世界中のトーナメントプレイヤーから厚い信頼を得てるパープルパールウレタンですが、今回はそれのソリッドリアクティブバージョンです。

 

リアクティブにおいては「ソリッドバージョン」「パールバージョン」等、カバータイプの変更はよくある事ですが、パールウレタンからソリッドリアクティブの変更は僕の記憶では過去に無いです。

 

パープルパールウレタンのソリッドリアクティブバージョンなんて特殊用途やスポコン用に輪をかけたような印象を与えかねない。

ただのLEDコアの弱いソリッドです。

面白いボールですが難しいボールじゃないです。

 

いつも通り評価を書いていきますが、新しいパフォーマンスを見せるボールとなっています。

 

 

 

【カバー】

Reactive Solid

いや、まんまやん。

このカバー名称にもちゃんと意味があるのかね。「素」のリアクティブって事でしょうか。

このカバー、かなり弱いです。

1月はGB2も発売し、これのカバーもかなり弱いGB10.7。それと良い勝負。パープルソリッドリアクティブはコアも弱いので単純に比較は出来ないけど。

とりあえず現状のレジェンドスター全ブランドのリアクティブカバーの中で最も弱い部類の一つな事は間違いありません。

 

 

 

【コア】

LED

これはパープルパールウレタンと全く同じコアです。

分かりづらいんですが、RGやデファレンシャル値はパープルパールとパープルソリッドで異なっています。

この理由はウレタンカバーとリアクティブカバーそれぞれの素材の密度が違う点が影響しています。

ってハンマーさんが言ってます。

このパープルソリッドリアクティブではパープルパールウレタンに比べてRGが下がりデファレンシャルが上昇してます。

つまりちょっと強くなっています。

それでも2.586と0.027ですから、高慣性で低フレアなコアです。

 

 

 

【所感】

最初は正直言って、ちょっとコツいるな・・・って思いました。

初めての感覚なボールでしたので、ちょっと困った部分はありました。

ただ、特性が理解出来れば唯一無二かつ非常に有用なボールで、手放せなくなるボウラーも多いと思います。

 

・スキッドは長いです。高慣性で弱いカバーですから。

走りは軽い印象です。

 

・ブレーキは柔らかいです。強さは感じず、レスポンスも高くないです。ちょっとオイルを使い過ぎるとキャリーに乗った弱いウレタンみたいにピューって滑ってどっか行きます。

手前の転がりが強くないのと弱いソリッドって事で、「止まる」ではなく「止める」必要があります。

普通のボールでは手前で折れたり曲がりが終わってしまうようなエリアでもちゃんと止まって良い感じのリアクションが得られます。

 

・バックエンドはブレーキでしっかり止まりさえすれば結構軽快に動きます。ここは高慣性なコアの特長が良く出ている部分です。そしてウレタンっぽい寄り感が強くて動き過ぎません。動き幅、安定性、曲がり形状、角度、全てのバランスがウレタンとリアクティブの中間で絶妙なバランスです。

 

・オイルへの強さは下の中くらい。弱いです。

でもこのボールが適合するラインやパターンなのか、そうではないのかが分かりやすくて非常にアリな感じです。

 

このボールを最初に投げた時の感想が、「高慣性コアの悪い所の数え役満」って感じでした。

高慣性コアや弱いソリッドの特徴が良く出ているという事です。

最近の低慣性でよく転がるコアとよく動くカバーに慣れきっているとこんな風にちょっと戸惑うかもしれませんね。

逆に言えばそのような多くのボールでは対応出来ない場合、多くのボールでは都合が悪い場合でこのボールは抜群のパフォーマンスを発揮します。

 

インサイドやオイルを長く使ったラインの投球だとブレーキやバックエンドの動きが安定しないので、ちょっと手前からオイルの薄いエリアに触れさせて止めるようにすると非常に安定した動きを見せます。

この場合柔らかくて跳ね返らないブレーキ特性が非常に高い安定性を発揮します。

 

下で書きますが、ツーハンドやハイレブタイプ、スピードが遅くてバックエンドで動きが出ないタイプにとって非常に相性が良い性能です。

 

ウレタンからリアクティブへの繋ぎにも良いですし、ウレタンに苦手意識があるプレイヤーやウレタンを持たないプレイヤーにも良いです。

 

あと、ピン飛びが非常に柔らかくて良いんですよね。

実に意外。偏見ですが、弱いコアで弱いカバーで別にキレが良いわけでもない動きでピン飛びが良いってのはなかなか無いです。

ウレタンや弱いボールによく添えられる言葉、「このクラスのボールの割には」じゃないんです。

フツーにハイパフォーマンスボールと同じピンアクションです。

曲がりの持続性の高さ、高慣性コアによるバックエンドエリアで動きが強調される特性、弱カバー低フレアのおかげで摩擦の影響が少なくてローテーションや初速がレーン奥まで温存される設計、全てが嚙み合った結果の性能でしょう。

 

 

 

 

今回比較の項目は飛ばします。

理由として、比較対象になるボールが無いからです。

先代のパープルパールウレタンと比較しようと思ったんですが、パールウレタンとリアクティブでは比較にならないです。

リアクティブと比べようにも強いて言うならGB2と用途や強さが似ているって感じですが、誰も投げてないボールと比べてもパフォーマンスを想像したり理解したりは出来ません。

それでもGB2とも比較対象として首を捻るくらいにはかなり違った使用感ですけどね。

 

よってこのボールは比較よりも用途が重要な着眼点となりますので、そちらをちゃんと書こうと思います。

 

 

 

【用途・適正】

・ドライ気味~ミディアムくらいのオイル量に対応します。

 

・先がキレてたり外の跳ね返りが強烈だったりする状況、ウレタンからリアクティブへの繋ぎ、フラットなショートやミディアムパターン、用途は多岐に渡りますが、「通常のリアクティブでは対応が難しい状況」への対応が非常に容易になる性能です。

 

・ラインナップを考える場合、GB2でも書きましたが強さの順番からは外して特殊用途として考えた方が良いかもしれません。ま、強さ的にはリアクティブの中なら一番下でしょう。

 

・ストローカータイプにとってこのボールは弱すぎると思う人が多いかもしれません。

高慣性なコアなので、明らかに手前が流されてるように感じる場合があります。

しかし表面を強い仕上げにし、手前でドライに触れさせるようなイメージのラインで使用する事で流される感じは消え、ハイレブタイプにおけるウレタンボールのような使用感で投げる事が出来、高難易度オイルパターンへの対応が楽になります。

 

・ハイレブタイプにとってはスポコン、朝イチ、ウレタンからの繋ぎだけでも重宝されるボールですが、それ以外の用途にも対応する非常に汎用性が高いボールになります。

手前の走りの軽さや、ドライエリアでの反応の穏やかさ、リアクティブとウレタンの中間なバックエンド、これらはハウスコンディションやそれに類する状況においてどんなボールにも無い安定感をもたらします。

特にツーハンドのプレイヤーはスピードより回転が勝っている球質が多く、走らない・跳ね返る・先で動きが終わる・ピンが飛ばない等の悩みを持つ場合も多いと思います。

そのような悩みの解決にこのボールは非常に有効です。

 

・僕の場合、上に書いた通り最近のよく転がって手前も先も安定するボールと比べてかなり使用感が異なるように感じました。

なので「コイツなんかおかしい・・・」って思っても使えないボール扱いしないで色んな使い方してみましょう。

僕は手前で止めたりドライを意識的に使うようなイメージだと良さを感じましたが、ハイレブプレイヤーやその他ボウラータイプによっては違和感無くてとにかく都合の良いボールに感じるかもしれません。

海外のプレイヤーが投げてる動画は普通に止まって良い感じに曲がってるように見えますが、多分外が止まりやすいハウスコンディションなのとめっちゃ球回ってるからです。

僕程度では止めようとしないと止まりません。普通のリアクティブのようにドライで勝手に止まって向くイメージで投げると戸惑うかも。

 

 

 

【総括】

今までに無いコンセプト・設計のボールであり、唯一無二の性能です。

まさにウレタンとリアクティブの中間。

過去にもバーガンディハンマーというウレタンとリアクティブの中間の特性を謳ったボールがあり、僕の周囲のファンからは復刻を望む声もあります。

このパープルソリッドリアクティブはそれと同一ではないものの、どちらかというと似た用途や性質であり、多くのプレイヤーが待ち望んでいたボールだと思います。