズン1が

昨日ファイナルを迎えました。

 

 

1996年、女子高校サッカーの全国大会の会場である

シアトルに向かっていたニュージャージー州の

代表高校チーム「イエロージャケッツ」が

乗った飛行機がカナダを超えたところで山中に墜落。

19ヶ月に渡る彼女たちの大自然の中でのサバイバル生活と、

年を重ねた生存者たちの2021年の生活と怪事件を交錯させる。

 

すでにシーズン2の製作が決まっていることもあり、

サバイバル生活の核となるであろう事件は

今後詳しく語られていくはずだが、

女性主導で青春と過酷なサバイバルを描きながら、

その過去の傷を重く引きずった中年になった女性達の苦悩と

現在の「別種の戦い」をクロスオーバーさせる

ストーリーテリングはなかなかクレバー。

 

カニバリズムも飛び出すホラー色の強いハードコアな作品かと

思ったら、シーズン1に限ってはそうでもなかったです。

もうちょっとサイコロジカル寄りでした。

もちろん、ショッキングでヘヴィで凄惨な事件は

過去でも現代でも起こるのですが。

 

過去パートは96年が舞台なので、90年代のオルタナロックや

当時のヒット曲がふんだんに使われており、

Netflixの『フィアー・ストリート』をちょっと

彷彿とさせられましたが、使用楽曲の一部を挙げてみると、

リズ・フェア、ホール、PJハーヴェイ、ポーティスヘッド、

クランベリーズ、ジェーンズ・アディクション、

ダイナソーJr、マジースター、プロディジー、ベリー、

コレクティヴ・ソウル、ラッシュと

個人的にも青春時代に聴いた馴染みがあるバンドや曲ばかりで、

ドラマの世界に没入しやすかったです。

 

なにより感服したのがキャスティング。

ジュリエット・ルイス、クリスティーナ・リッチ、

そして今になってブレイク中のメラニー・リンスキー

(『乙女の祈り』の片割れ!)という現代パートの女優陣は

確かに安定していますが、それ以上に過去のティーンを

演じた女優陣のアンサンブルが出色。

 

特にソフィー・ネリッセ(『やさしい本泥棒』)、

ソフィー・サッチャー(『プロスペクト』)、

コートニー・イートン(『マッドマックス 怒りのデス・ロード)、

そして現代パートに出演しているサラ・デジャルダン(「インパルス」)。

このフレッシュな組み合わせは上手い、憎い。

 

シーズン2以降は、カルトで呪術的でトライバルな

サバイバルホラーが加速していくことでしょう。