ウェブツアーやオブセッションツアーでもあった、オリジナルをベースに実戦的な性能に振ったツアーモデル。

今度はエンヴィーです。

 

真っ黒な色のソリッドカバーってだけでもう良さそうです。

僕は単色嫌いですが。

性能コンセプトが投げる前からある程度分かっているボールというのはテスターとしても評価をするのが楽しみなボールです。

 

 

 

【カバー】

ENVY SOLID

エンヴィーだけに。

強くてレスポンス性能も重視しているカバー。

レスポンスに関しては特に高いとは今まで思ってませんでしたが、そういうコンセプトで開発されています。

 

後述しますがエンヴィーツアーの評価の一つとして、ダル仕上げの強いソリッドとしては異例に動きが軽快です。

これは間違いなくこのカバーだからこその特性であり、このボールで僕の中のENVYカバーの評価はブチ上がりました。

 

 

 

【コア】

OBSESSION TOUR

 

LAUNCHERじゃないんかーい。

なんでオブセッションツアーのコアなんだろう。ランチャーのツアーバージョンのコアを投げてみたかった。

海外ではオブセッションツアーが人気らしいです。良いコアだから良いんだけどさ。

 

このコアは非常に良く転がって高トラクションを生みますが、低いディファレンシャルを持っているので大き過ぎる曲がり角度や暴れを抑制し、持続的な曲がり形状となります。

安定性やコントロール性能に重きを置いたようなコアですね。

 

ウェブツアーのSPHEROID TEと似た設計なんですが、違う所は非対称コアという部分。

非対称という事は、レイアウトによってリアクションをコントロールする幅が広いという事。

特別な事しなくて良いので、球質に合ったレイアウトをするドリラーさんにドリルしてもらいましょう。

 

 

 

【所感】

まず動きが軽い。この重たい動きをしそうなボールが軽快に動き、でもツアーモデルらしさもあります。

 

・スキッド

やや短め。

転がりが強いコア、ソリッドカバー、ダル仕上げですから。

手前の安定性やトラクションに優れている点は、オイルが多めなコンディションでもミッドレーン以降でボールがどっか行く事を防ぎます。

ただ、先の動きが鈍くなるほどの強さまでは感じず、オイリーなコンディションに対応する範囲内で適度。

 

・ブレーキ

ソリッドカバーらしい柔らかさも感じながらもなかなかの強さです。ドライでのレスポンスはソリッドカバーとしては高めです。

強い非対称コアと強いソリッドカバーの組み合わせに多い、モッサリした重たい動きでは全くありません。

モッサリはしてないですが適度にトラクションは感じられ、弱さはありません。

そのため、しっかり止まってくれて向きを変える部分がとても見やすく、この点は扱いやすさや信頼感にも繋がっています。

 

・バックエンド

ソリッドらしい柔らかさや持続性の高さを感じます。

ここはディファレンシャルが低いコアの性能が表現されていますが、これは単にフックポテンシャルを低く抑えるというより、動きから過剰なトラクションや重さを排除し、適度な動き幅を与えて汎用性を高める結果に繋がっています。

そしてソリッドカバー・低デファレンシャルコアで得られる、適度な曲がり角度によるポケットへの収まりやすさも備えています。

 

・オイルへの強さ

上の中って感じです。

最も強い部類のボールではないんですが、このボールでオイリーコンディションを投げて強さが足りないと思う事はあまり無いと思います。

 

 

 

ツアーモデルという事で、まさにそのコンセプト通りの性能に仕上がってると思います。

が、今までと決定的に異なる点として「汎用性の高さ」が挙げられます。

動きが軽いおかげで「戻り」や「曲がり」が見えやすくなり、ミディアム以上のオイル量でかなり幅広く使用出来る扱いやすさを持っています。

ツアーモデルらしいポケットへの収まりの良さや、フレッシュなバックエンドでも暴れを抑えたリアクションも感じます。

止まってから向きを変えるまでは見やすく、バックエンドは持続的で控えめって感じ。

よくそんな都合よくボールの各状態での性能をピンポイントにコントロールした製品開発が出来るよね。わけわからん。

 

軽い動きと言っても、パールやハイブリッドの弱いカバーのそれとは違い、そもそもが強い表面の強いソリッドカバーに転がりが強いコアですから、強いボールの中でもトラクションが扱いやすく適正化されてると言えます。

この「強さは落とさずレスポンスを向上させて汎用性を高める」という特性がENVYカバーの持つ優位性です。

 

 

 

 

 

【オブセッションツアーとの比較】

エンヴィーとの比較と迷いましたが、同コアでカバーの変化を見たいと思います。

 

・スキッド

長さは同じくらいです。

ただ、スキッド後半のキャッチ感はオブセッションの方が緩やかで、こちらの方がスキッドが長く見える場合もあります。

 

・ブレーキ

エンヴィーの方が短い距離で止まって向きを変える印象です。これはENVYカバーのレスポンス性能によるものと考えられます。

オブセッションは緩やかで、明らかにENVYカバーとのレスポンス性能の違いを感じます。

用途やタイプによって好みや適正が変わるかと思います。

 

・バックエンド

エンヴィーもオブセッションも基本的に曲がり角度はそこまで大きくなく、その代わり持続的な曲がりの特性です。

エンヴィーはブレーキからバックエンド初期で曲がりが見やすく、オブセッションはバックエンド初期から先で持続的で加速感が強い曲がり特性を見せます。

 

・オイルへの強さ

エンヴィーの方が強いです。

明らかに大きな差があるわけではないですが、比較したら分かりやすい程度には違います。

 

 

 

オイルへの強さの違いは多少あるとしても、曲がりの特性がここまで変わるのにはちょっと驚きました。

・エンヴィーはブレーキのレスポンスと向きを変える強さ

・オブセッションはブレーキの柔らかさとバックエンドの持続性

に優れています。

 

ラインの適性的にはエンヴィーはインサイドに対応しやすく、オブセッションはアウトサイドに対応しやすいでしょう。

 

これはボウラータイプや用途で明確にどちらを選ぶが変わります。

僕なら、

「ミディアム~オイリーのオイル量、スポコン~ハウスまで幅広く使うならエンヴィー」

「ミディアム~オイリーのオイル量でスポーツコンディション・バックエンドが超フレッシュ・外が跳ね返る、のいずれかの状況ではオブセッション」

って感じ。

 

エンヴィーツアーは、ツアーモデルでありながらもENVYカバーとする事で安定性やコントロール性を犠牲にする事なく適度で扱いやすい曲がりも兼ね備えたボールとなりました。

 

 

 

【用途・適正】

・ミディアム~オイリーまで対応します。

このスペックでミディアムコンディションは厳しいのでは?と思ってしまいがちですが、僕のボールテスト用のオイルパターンはごく一般的な24ml、41ftです。

 

・朝イチのバックエンドがフレッシュな状況や、逆にフッキングポイント付近が荒れててボールがどっか行く状況等で安定性が高く、優位性があります。

シビアなコンディションへの対応力はツアーモデルならではですが、先での曲がりが出やすく見えやすい性能はインサイドからのラインにも容易に対応します。

 

・僕ならラインナップの一番上として使用します。

かなりオイリーなパターン時のみもう一個このボールより強いの用意するかなって感じ。

 

・ストローカータイプにとっては、低く抑えた⊿RGによって手前の過剰なキャッチを抑えた事による持続的な曲がりや見えやすいブレーキ~バックエンドの曲がり形状が扱いやすく感じて頂けます。

 

特に球速が速くないタイプにとって、曇った仕上げで強いカバーのボールはバックエンドの動きが出にくくなってしまう原因です。

エンヴィーツアーの過剰なキャッチやトラクションを抑えた設計のコアは、オイリーコンディション用としてよくマッチするでしょう。

 

・ハイレブタイプにとっては、ミディアム以上のオイル量でとにかく良い意味で雑に使えるボールです。とりあえずコレ投げとけボール。

外に当てても跳ね返らず、インサイドに寄っても先が向き、内のオイルを感じてタイトにも投げられる。

ただ、他のツアーモデルと比べると動きは出ますから、その辺は好みですかね。

 

 

 

【総括】

強いカバー・強い表面・非対称コアのボールとしては異例の汎用性で、多くのタイプや用途に対応します。

 

ミディアム以上のオイル量で抜群の対応力を見せるでしょう。

また、今回は「ツアーモデル」だからといってコントロール性や安定性に特化したボールというわけでもなく、言ってみれば「オイルが多いコンディションにおいてのベンチマーク」って感じ。

このエンヴィーツアーはプロトーナメントのパターンを含む複数のオイルパターンでテストを重ねましたが、800シリーズや1000シリーズがここ数年のボールの中で最も多く出たボールです。

 

でもこのボール、やっぱり名前に違和感がなー。

オブセッションツアーのコアだもんなー。

ボール名、「オブセッションツアー2.0」とかじゃダメだったのかなー。個人的にはそっちの方がアツいんだけど。

別に名前で性能もスコアも変わらないし、いいんだけどさ。

 

おわり。