ヴァイオリン博物館に常駐しつつ、時折、研究や製作の紹介をするブログ。頑張っています。。。

クレモナはアマティ、ストラディバリ、グァルネリ、ストリオーニ、サッコーニといった過去の巨匠をリスペクトした製作学校があります。

街には世界各国から来た学生が沢山住んでいます。


国立の専門学校であるクレモナ国際弦楽器製作学校(IPIALL)がよく知られていますが、
実はもう一つ製作を学ぶ学校がありAcademia Cremonensisという私立の学校があります。


Academia Cremonensis
http://www.academiacremonensis.it/


先日、この学校で弓を教えている日本人マエストロに会いにお邪魔してきました。


 天井が素敵! 昔の壁画がそのまま残っている

堤氏は日本で学んだあとクレモナでヴァイオリン製作を学び多くの受賞歴もある方で
なんと楽弓製作もするという珍しい二刀流のマエストロです。

IPIALLは、いわゆる日本的な高校や専門学校のように課程教育で、イタリア語や数学、物理から体育まで楽器以外の授業も取らなければ卒業できません。

一方、Academia Cremonensisでは、単純に製作だけを専門的に学ぶということになっています。
コースも2年間で楽器製作のみという点が大きく違い、短期間でクレモナで学んだという実績が欲しい人、すでにどこかで製作を学んだ人、IPALLで学んでさらに勉強する人などがいるそうです。


IPIALLが5年(!、単位組み込みや飛び級もありますが)もかかるのに対するとかなり違いますね。ちなみに私がかつてヴァイオリン製作を学んでいた時は、どちらの学校にも入らず直接工房に弟子入りをしていました。日本で大体学んだ後でしたので。


さて、弓の製作についてですが、ヴァイオリンの製作をやっていると弓も作るのか?とよく聞かれます。

まったく違う仕事であり、両方やる人はかなり少ないです。
もちろん、毛替えとか多少のメンテナンスは工房の経営や収益の点から(!?)しますが、一から作るとなると話は別です。

堤さんによると、やはり考え方や微妙な性質が弓作りにはあって、ヴァイオリンづくりとはまた違って面白いとか。

ヴァイオリン以上に、素材の良さが音を決める割合が高く、7-8割は材料のペルナンブーコの木の材質が良しあしを決めてしまうとのことです。どんなに名人でも木がだめだと、どうしようもないということですね。


ということで、堤さんも材料の科学的計測を当然やっているということで、
比重、ヤング率、内部音速を測り適正値を使うとのことです。


音速やヤング率(ここでは縦弾性係数、曲げ弾性ではなく)はルッキメーター(Lucchi Meter)で測ることができます。このルッキメーターは、クレモナの弓作りの祖に当たるGiovanni Lucchiが開発したもので、比較的手軽に内部音速が測れる、多くの製作に携わる人が使っています。
(このルッキメーターとLucchiさんについては次回のブログで!)


この学校の見学も最初はほんのご挨拶のつもりが、いろいろと聞いているうちに長話になってしまいました。
(堤さん、ご親切にどうもありがとうございました!)