伏流 (5) | 新サスケと短歌と詩

新サスケと短歌と詩

短歌と詩を公開します。

高校文芸部・年刊誌「白房」(はくほう)1967年版に載せて貰った、自動記述法(オートマティズム)の連作より、次の作品をアップする。


  伏流 5

    新サスケ


彼は笑う……鳩のごとく……

乾砂はこぼれる さらさらさら……

真珠からロケット弾が飛び出しました

ぼうぼう 砂漠に立つ柱サボテンが

数本の腕をにょっきり曲げるように

墜落しゆく飛行機がまき散らす光るもの

風になびいて飛んでは行ったが

身うちにさあと風が吹きすぎるように

やはり吸取紙にインクはにじんでいきます

かわゆらしく あつぼったく

蜂のあのせわしない羽ばたきのように限りない質問に

金星からは沈黙が帰ってくるばかり

うつろな表情は溜め息をひそめるような

回すんじゃない 回すんじゃない

街の心は水道に流れてゆきます センチメンタル?

もやの中に自転車の後ろ姿がしだいにおぼろになってゆくように

天井には障子の詩情

かすかな冬の日ざしだ