重度身体障碍者である主人公は、グループホームでウェブライターをしながら、大学の通信課程で学んでいる。
「生まれ変わったら高級娼婦になりたい」とTwitterでつぶやいたりしていたが、ホームのヘルパーにアカウントを知られていたことが発覚する。。。
芥川賞受賞作。
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グサッと刺された気がしました。
健常者の傲慢を指摘されたようで。。。感想、書きにくいです。
以下抜粋です。
厚みが3、4センチはある本を両手で押さえて没頭する読書は、他のどんな行為よりも背骨に負荷をかける。私は紙の本を憎んでいた。目が見えること、本が持てること、ページがめくれること、読書姿勢が保てること、書店へ自由に買いに行けること、──5つの健常性を満たすことを要求する読書文化のマチズモを憎んでいた。その特権性に気づかない「本好き」たちの無知な傲慢さを憎んでいた。
紙の匂いが、ページをめくる感触が、左手の中で減っていく残ページの緊張感が、などと文化的な香りのする言い回しを燻らせていれば済む健常者は吞気でいい。出版界は 健常者優位主義 ですよ、と私はフォーラムに書き込んだ。軟弱を気取る文化系の皆さんが蛇蝎の如く憎むスポーツ界のほうが、よっぽどその一隅に障害者の活躍の場を用意しているじゃないですか。