「おい、見ろよ、あすこ行くの、い~ぃ女だねぇ~」

 

「俺ぁ、あの右から二人目のがいいな」

「俺は、その隣だな」

 

「ダンナ、さっすがお目が高い。損はさせませんぜ」

 

「花魁、腕によりをかけて若旦那を,,,」

 

私が落語を好きになって間もなくのころ、どこで落語を聞けるのかも知らなかったので、母に「落語を見に行きたい」と言ったところ、返って来た答えは、

「ダメよ、落語なんていやらしいことばっかり言ってんだから!」

 

母がどのくらい落語を聞いていたのかは分かりませんが、おそらくこういう郭噺が頭にあったのでしょう。

 

さて、どうなんでしょう、こういう会話。

今でも男性諸氏の間ではこれに近い会話がなされることがあります。

よね!

 

でも、それを公然と話すことはないでしょうし、仮にしたとしたら周りにいる女性からは「まあ、いやらしい!」なんて思われてしまいますね。

映画やドラマなどではどうなんでしょう?

 

落語の中でのこのような会話。

女性からすると、どんな気持ちなのでしょう。

普段の生活で聞くと不愉快だけど、落語の中なら許せる?

 

そもそも「政府公認」のそういう場所があったということ自体、今では考えられませんね。

そして、吉原へ向かう土手が両側に出店が出るほど賑わっていたなんて話を聞くと、ずいぶん開けっぴろげだったんだなぁ、なんて思います。

さらにはその様子を笑いにしてしまう落語という芸能。

あのような会話や描写を聴いても、ムラムラすることなく(!?)サラッと聴けてしまう落語という芸能。

 

なんとおおらかな芸能でしょう。