第三章 1話 またまた引越し(その2)
野原の真ん中にある赤い屋根の小さいおとぎ話の中に出てくるような大崎教会。
そこで佐藤先生に会いました。
先生は天国へ行ってしまったけれども、楽しかった思い出は残っています。
クリスマス、セベレンス館、遠足もありました。
ニイレさんの麦茶、池田山へ秋の雨の明くる日、栗ひろいに行ったこと。
ミンミン、ジージーと、アブラゼミが鳴く寺島さんの空地。
大地震の思い出。
清水が湧き出して、、毎日毎日水くみに忙しかったあの日々。
なつかしい思い出ばかりで、私は自分がおぼえている限り、この2年間の暮らしが一番楽しくて、子供らしい一日、一日だったような気がしました。
これからどんな生活が待っているのだろうか?
私ももう6年生なのに、またまた違う学校に行って、新しい友達かできないかもしれない。
私は不安になりました。
いつもいつも、私の廻りの大人たちは、引越しの日が明日になるまで教えてくれないのです。
友達に、さよならも云はないで、いつもいつも別れさせられていました。
それにして、園遊会は楽しかったなあと、私は一人で思い出にふけりました。