今回は、「日本の風俗嬢」(中村敦彦著 新潮新書)をご紹介します。


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性風俗産業とひとことで言っても、その形態は多種多様であり合法なものから非合法なものまである。

ただひとつ言えることは、日本における性風俗産業は極めて厳しい環境にあるということだ。

その最大の原因は需要が減少していることと、デリヘルをはじめとする無店舗で合法な業者が増え供給過剰になっていることだ(もっとも、デリヘルも儲けを出すのは極めて困難な状況にある)。


ちなみに、韓国には日本と同数程度の30万人の風俗嬢がいるという。韓国の総人口は日本の4分の1くらいなので、人口比に占める風俗嬢の数は非常に多い。強姦事件件数も日本とは比較にならないほど多い韓国では、こと性風俗という点では日本よりはるかに需要が多い。

日本では、男性の草食化がすすんだせいか、需要は低迷したままだ。


日本の性風俗嬢は、推計で39万人くらいいる。

20~34歳の女性の28人に1人という推計になるが、今では風俗嬢を志願しても、採用されるのは4分の1人程度であることから、風俗で働きたいという女性の比率ははるかに高くなる。


親の収入が低いことが原因で、地方から出てきて真面目に勉強している女子大生の風俗嬢が増加している。

授業にきちんと出席して資格試験などを目指そうとすると、時間あたりの単価が高い風俗嬢でないと生活ができない。


最近は、労働環境がきつい割に低賃金な介護職員が風俗嬢への転身を希望しているケースが多い。


このように、風俗業界自体が不景気であるのに加え、風俗嬢として働きたい女性が増加していることから、今日の風俗嬢は「狭き門」をパスした選ばれし女性たちだ。

外見だけでなくコミュニケーション能力の高さまで要求されるので、風俗嬢たちは職業に対してポジティブでありプライドも持っている。


このような事情から、90年代に比べると、現在の風俗嬢たちはレベルが高くなっているにもかかわらず収入は激減している。

かつてのように、ブランド物に身を包み派手に男遊びができる風俗嬢は相当上位の一握りに過ぎない。


このように、自らの職業に対してポジティブな考えを持って前向きに働いている現代の風俗嬢が求めているものは、命や健康を守る上で必要な人権を保障する前提として、「性風俗を職業として認めて欲しい」ということだ。

ところが、そこに立ち塞がるのは「女性の味方」を自認するフェミニズム的な思考だという。


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本書を読んで、まさに今までの自分の持っていた常識というものが根本的に覆されたような気がしました。


現代の日本の風俗嬢が「狭き門」をパスして選別されたコミュニケーション能力も備わった女性たちであり、仕事の対する考え方もポジティブで仕事にプライドを持っているというのはにわかには信じられませんが、そういう側面が強くなっていることらしいというは否定できないのでしょう。

(著者が全くのデタラメでも書いていない限り・・・)


その背景に、社会全般の貧困化があることは間違いありません。

貧困化なのか二極化なのか、いずれかは私にはわかりませんが・・・。

高級マンションがどんどん売れているような状況を考えると、二極化、格差の拡大が進行していると考えるのが妥当でありましょう。


いずれにしても、必要悪として排除してしまうのではなく、オランダ等欧州諸国のように、法律の枠組みの中で風俗嬢たちの権利を守っていく方向も模索する時代がやってきているようです。


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宣伝です。恐縮です。

貧困化、下層化しないために、コミュニケーション能力は必須です。

本当に役にたつコミュニケーションツールは言葉ではありません。


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