美容外科/形成外科 塩崎医師のブログ

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元都内大学病院 形成外科 医局長。現在は都内で美容外科医として勤務中。二重瞼と鼻、豊胸が専門。
全て「自然かつ華やか」を信条としています。
美容手術、医療問題、医師のキャリアについて。
診察のご用命は新宿アマシオクリニックで予約をお願いします。

こんにちは。
 
アマシオクリニック院長/アマソラグループ形成外科 専門医/医局長 塩崎です。
 
本日は鼻整形の怖い合併症「感染」の話。
時々X(旧Twitter)でも話題になる、鼻感染。
 
感染が怖くて二の足を踏んでいる人もいると思います。
が、エビデンスに基づいたリスクと、適切な対処を覚えれば、少なくとも過剰な心配をする必要はなくなります。
怖がるのは大事。でも、「正しく」怖がりましょう。
 
 
 
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(鼻整形は、感染しないで1撃で終わらせるに越したことはありません。)
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そもそも感染って何?
 
CDCによる厳密な定義はあれど、形成外科領域の「創感染」とは、
 
「手術の傷において内部に細菌が増殖、膿の貯留や組織の破壊をきたした状態」と考えてください。
「傷が膿んでいる」というやつですね。
 
審美的には、せっかく形成された鼻の形が変形してしまう、場合によっては内部の移植物の除去が必要となります。
感染が高度になると、拘縮なんて言って元の鼻よりも低く潰れてしまうことがあります。
 
鼻手術の感染は、時として悲惨な結果になる(高いお金をかけて痛い思いをして、元の鼻よりも形が悪くなってしまう!)
ことがあります。
 
例外なく、本来は1例たりとも許されない、というのが塩崎の考え
 
ちなみに「感染」「感染症」っていう言葉は実はちゃんと定義があるので、
「鼻手術に基づく、創部の感染=鼻感染」という臨床の現場に則した言葉でここでは語っていきましょう。
 
本日のお品書きは。。
 
1、鼻感染に関する、信頼性の高いデータ。
2、鼻感染が起こりやすい「リスク」。
3、鼻感染を個人レベルで対策するには!
 
の3本です。
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1、鼻感染に関する、信頼性の高いデータ。
 
まずはいつもの通り大前提。比較的信頼性の高いデータから読み解いていきましょう。
 
東アジア人の鼻整形2630人に対する感染を研究した報告
 
・感染率は全体で0.84%(22例)
・初回手術 vs 再手術: 初回手術の感染率は0.19%、再手術では3.63%(約19倍)
・感染の時期: 50%の感染が術後1か月以内
・MRSA(耐性菌)の検出は22例中8例
 
ここで重要なのは、初回手術の感染率は0.19 %、というデータ。
このデータだけ見ると、感染は1000人に2人。そこまで恐ろしい数字ではないです。
(『感染=鼻が変形してしまう』という意味ではなく、小規模な感染も含んでいると考えてください)
そして、再手術の感染率が3.63%。修正は注意が必要、というのはそういうことです
 
耐性菌の検出は思ったより低い。
以前「耐性菌がいないのに感染したら、それは施設が悪い!」という先生もいましたが、それは明確に違います。
が、予め検査しておくのは悪くないです。決して値段の高い検査ではないし、負担も少ない。
 
このデータからは、「初回手術で、何事もなく1ヶ月経過してくれれば、一安心かな」と読み取れます。
 
 
2、感染のリスクを高める因子
 
特に以下の要因でリスクが高まるとされています。複数の研究データをまとめます。
 
・喫煙:術後早期の感染リスクを約3.7倍に高め、長期的な合併症も増える。
・飲酒、辛いもの、動物との接触(術後1ヶ月以内):感染リスクを優位に高める。
・再手術(修正手術):瘢痕や血流障害によって感染・合併症率が高まる。以前の感染歴もリスクを高める。
・高年齢(40歳以上):合併症発生率が有意に上昇する。
・長時間手術・大きな移植片:死腔や血腫が生じやすく、細菌が繁殖しやすい。
・汚染手術:口の中など、細菌が多い部分との同時操作はリスク。
・口腔内環境:口腔を清潔に保つことは間接的に感染予防につながる可能性。
・複数手術の同時実施:感染リスクをそれぞれ約1.27倍、2.39倍に高める。
 
まとめると、
喫煙者、修正手術、女性で高齢、長時間や複数の手術、口腔内操作を同時に行う場合はリスクが高い。
 
術後1ヶ月以内の動物との接触、辛いもの、飲酒もリスクを高めると考えられます。
 
 
3、じゃあ、感染対策として個人で行えること?
 
年齢や性別は変えられないので、できることをやっていきましょう。
 

 

⚪︎喫煙、飲酒、ペットとの接触、辛いものを避ける。

 

とりあえず術後1ヶ月間で良いから、我慢しましょう。👩「簡単にいうな!!」って思うかもしれないけど、

大金払って痛い思いをする手術なんだから、このくらい我慢です。

できたらそのまま禁煙するのが、医師としては推奨。

 

 

⚪︎大規模な手術、他の手術との組み合わせを避ける。

 

これはいろんな考えがあります。当グループ院でもまとめて手術をする医師もいるし、ダウンタイムをまとめて取れるというメリットもある。

 

が、塩崎個人としては、「口の中を操作する手術」「大規模な手術」との組み合わせは絶対NGにしています。

 

例えば顎プロテーゼ、大規模な脂肪吸引、骨切りなどは同時には行いません。

二重などの目元手術や、顔の脂肪吸引くらいかな。貴族手術は大丈夫です、同時とはいえ、原則鼻の操作が終わってからやりますからね。

 

さて、この背景として、

 

①口の中というのは原則汚染された部位と考えられるから。どんなに気をつけても、口腔内は細菌だらけです(少なくとも形成外科領域の手術では、「口の中」は、最も汚い部位です。)

 例えば形成外科の花形の一つ、口腔や頭頸部(のど)の再建手術はまさに感染との戦いです。

 

②人間の体には「予備能」という考えがあります。「予備として残っている回復力」みたいなニュアンス。

医師の間では、「この患者さんは高齢で予備能が低いから注意しよう」みたいな使い方をします。

 

簡単に言えば、「手術の際に、体を回復させる」のには残った力を振り絞って回復するわけですよね。

規模の大きな手術を同時に行えば、そちらにも体力を配分しなくてはいけません。

回復が悪くなれば感染だってしやすくなります。

 

まあこれもいろんな事情があるので、頭から否定するものではないです。

ただ、「感染は絶対させたくない」という気持ちがあるなら、できることは全てやりましょう。

 

⚪︎手術プランをよく考える。

 

ご自身が修正の手術だったり、埃が舞うような環境(例えば屋外での仕事がメインとか)、以前感染したことがあるなどの

場合には、とにかく注意して、トラブルを早期発見するようにしましょう。

 

そもそも、やらなくてもいいかな、、という修正なら、「やらない」という勇気もあります。

鼻整形は修正で感染率が上がるので、2回の手術をすることそのものがリスクです。これが常々いう、

「鼻整形は一撃で決めて」という根拠となります。

 

(ちなみに、「修正」というのは鼻を再度開けることをこの場では指しています。鼻尖形成した後に鼻翼縮小する、みたいなのは大丈夫ですよ)。

 
 
 
長くなったのでまとめると、
 
・喫煙、飲酒、ペットとの接触、辛いものを避ける。
 → とりあえず術後1ヶ月間は我慢しましょう。
 
・大規模な手術、他の手術との組み合わせを避ける。
 → 特に口腔内手術や大規模な脂肪吸引、骨切りなどはよく考える。別日にやれば済む話。
 
・手術プランをよく考える。
 → 修正手術や感染歴がある人は特に注意。そこまで悩んでいないなら「やらない」選択肢もあり。
  また塩崎がよくいう話ですが、後もどりしてやり直す、、というのもよくある話。可能なら最初から肋軟骨。
 
★医師側の対策
 
患者側の要因ばかり話すのは不公平。
悲しいことに、「感染しやすい手術の手法」はやはり存在します。

詳細は省きますが、塩崎の手術にも10以上の「チェックポイント」があります。

ここら辺はブログの趣旨にそぐわないので省略しますが、カウンセリングの時に先生に相談してみましょう。

 
 
当たり前の話ですが、
 
・適切なプランニング
・出血やデッドスペースの管理
・清潔な施設、訓練された医師とスタッフ
 
新宿アマシオでは開院以来、小さいものも含め鼻の感染は非常に少ないです(去年ー今年はゼロです)。スタッフの努力の結果だと思います。
 
 
★最後に、超重要なこと
鼻に触らない!!です。
せっかく整形した鼻でも、1ヶ月は触らないこと。わかりますよ、鼻の手術がうまくいっていても、うまくいっていなくても触りたくなります。でも、触ることはリスク。指の雑菌がつきます。
 
全ての術式のダウンタイムに言えることですが、過度に心配してしまう方、治りが悪くなる傾向にあります。
 
次回は「鼻感染したかも!?どうする!?」をテーマにお話します。
 
 
参考文献:
Lee MR, et al. Impact of Smoking on Primary Rhinoplasty Outcomes. Aesthet Surg J. 2022;42(12):1345-1352.
Daniel RK. Rhinoplasty and Infection: Prevention and Management. Clin Plast Surg. 2016;43(1):157-165.
Bloom JD, et al. Age-Related Risks in Aesthetic Surgery. Aesthet Surg J. 2017;37(7):757-764.
Sato H, et al. Positive Impact of Perioperative Oral Management on SSI. Medicine (Baltimore). 2023;102(37):e34212.
Wang K, et al. Predicting Risk of Infection After Rhinoplasty with Autogenous Costal Cartilage: A Cohort Study. Aesthetic Plastic Surgery. 2022 Feb;46(2):706–717.
 
 
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