(ネパール、ポカラののどかな風景。去年の夏はこちらで過ごしました)
こんにちは。城本クリニック 形成外科専門医の塩崎です。
本日はワキガの話。
冬でもワキの汗、気になります。
意外と相談に来る方は女性が多いのです。
しかし、「女性にワキガが多い!」というよりは、「気にもしていない男性が多い!」ということでしょう。罪深い。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さて、ワキガというのは、「腋臭症(えきしゅうしょう)」というれっきとした疾患です。
汗をかく「汗腺」には、アポクリン汗腺、エクリン汗腺の2種類があるわけですが、
前者、「アポクリン汗腺」から分泌される汗。これに含まれる脂肪酸が、細菌による化学的変化を受け、悪臭を発する
というのが、腋臭症のメカニズムです。
疫学としては。
①耳垢がWet(湿っているタイプ)の人の79〜87%に腋臭を発症する(!)
②女性の方が、わずかに多い
③女性の場合には、月経の開始時期と腋臭の発症時期に相関がある
④優生遺伝する
⑤一般に、体毛が濃い人種の方が臭いが強い。
などと言われています。優生遺伝なんで、臭い強弱はおいておいて、結構な数がいるはずですね。
ちなみに、前述の「エクリン汗腺」の分泌が多い方を、「多汗症」と呼んで区別することもあります。
ここからは治療編。
①脱毛してしまう。
「えっ??」て感じですが、意外と効果的です。おそらく、脇毛にいる細菌の絶対数を減らすことと、
腋毛にたまる汗を減らすことができるからでしょう。
逆に言うと、疫学上女性の方が腋臭症が多いのに、明らかに臭い男性の方が多いのは、腋毛の処理の問題なのかもしれません。
②ボトックス 注射。
「ワキガにボトックス !」。。時々見かけるキャッチコピーですが、正確ではありません。
ボトックス が効果的なのは、前述の「エクリン汗腺」の方だと言われています。
したがって、「汗が多くて」困っているなら、ボトックス はよい適応ですが、明らかな悪臭のある人にボトックスのみで、
臭いが改善するわけではないです。
とはいいつつも、私も、最初にボトックスを勧めることは多いです。
汗の絶対量がへれば、細菌の繁殖が抑えられ、すくなからず効果があるのではないかな、と思っているから。
また、ワキガの方のほとんどが「腋の臭いと、汗」に悩んでいると考えているからですね。
ただ、根本的な解決になるわけではないです。効果も、半年程度と考えておくとよいでしょう。
「手術しなくてよい」というメリットは大きいです。
③マイクロ波機器。(あくまで個人の感想です。名前も出しませんが、「切らないワキガ治療」のやつですね)
最近流行の機器です。
マイクロ波で、切らずしてワキガを治す、というのがウリです。
麻酔の注射はしますが、痛みも軽度で、2-3時間 横になっているだけで治療を終わらせることができるという優れもの。
麻酔を減らしてもらったらちょっと痛かったですが。。
そう、何を隠そう私もやったんです。やられている間は退屈でした🥱
結論からいうと、直後は素晴らしく臭いが消えました。が、半年程度で臭いがもどった印象ですね。
私の知人の、結構重度の腋臭の男性も、臭いが戻ってきました。
各HP見ていると、「一時的にダウンしていた汗腺が機能を取り戻すだけなので、再発ではない」という説明がなされています。
まあ、そう言われれば何も返せませんが。。ただ、確かに、臭いはともかく汗の量は少し減った印象ですね。
これもあくまで「印象」。そもそも汗の量も臭いも、なかなか客観的評価が難しい。
というわけで、期待過剰だとがっかりするかもですから、
2回目以降の治療の、相談に乗ってくれるクリニックを検討してみてもいいかもしれません。
(悪意のある書き込みではなく、あくまで、腋の臭いに悩む一人の男性の治療経験です。違う意見もあるかもね)
手術治療についてはまた次回。