前々回?クレモナにある私立の方の製作学校Academia Cremonensisをご紹介しました。

今日は、その学校と深い関係のあるLucchi氏のお店のインタビューです。

#Lucchi・・・ルッキと読みます。

 

ルッキメーターを開発しクレモナの弓製作に貢献をしたGiovanni Lucchi氏。

彼が亡くなってからは、お店は娘さんが継いで切り盛りしていらっしゃいます。
ホームページは日本語もあります。
http://www.lucchicremona.com/portal/ja/

 

ヴァイオリン博物館のすぐそばということもあり、
材料を買ったりする製作者のほかにも、お土産を買うお客さんも良く見かけます。

 

先日、アポを取って1時間ほどルッキメーターと木材の研究についてお店にインタビューをしてきました。
Giovanni氏はクレモナで弓作りを始めた製作家というだけでなく、研究者、技術者でもありました。
その息子さんのMassimoさんも今は技術者として働きつつ、父の残したルッキメータの販売や解説、
木の材質に関する講演なども行っているそうです。今も製作学校のために尽力もされているとか。

 

ちなみに、音質を計測する?Androidアプリも作っているようです。http://www.lucchisound.com/
(これはまたの機会に調べてみます)

 

ルッキメーターは、材料の内部音速を超音波発信機でもって計測するもので、
材料の両端に端子を添えるだけの簡単な装置です。

学者仲間内ではその値の厳密さの議論は残りますが
とにかく製作家や木材店ではこれで十分かと思います。

 

そのメーターでルッキ値(音速)を測ると、その材質が軽くて硬い方が数値が上がりますが、

かといって、大きければ大きいほど良いというものではなく
ヴァイオリンや弓では、ある程度の範囲にある必要があります。

 

この適正値は公開されているとのことですが、一部を紹介しますと、

ヴァイオリンの表板(スプルース)4350-6300
ヴァイオリンの裏板(メープル)3300-5200
弓の材料(ペルナンブーコ)4350-6130

なお、ヤング率は、 E = 音速の2乗 * 密度、で計算できます。

 

ヴァイオリンの材料はくさび型にカットされることが多いのですが、
・木の芯に近い方がこれらの値が大きくなる傾向があり音がよくなり、
・どの部位をカットするかをこのルッキメーターで測って切り取るべき、
と、Massimo氏は説明してます。(下の図)

 ルッキ氏の資料より許可を得て引用

 ■ 2の切り取り方のほうが値の高いところを使っているから音が良い(ルッキ氏)

 

ここで、

私がよく受ける質問「ヴァイオリンの1枚板と2枚板、どっちが音が良いの?」

についても少し言及をしようかと思います。


上の話を信用すると、もし同じ木であれば2枚板のほうが音質が良いことになります。

ルッキ値の高いところを使うことになるからです。
また、2枚板は楔をちょうど年輪垂直方向に二つに割って張り合わせるため、
左右の材質がほぼ等しくなりますが、1枚板では↓図の右側の部位(木の外側)が音速が低く
左右のバランスが異なることが分かります。

では、1枚板のヴァイオリンは音が良くないか?
これは正直分かりません。

 

板の接合の違いだけについての統計的計測は難しいでしょう。
#つまり、1枚板と2枚板のヴァイオリンをいっぱい集めて測定しても、
そのほかの音色を決める要因が多すぎて統計的な結果は出せない。

裏事情的には製作する身でいえば1枚板の方が作業が早いので好む製作者もいます。
見た目が良くで売れやすいという意見もあります。

 

結局のところ、、、私には結論が出せません!!

 

#余談
いやー職人として作業が楽とか売れやすいとかダメじゃん・・・って言わないでください(^^;
みんな生活がかかってるし、商売をしなければいけないのです。
とかく日本人の愛好家は職人とはこうあるべき!(とある映画のように・・・)

みたいな硬いイメージ(過ぎる)固定観念をもってますが、
こだわりとか理想とか伝統ばかりではダメなんです。
作業効率とかマーケティングとかもヴァイオリン製作には大事で、
しっかりとビジネスとして向き合って仕事していかなければいけない、

と、この業界を見てきたらそう思うわけです。

(実際、こちらの人たちはそうとらえている)