2021.12.18一日一季語 霜(しも) 【冬―天文―三冬】
霜掃きし箒しばらくして倒る 能村登四郎
一読では、立てかけた箒がしばらくして倒れた事実だけの客観写生とも思える。
能村登四郎『長嘯』(角川書店)筆頭の句。この句集で、第8回詩歌文学館賞を受賞している。
[受賞のことば]
突然に驚いて…
全く予期しない賞だったので事実驚いた。
対象になった句集「長嘯」は私の十一番目の作品集で三年間で出来たものである。七十の後半からようやく俳句のもつ面白さが理解できて来たのか、作っていて実にたのしい。たのしいので次々と出来句の数も従来とはどこか違った。ただしよい悪いは自分では全く分らない。そんな途方もない作品を世の人が認めて下さって審査の方の眼に止ったことに感謝の他はない。
俳句の面白さがわかるには、私など、まだまだということであろう。
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【傍題季語】
霜の花(しものはな) 霜の声(しものこえ《しものこゑ》) 青女(せいじょ《せいぢよ》) 大霜(おおしも《おほしも》) 深霜(ふかしも) 強霜(つよしも) 朝霜(あさしも) 夜霜(よしも) 霜晴(しもばれ) 霜雫(しもしずく《しもしづく》) 霜解(しもどけ)
【季語の説明】
冬の早朝などに地面や草の葉の表面に付着する氷の結晶。氷点下(0度以下)に冷却した地面や地上の物体に、空気中の水蒸気が触れて昇華(固体化)してできる氷の結晶のこと。気温が低くよく晴れた夜に多い。青女(せいじょ)は霜・雪を降らせる女神、霜の異称でもある。日本語では、「霜が降りる」「霜が降る」と表現する。
水中の水分が凍ってできる霜柱(しもばしら)とは異なります。
【例句】
霜踏んで応へはるかに聞いてをり 水内慶太
詩を刻す墓も石なり霜の花 片山由美子
手を擦つて机辺離るる霜の聲 岡本眸
前生も霜夜の猫を抱きすくめ 中原道夫
霜の夜の笛を納めし笛袋 山尾玉藻
【季語の語源など】
寒い時期に、朝起きて外を見ると、庭木や芝生、車の窓、隣の屋根などが白くなっています。昔は、霜が降ったなどと言われていました。現代では、霜は降るのではなく、空気中の水分が凍ってできることが分かっているため、霜が降りるなどといいます。
気温は5℃、地面付近の温度は0℃以下というのが気温の面での霜が降りる条件なのだとか。
【今日は何の日】
源内忌
江戸時代の学者・平賀源内の安永8(1779)年の忌日。
同年夏に誤って人を殺して投獄され、獄中で亡くなった。
以下の図書、ホームページを参考、引用しています。
(合本俳句歳時記 第四版 角川学芸出版)
富山いづみ <admin@nnh.to>
(カラー図説 日本大歳時記 講談社)
(大人も読みたい こども歳時記 長谷川櫂監修)
( 季語と歳時記の会編著 小学館刊 )
(ウイキペディア)
(575筆まか勢)
(俳句のサロン)
(一般社団法人日本記念日協会)