ハンマーからはエンヴィーが発売となります。
これは新しいコアを搭載したボールであり、注目すべきはそのコアの特性となります。
ネット上でコアを確認した人は知っているでしょうが、まだ知らない人は見てください。なんか変な形してますから。
【カバー】
ENVY SOLID
ボール名と一緒。この記事内でボール名を指す時は「エンヴィー」、カバー名を指す時は「ENVY」とします。
これは強い部類のカバーになります。
最近の強いソリッドカバーは結構先の動きが出る物が多いですが、その中でもこのENVY SOLIDはトラクションと安定性が非常に高く、強さとコントロール性能に長けた印象です。
ENVYの特長とされてるドライでのレスポンス性能なんですが、人によって意見が分かれそうなところ。
僕はドライエリアに触れた部分でのレスポンスが良いのはその通りだと思うんですが、ブレーキを含めた動き出しの初期にレスポンスを感じ、その後の動きはまったり目に思います。
上記の感覚は良い点として捉えられる部分なんですが、レスポンスが良いって聞いたらメリハリ感やシャープさが強いイメージを期待するじゃないですか。
まぁ僕の期待に応えてるかどうかなんてどうでも良いんだが。
このENVYは強く安定してる中にもドライエリアでの反応の良さを足したといった印象。
表面は1500番マイクロパッド。強めの仕上げですが、もっと強くしても良いですよ。
撮影時は箱出しですが、僕はその後軽く500番当ててます。
カラーは黒赤オレンジ。ハンマーファンなら分かるでしょ?
そう、ディーゼルの色。
ディーゼル色ならこのボールも良いボールに違いない。
【コア】
LAUNCHER
このコアは現状ブランズウィックが持つテクノロジーを全て詰め込んだコアとの事。だから変な形してるのか。
数値的には「強いんだなー」って感じです。
データが少ないのですが、このボールを投げた限りではあまり派手な動きはしないように思います。
動きの中にあまり強調された部分を感じず、どちらかというとレーン全体を通しての転がりやトラクションの強さを感じます。
【所感】
一見すると強さが優先して感じられるものの、動きは激しくはなくポケットへの収まりが良いボールのように思いました。
・スキッドは重めでオイルでの安定性の高さを感じるイメージです。
長さ的には気持ち短めって感じですが、扱いにくさ等のネガティブな評価に繋がるような印象はありません。
・ブレーキは全体的には柔らかく強い印象です。
ドライエリアでしっかり目に反応はしますが急激な動き等は無く安定感が強いです。
この辺りでの転がりにはかなりの強さを感じ、滅多な事では滑ったり流されたりしなさそうです。
・バックエンドも急激な動きはしません。
僕の感覚ですが、前に進みながら曲がるようなイメージを受けました。日本語が変ですが、「寄り」ともちょっと違う、コアの動力の強さを感じるというか、ボールが活きた強い状態が長く続いてるという感じ。
シャープかアークかで言えばアーク寄りかもしれませんが、しっかりレーンをキャッチしながら曲がってる感がとても強く、ピンへの当たりの強さ、持続性、安定性が非常に高いです。
地味な動きのボールかのように書いてますが、普通によく曲がりますよ。
この曲がりの質はレイアウトや球質によっては攻撃的で大きな曲がり幅になる可能性もあります。
・オイルへの強さは上の中~上の上です。
カバーの強さもそうなんですが、コアが非常に強く、特に強い表面加工をしても動きがぼやけず、デメリットや曲がりの質の変化を殆ど感じずにトラクションを強化出来ます。
オイルへの強さに関しては上記を含めた総合力で最上位クラスです。
最もオイルに強いボールという触れ込みのボールは今までもありました。ザ・ウィンソリッドやポラリス等。
それらのボールに比べてこのエンヴィーは強いボールとして必要な性能を持ちながらもクセが無い軌道です。
ウィンはユルく、僕のお気に入りであるポラリスは独特のブレーキ感を持っていたりします。
転がりやトラクションが強調されながらも動き自体は素直で扱いやすいこのエンヴィーは強いボールとしてはかなり受け入れられやすい性能だと思います。
レジェンドスターのカタログでも書かれていますが、確かにこれだけ強い転がりやトラクション、暴れず再現性が高い曲がりの質はストローカーに向く性能かと思います。
用途の点でも書きますが、トーナメントにおける現環境ではハイレブプレイヤーがウレタンボールを多用した場合、ストローカーのライン上で激しいキャリーが起こりやすいです。
また、トーナメントの中盤以降はどんなパターンでスタートしても外は枯れて残った内のオイルに頼るような状況になります。
で、ストローカーにとってそのオイルは必要以上に長く、多く感じます。
オイリーコンディションには勿論ぴったりですが、上記のような「ストローカーにとって邪魔なオイル」へ対応する事にも長けているボールかと思います。
【3-Dオフセットレッドソリッドとの比較】
3-Dオフセットのソリッドとの比較です。
ボールの性格は異なりますが非対称、強いソリッド、ダル仕上げという基本的な部分に共通点があります。
・スキッドはエンヴィーの方が短いです。
3-Dオフセットはエンヴィーよりも走りが軽く、ミディアムコンディションでも投げやすいような感じです。
・ブレーキはどちらのボールも柔らかいです。
3-Dオフセットはカバーの柔らかいキャッチ感故の柔らかさ、エンヴィーはカバーに加えてコアの転がりの強さも感じます。
軌道は似てますが投げ手の感じ方はかなり違いがありますね。
・バックエンドは、エンヴィーが急激な動きは無いですが持続性や強さを感じる曲がり。
3-Dオフセットはソリッドならではの柔らかさが優先される中に軽快さも感じる曲がり。ちょっとシャープでそんなに大きくはない曲がり幅です。
エンヴィーも強さの割に使いやすいですが、3-Dオフセットの方がもっと自然で扱いやすいですね。
・オイルへの強さは圧倒的にエンヴィーです。
3-Dオフセットも強いんですが、手前の軽さやブレーキの柔らかさ故にエンヴィーよりはオイリーコンディションで流されてる感が出る場面があります。
3-Dオフセットレッドソリッドは全体的に強い転がりやトラクションを感じるエンヴィーよりも強さが一段階下、そして軽快でコンパクトな動きのイメージです。
ヘビーオイル、ロングオイル、ストローカータイプ等でラインナップにソリッドを2個入れるような場合は今回のような異なるタイプのボールの使い分けは有効になります。
【用途・適正】
・ミディアムオイリーからヘビーオイリーなコンディションに対応します。
キャリーが激しい場合にも流されにくく、オイルがラインの邪魔をする状況にも対応出来ます。
・大規模トーナメントでは近年30ml~40mlのオイル量は当たり前になってきましたが、そのようなオイルパターンにも当然対応します。
また、激しい動きが抑えられているのでオイリーコンディションの朝イチからポケットに集めやすい性能のボールです。
・ラインナップ内では一番強いボールとして使用出来ます。
・前述しましたが、ストローカータイプにとって厄介な「伸びたオイル」、「ヘビーオイリー」、「ハイレブプレイヤーは気持ちよく投げてるけど自分にとっては球が滑る内壁」。
このようなオイルがある事が原因の攻めづらさを解消するための一つの強い選択肢となります。
と聞けば聞こえは良いですが、それは多くの強いボールの用途としても当てはまりますよね。
エンヴィーはその強いボールの中でも
1.トップクラスに強い転がり
2.ユル過ぎず激し過ぎない曲がり
3.クセの無い素直な軌道イメージ
が特筆すべき点としてあり、このようなボールは多くありません。特にトラクションの強さは一番と言って良いと思います。
・ストローカーに合うとばかり書いてきましたが、ハイレブタイプにも有用性が高いボールです。
なんといってもオイルに強くてオーバーリアクションしないのでオイリーコンディションでポケットに集めやすい。
強くてポケットに集めやすいボールはハイレブタイプにとってもオイリーコンディションの朝イチでは基本の選択肢です。
なのでボールが暴れやすいハイレブタイプにとってはオイリーコンディションでポケットへの収まりが良いボールというニーズに確実に応えるボールです。
・このボールは表面加工への対応力も高いです。
僕は箱出しに軽く500番がお気に入り。先が動かなくなりにくいので遠慮なく強い表面に出来るのはもう一つのエンヴィーの優位性です。
基本的に球速と回転のバランスによって変えていけばいいと思いますが、球速が大きく上回るタイプなら500番でもちゃんと動きますし、回転が上回るタイプやもうちょいメリハリ欲しいなら3000番くらいでも良いです。
【総括】
ニューコアによって非常に強い転がりとトラクションを持ちますが、クセの無い素直な動きで幅広いタイプのボウラーにとってラインナップの一番強いボールとして使用できます。
特にストローカータイプにとっては多量のオイルやロングオイルにも対応しやすくなり、心強い武器になります。
このコアは今後のラインナップの充実も実に楽しみですね。
AGGRESSION PEARLなんかとの組み合わせがあればBWゴーストパールがそろそろお疲れ様になってきた皆さんには楽しみになってくるんじゃないでしょうか。
僕も強いボールの筆頭はエンヴィーになり、カバーがくたびれてきた初代ポラリスはもう出番が少なくなるでしょう。