磁気との闘い part2 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」のスタッフブログ

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皆さんこんにちは!!

佐々木です。

 

前回はペイラードが耐磁性のヒゲゼンマイとテンワを開発したところまで書きましたね。

今回はその続きから書きたいと思います。

 

パラジウム合金製テンワの開発から間もなく、ペイラードはアメリカのビジネスマンであるチャールズという人に出会いました。

チャールズは、ハイグレードな時計にペイラードが作ったヒゲゼンマイとテンワを使用したら良い商売になるだろうと目論んだそうです。

 

そこでチャールズはペイラードを説得し、ペイラードと彼の相棒のスイス人一人、その他数人のアメリカ人の経営陣や投資家を引き込んで、1886年4月に 「Geneva Non-Magnetic Watch Co.」 を設立します。

さらに翌年、アメリカに於いて耐磁性のヒゲゼンマイの特許を取得し、本格的に時計の販売が始まりました。

 

この会社は当初、16石~20石のハイグレードなタイムオンリー(時分秒のみ)の時計を販売し始め、その中でも最高級のものは、年に四回行われるジュネーブの天文台コンクールで、常に高得点を得ていました。

そしてその後、リピーターやクロノグラフ等の複雑時計やレディースの時計等、かなりのバラエティの商品を追加。

ちなみにこの時期の時計の文字盤とムーブメントには 「Geneva Non-Magnetic Watch Co., New York,」 その他幾種類かの表記が見られ、ムーブメントには 「Paillard’s Patent Non-Magnetic Balance and Spring」 もしくは「Spiral」 と書かれています。

 

その後1888年1月に、会社は 「Non-Magnetic Watch Co. of America」 という名前で再編成されました。

このあたりまでは会社として順調に成功してたのではないかと思いますが、それから後、会社は数回の再編成を経て、1893年には潰れてしまいます。

この時期にはウォルサムやエルジン他のアメリカメーカーも耐磁の時計を販売し始めていたことから市場での競争が激しくなったことも確かでしょうが、、、どうやらそれ以上に、500以上の銀行、いくつかの主要鉄道会社すら倒産した1893年の経済パニックを乗り切れなかったというのが、実情のようです。

 

と、、、ここまでがノンマグネティックウォッチカンパニーについての大まかな流れです。

だいぶ端折りながらの説明でしたので、分かりにくかった方もいらっしゃるかもしれません。

 

今回の参考資料は、NAWCC(米国時計協会)のBULLETIN No.287です。

もっと詳しく知りたいという方はパスタイムにありますので、遠慮なくご覧ください!!

 

おまけ

 

今回も調べているときに本で見つけた時計を紹介します。

 

これはノンマグの16サイズ複雑機構付きの時計だそうです。

 

まず文字盤側を見ますと、針が5本あるのがわかりますね。時刻表示のための時針分針、クロノグラフ(ストップウォッチ機能)の秒と分積算計があります。6時位置にあるのは1/5秒計といってジャンプしながらせわしなく動く針です。うちでは「ピョンピョン」なんて言ったりします(笑)

 

ムーブメント側を見ますと如何にも複雑そうなのが分かりますね。まずクロノグラフの機構があります。そしてなんといってもこの時計の目玉は、two trainと呼ばれる機構がついていることです。これは香箱と輪列が二種類ある機構です。一つは一般的な時刻表示のためのものであり、もう一つは先程書いた1/5秒計のためのものですね。

 

「Non-Magnetic Watch Co. of America」の時計は決してメジャーではありません。

でもどれも良質な、注目すべき時計だと思います。

 

 

 

 

 

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