「Hey Yeah! 30」



櫻葉。



嵐さん東京ドーム初日お疲れ様でした。

早速レポを見てましたら、MCで素っ晴らしい櫻葉萌えがあったとかラブラブ

詳しくは避けますが、雅紀くん見せつけてくれてありがとうドキドキ



※櫻葉er(翔ちゃん×雅紀くん)の願望と妄想です。

ご注意下さい。




え....!?

なに?

これは....どういうことなんだろう....?


リビングボードに飾ってある写真立ての写真を見た瞬間、僕は目を疑った。

信じられない思いで写真を凝視する。 

写真の中の人はとても大切そうに両腕の中に抱いた、今より少し幼いくらいの瞬くんを愛おしそうに見つめて微笑んでいた。

そしてその顔は

僕と全く同じ顔だった。


「驚かれたでしょう?」


僕の真後ろで瞬くんのお父さんの小さく呟く声がした。

びくりとして振り向くと紅茶の入ったティーカップをのせたトレイを持った瞬くんのお父さんが立っていた。


「あ....済みません、勝手に....」


瞬くんのお父さんは微笑んで、小さく首を振った。


「亡くなった僕の妻です。もっと早くお話をしようと思ってたんですが」


僕の横に並んだ瞬くんのお父さんは写真を見つめて穏やかに目を細めて笑った。


「亡くなる少し前の写真です、脳腫瘍でした。瞬を身籠ったとほぼ同時期にわかったんです。医者も僕も....周囲の人間も皆、治療を優先するよう進めたんですが、妻は自分が生きることよりも瞬を産むことを選んだんです」

「....そうだったんですか....済みません、僕はなんにも知らなくて」

「いえ、幼稚園の方には妻は亡くなったことしか伝えていませんでしたから。父と母から聞いてはいましたが、母が倒れた時に瞬を迎えに行ってあなたを初めて見てとても驚きました」


瞬くんのお父さんは穏やかで優しい目で僕を見た。

まるで写真の奥さんを見るように。


「瞬はほとんど母親の記憶はないんですが、毎日この写真を見ているので幼稚園に入ってかなり動揺したと思います。写真の母親にそっくりなあなたに会って、他の園児さん達の世話をしているのを見てどう接したらいいのかもわからなかったんじゃないでしょうか?この写真の妻は瞬だけを見て笑っているから....まるで自分の母親がよその子どもさんの世話をしているように感じたのかもしれない。自分自身のあなたへの接し方もわからず、きっとその寂しさが逆にあなたに素直に甘えることが出来なくしたんだと思います」

 
そんな....。

僕は瞬くんの気持ちに全く気付いてあげられなかった。

瞬くんだってみんなと同じように僕に甘えたかっただろうに、僕は瞬くんは他の子よりも賢くてしっかりしているんだなんて勝手に思い込んで、一人でなんでも出来る子なんだなんて安心しきっていた。

ほんとうは瞬くんだって寂しかったはず。

どうして僕は瞬くんが寂しそうにしていたのに気付いてあげられなかったんだろう。

もっと瞬くんに目を掛けてあげなければいけなかった。


僕は、自分が幼稚園教諭として未熟で至らないんだということにつくづく思い知らされた。


「でも僕が帰って来ると瞬はあなたの話ばかりしてました。だから最初に公園に会った時にあなたから幼稚園ではなついてくれないと聞いて僕はそう思ったんです。僕はどうしても瞬の本当の姿を見てほしかった」

「だから....公園に誘って下さったんですか?」

「それもあります」


瞬くんのお父さんは寂しそうに笑った。


「あなたは....本当に妻に似ている。顔だけじゃなく、心配性なところも一生懸命なところも」

「....え?」

「お座りになりませんか?紅茶が冷めてしまう」


瞬くんのお父さんがくすりと笑ってソファーに勧めてくれる。



「どうぞ。すぐに食事の用意をしますから」


瞬くんのお父さんはそう言ってテーブルに紅茶を置いてキッチンに向かった。

僕は座ったまま瞬くんのお母さんの写真に目を遣る。


自分の命をかけて瞬くんを産んだお母さん。

まだほんの小さな

幼い我が子をおいて逝かなければいけないなんてどんなに無念で悲しいことだろう。

そしてその決意を受け入れた瞬くんのお父さんもどんなに苦しい思いをしたんだろう....。


リビングのドアが開いて瞬くんがおもちゃが山盛りたくさん入ったプラスチックバスケットの取っ手を両手で持ってよたよたと入ってきた。


「瞬、おもちゃを持って降りてきたのか?」


瞬くんのお父さんがキッチンのカウンターから顔を出して苦笑いをしている。

一度足元に置いてドアを閉めてバスケットの取っ手を持ち上げて僕の方に向かってよたよたと歩いてきた。


「相葉先生、おもちゃ見て~」


とても重そうにしてるのを見て駆け寄ってバスケットを受け取った。


「うわっ、重たいねぇ~。瞬くん一人でお二階から持って降りてきたの?すごいね~」


少し大げさに褒めてあげると瞬くんは得意げに笑顔を見せた。


「あっちだよ」


瞬くんが指を差したのはリビングの隅っこのパズルマット。

マットの隅っこにも積み木やブロック、車のおもちゃが入ったおもちゃ箱、小さな絵本棚までちゃんと揃っていた。


「はいはい」

「ここだけでしかおもちゃ出したらだめだよ?パパに怒られるからね」

「そうなの?くふふ」


瞬くんは幼稚園にいる時と違う姿をどんどん見せてくる。

幼稚園でも瞬くんがこの素の姿を出せるように、僕が出来ること....。

考え始めた時、


「先生これやろ?」


瞬くんは持ってきた山盛りのおもちゃのバスケットからドミノの箱を取り出してきた。


「ドミノやりたいの?いいよ、やろう!!」


瞬くんからドミノを受け取って箱の中身をひっくり返して瞬くんと二人、パズルマットの上に順番にパーツを並べていく。

慎重に慎重に列を作って半分くらい出来上がった時、


ガッシャーン!!


「うわっ!!ちぃ~っっ!!あ~もうっ!!」

「ひぇっっ....な、何ですかっっ!?」

「パパッッ!!大丈夫?またやっちゃった?」


キッチンからすごい音がして振り向くと瞬くんのお父さんがキッチンカウンターの中でしかめっ面をして下の方を呆然と見ていた。


「あ、あの....大丈夫...ですか?」


訊ねると瞬くんのお父さんははっとして顔を上げる。


「パパしょっちゅうやらかしちゃうんだよ」

「こ、こら!!余計なことを言うんじゃない!!大丈夫です....済みません、フライパンの持ち手に肘を当ててしまって....お騒がせしました。どうぞそのままで」


瞬くんのお父さんはそう言って顔をひきつらせて笑って片付け始めた。








翔担さん済みません....。

お友達から借りた『マイガール』を観て、正宗くんが亡くなった恋人のことをひたすら想い続ける設定に立ち直れないくらい心抉られた私としては瞬くんのお母さんは詳しく登場させないつもりだったんですが....都合上書いてしまいました。


嫌ですよね~。

ほんと済みませんあせる