今年は、クレモナ在住ゆえにご当地の研究紹介を綴ることが多くなってますが。

クレモナのPalazzo di Fodriにてニスのワークショップに参加してきましたので、

そのさらっとした紹介を。

#さきにお断りしておきますが、私は化学は全くのド素人で

 詳しいことは良くわかりません!
 だから詳しく語れない…

 

今日の講演は、ヴァイオリン博物館でいつも一緒のパヴィア大学マラゴーディ先生と
ときどきランチを食べに?博物館に来るミラノの楽器製作学校のカネヴァリ先生。

どちらもニスのエキスパートです。

 

今日のレクチャー、どうやら、彼らの研究によると、

500年ほど昔のニスには何を使っていたかが古い文献に書かれているそうで、

材料は、リンシードオイル(亜麻仁油)とコロフォニウム(松などの樹脂、

いわゆる松脂などを煮詰めた残留樹脂)を混ぜて、

それをベースに他の樹脂を加えていたそうです。

 

前半は化学的な樹脂の結合や古い文献から読み取れる成分についての講義で、
後半は500年前のニスの製造デモンストレーション。

 

マラゴーディ先生は、フレスコ画の画材やヴァイオリンのニスの成分を研究していて、
パヴィア・チェルトーザの修道院の壁画や、ストラディヴァリのニスの研究で知られています。
彼によると、ストラディヴァリのニスの破片を分析したところ、
(ほんの小さな欠片を分析にもらえるだけでも相当スゴイことなのだ!)
紫外線を当てその反射光による色のスペクトル成分から、
いろいろニスに含まれる金属成分が分かるのですが、
特にFe(鉄)が多く含まれているそうです。
この鉄はニスの樹脂ではなくピグメントではないかと。

 

ちなみに、彼と先日、ランチしていてニスの話とかを聞いたのですが、
やはりストラドのニスは、リンシードとコロフォニウムのオイルニスでだろうと。
あと、下地の目止めの層にはプロテインが検出されていることから、カゼインかもしれないけど
他の可能性(動物系のゼラチンとか)もあるからそこはまだ断定できないなぁ。
最近は、ストラディバリは薬局やから市販のニスを買ってたとか、まとめて家具屋に
ニス塗りを頼んでたとかいう噂もあるけど、彼がオリジナルで作ったと思うよ。
というコメントをしていました。

 

これは個人的な想像ですが、そんな400年も500年もの昔に、

しかもイタリア人の気質からして、そう複雑で秘密めいたことはしてないんじゃないかと。
イタリアのレシピは基本的に(料理も)、ピュアで高品質な素材をそのまま活かす、
というのが彼らのモットーのようですから。

日本料理やフレンチのような隠し味や複雑な奥深い味とはちょっと違うようです。


200℃まで熱したリンシードオイルにコロフォニウムの粉末をいれ、さらにマスティーチェを投入。

化学の研究施設。天井やシャンデリアも歴史的なもので、これまた雰囲気がある。

 

次回は、木材の話だそうで。楽しみだ。