トラックからパラゴンの後継的なコアを持つハイエンドボールが発売されます。

 

このアーチタイプは、トラックの傑作コアである「I-Core」の改良型、「I-Core 3.0 Slim」が搭載されています。

 

あと色。

キャッチーな見た目という点ではこの上ないでしょうが、日本人でこれが好きって人は少数派かなー。

ボールカラーは派手な程良い族代表の僕としては最高です。

 

 

 

【カバー】

QR-11 Solid

 

現状トラックブランドで一番強いカバーのソリッドです。

1500番仕上げという事もあり、ヘビーオイルに対応する意図が読み取れます。

 

カラーはネイビー/ネオングリーン/ホワイト。

別にここまで派手である必要はないでしょうが、はっきりした配色のマルチカラーはレーン上でボールの状態を視覚を用いて直感的に理解する事にとても役立ちます。

スキッドが重く感じるというデメリットも人によってはありますので、一概にマルチカラーが良いというわけでもないですが。

しかし基本的に目に見えないレーンコンディションを視覚的に理解できるメリットは、少なくとも僕にとってはどんなカバーやコアより優先されます。

 

 

 

【コア】

I-Core 3.0 Slim

 





I-Core 3.0 をベースに形状が変わってます。

RGが上がり、非対称が強くなっています。

I-Core は中心の高比重ブロックが設計の肝であり、この基本の設計は変えずに性能に変化を加えてあるようです。

 

パラゴンシリーズでは、最強クラスの強いカバーとの組み合わせの割には一段階弱いカバーであるかのような非常にクリーンなスキッド性能を感じてました。

これは紛れもなくI-Coreによるものと考えてます。

今回のアーチタイプにも同様の特性を感じました。

 

 

【所感】

強いなー。って感じ。

でも手前の強さの割にバックエンドはしっかりしている点から、強さと曲がりのバランスが良好です。

ボールって一定以上強くなると曲がり幅や戻り感って弱くなる事が多いんですよ。

 

・スキッド

短いです。オイリーコンディションが主戦場のボール。むしろこのくらいじゃないと。

カバーや表面仕上げによる強さが優先して感じられます。

 

・ブレーキ

強くてしっかりです。

最強クラスのソリッドカバーの割には短い距離で止まります。

ボヤっとしてないし、でも急激な動きもないし、クセが無く良い意味で普通な特性。

 

・バックエンド

このボールの凄い所です。

かなりしっかりした曲がりや戻りです。

強い非対称、強いソリッド、強い表面仕上げのボール、普通はボヤボヤのユルユルのフワフワのポワポワです。

 

・オイルへの強さ

上の中以上って感じ。上の上じゃないのかって?この上のボールがある時なんて書けばいいかわからんので。

とりあえず現状一番強いボールだと思います。

 

 

 

この強いカバーと仕上げにも関わらずクセが少なくて強く大きく曲がるボールは非常に少ないです。

紛れもなくコアの力です。

I-Core本来のパフォーマンスの良さに加え、コアの改良によってレーン中盤以降でのリアクションが強調された事がこのパフォーマンスに繋がったのだと思います。

スキッドも短いとはいえ、レーン前半のオイルがあるエリアは過剰な転がりやトラクションはありません。

 

I-Coreの強いフックポテンシャルを持ちながらも直進性を確保した設計は、カバーが強くなり続ける現代のボールに対して非常に相性が良いです。

「強いカバーで扱いやすくてしっかり曲がるボール」というコンセプトならば最適解に近いコアだと思います。

 

レジェンドスターが取り扱ってきた傑作コアにはガスマスクやワンコアが挙げられますが、I-Coreはそれらに勝るとも劣らないパフォーマンスを持っていると全く誇張無しに断言出来ます。

 

 

 

【エンヴィーツアーとの比較】

先月発売したエンヴィーツアーとの比較。

強いソリッドカバーに非対称コアのボール同士の比較。

 

・スキッド

若干アーチタイプの方が短い感じです。

どちらのボールも滑る感じが無く、安心してオイリーコンディションで使用出来ます。

 

・ブレーキ

どちらのボールも強いカバーで強い表面仕上げながらユルさを必要以上に感じません。

どちらかと言えば、エンヴィーツアーの方がやや長い距離を使ったブレーキ。ちょっとだけアーチタイプより動きにスムーズさを感じます。

アーチタイプは軌道の形状的にはそんなに変わらないんですが、スムーズなエンヴィーツアーに対して転がりやトラクションの強さを感じます。

オイルがそこまで多くないコンディションだとアーチタイプは動きがボヤけやすい印象。

上記の点を見ると、エンヴィーツアーも強いんですがアーチタイプの方が強さは上かもです。

 

・バックエンド

曲がり幅で言えばアーチタイプの方が明らかに上です。

2.518という、このクラスのボールとしてはやや高めのRGも効いてるように思います。

強いカバーと表面に全く負けずにコアが曲がろうとします。

これがRG2.47とかなら先の動きがボヤっとしちゃうんじゃないかな。

エンヴィーツアーも強いソリッドにしてはキビキビ動く方なんですが、フックポテンシャル自体はアーチタイプの方が高いです。

 

・オイルへの強さ

アーチタイプの方が一段階強いかなと思います。

記事でも書きましたが、エンヴィーツアーはオイリーコンディション下で汎用性が高いベンチマーク的なボール。

アーチタイプは最もオイリーなコンディションに対応するボールです。

 

 

 

最近では少なくなってきた、「強いソリッドカバー・強いコア」の2個の比較でしたが、明確に用途に差が出る結果となりました。

 

アーチタイプは手前も強いが先も強く、オイリーコンディションで頼りになるボール。

エンヴィーツアーは強さでアーチタイプより一段階下ですが、スムーズな軌道特性や高い汎用性が特長です。

 

アーチタイプはロングやヘビーオイリーなコンディションで無類の優位性を発揮し、エンヴィーツアーはアーチタイプの次のボールとして長時間使用出来るでしょう。

 

どちらかを選ぶのであれば、

ストローカーは強さと曲がり幅の両方に優れたアーチタイプ、

ハイレブタイプはコントロール性能と汎用性に優れたエンヴィーツアー、

って感じでしょうか。

 

 

 

【用途・適正】

・最もオイリーなレーンコンディションやロングなオイルパターンに適合します。

 

・外が跳ね返る状況や多少荒れてるような状況でも、強いソリッドならではの強く安定したトラクション性能により扱いやすさを感じられます。

 

・ラインナップでは一番強いボールとして使用出来ます。

ちなみに、LS社のボールラインナップで一番強いボールはBWドミネーション(箱出しの場合)でしたが、同じくらい強いです。

 

・ストローカータイプにとって、ロングやオイリーコンディションの攻略を課題にしている人も多いのではないでしょうか。

ボールをサンディングして対応するのが常套手段ですが、ストローカータイプは特に先の動きがボヤけやすくて使用感がイマイチだったりします。

アーチタイプも確かにソリッドらしい使用感ではありますが、強さと曲がりの見えやすさのバランスが良く、強いソリッドの中でも扱いやすさを備えたボールです。

このタイプのボウラーにとってオイリーコンディション攻略の強い武器になるでしょう。

 

・ハイレブタイプにとってもストローカータイプと同じくロングやオイリーな状況で武器になる点は一緒です。

ハイレブタイプの場合は逆にオイルを感じる状況を得意にする人も多いと思いますが、この時強いボールを使用した場合に手前で捕まるのも嫌です。特にロング。

アーチタイプが手前で捕まらないかどうかで言えば、薄くなれば普通に捕まります。だってカバー強いもん。

でも、先もしっかり動きますので、インサイドに寄りやすいんです。

普通は曇った強いソリッドってブレーキが緩くてバックエンドの戻りが弱かったりするので長時間は投げられない事が多いですが、アーチタイプはしっかりと戻るバックエンドなので、高い汎用性も備えてる点が差別化された特長です。

 

・スピードが遅いタイプのボウラーはこのボールは買わない方が良いです。

手前で捕まるしバックエンドの動きも出ないと思います。

このタイプでオイリーコンディションに対応するボールをお探しならエンヴィーツアーの方がずっと良いです。

 

 

 

【総括】

最もオイリーなコンディションに対応する強さを持ちながらも、バックエンドの曲がりもしっかりと出ます。

 

オイリーコンディション下でも曲がりが出る事で他のボールでは感じられない幅を感じやすく、他のプレイヤーより優位に立ちやすくなるでしょう。

 

 

 

ちなみに、このボールは強い表面仕上げ故、おろしたてではバックエンドの動きが出にくくなってます。

僕も第一印象は「ゆっる・・・」って感じでした。

5~10ゲームくらい投げるとパフォーマンスが落ち着くように思いますので、ちょっと慣らし運転した方がいいかもです。

ユルいのが好きな人はマメに表面加工すればいいし、慣らし運転後の先の動きがちゃんと出るのが良ければそうすれば良いんですが、僕の記事は基本的に箱出しから50ゲームくらい投げた評価を書いてますので、この話で言えば慣らし後のパフォーマンスを指して書いてます。


おわり。