アルティマ復活。
今回はハンマーブランドとしての発売です。
LSブランドを使わないのは何かオトナの事情があるのか、なんて気にはなりますが、「アルティマ」というレジェンドスターの伝統的かつ象徴的な名前を使うわけなので絶対的な自信があるのは間違い無いのでしょう。
真面目な考察をすると、CFI技術等のハンマー独自の素材的な優位性を利用する事が目的なのかな?って勝手に思っておきます。
僕、2016年の末から発売した先代のアルティマシリーズが大好きでして、たまーに営業さんに「またアルティマやらないんですか?」と聞いたりしてました。
先代アルティマはコアが強烈で、単純なフックポテンシャルとしては僕の体感でワンコア以上、ガスマスクと同等くらいでガスマスクよりシャープな動きがありました。
インサイドが苦手だった(今も)当時の僕にとってインサイドに寄っても一番点数出せるボールがアルティマでした。
僕の唯一まともなプロとしての戦績であるシーズントライアル優勝、優勝ボールはアフィニティですが準決勝でアルティマアサシンを投げなければ勝てませんでした。
ちなみにアルティマアサシンとアルティマクエストはストック持ってます。
で、今回のアルティマなんですが、先代とは違うコアですね・・・。
先代アルティマ狂が「アルティマ復活!」って知ってからコアが変わってるって分かったらそんなの落ち込むに決まってるわけです。
でも僕は初代アルティマシリーズを投げた事がなく、調べたらコアデザインやパフォーマンス的にはこちらの新アルティマの方が初代に似せてるような雰囲気。
ふーん、なんだか僕が初代シリーズを投げてないのに先代シリーズだけ投げてアルティマを知ったつもりになってた恥ずかしい人みたいじゃないですか。
皆さんどうも、恥ずかしい添田です。
【カバー】
Aggression NE Solid。
お馴染みのカバーですね。
オイルに強過ぎず、動きはユル過ぎず、バランスが取れたカバーで良いんじゃないでしょうか。
しかもカラーはブラック。
先代シリーズの中でもめちゃめちゃ大人気だったアルティマソリッドもブラックカラーでした。
これは非常に広いボウラー層に受け入れられるのではないでしょうか。
【コア】
Modified Ultima。
ニューコアです。インファマスにも使用された「マルチデンシティーコア」という構造です。
あと、対称コアですね。
対称コアといっても最近の対称コアは複雑なデザインや高度な構造のものも多く、メーカーの研究レベルの高さを感じます。
【所感】
ウルトラスーパー優等生ボールです。
強いリアクションでありながら万能で扱いやすく、プロアマ問わず非常に多くのボウラーに愛された先代アルティマソリッドのようです。
・スキッドは実に素直に走る印象です。
過剰に強い転がりは無く、それでもオイルに流されるような雰囲気もなく、短くも長くもない感じです。
スキッド後半は柔らかいブレーキ感なので、見方によっては思ったより走るようにも見えます。
・ブレーキ感は上に書いた通り柔らかくスムーズな印象です。
それでも止まるか流されるか不安な感じは無く、柔らかいですがちゃんと止まって向きを変えてくれます。
・バックエンドもあくまでスムーズですが、カドが取れた動きの中にもシャープさと加速感を感じ取れます。
動き幅も充分にあります。ワイドなラインを取っても戻り幅が不足したりはしなさそうです。
めっちゃ曲がるというわけではなく、大きく曲げても失速感が出にくかったりや持続性の不足を感じにくいという意味です。
・オイルへの強さは特別に強いとか弱いとかは無く、ミディアムからオイリーまで、ちょっとオイルを感じる時間帯で幅広く使えるような強さです。
基本的に転がりは強く全体の動きに不安定な要素はありません。
バックエンドはややシャープでソリッドカバーとしてはしっかり動いてくれる印象ですが、ドライエリアでの挙動やブレーキ感をはじめとする動き出しの安定感やスムーズさはソリッドカバーの良さが出ている部分です。
フレア幅は非常に広いですね。ガスマスクコアくらいあります。
ナローポイントが狭いのも滑り感が無い安定したキャッチに繋がっているんでしょうね。
【インファマスとの比較】
まず、ソリッドカバー×対称コアというカテゴリの比較対象としてインファマス。
インファマスは高慣性中~高デファレンシャルのいかにも走ってキレそうなコアに強いソリッドカバーのボール。
強いソリッドにもかかわらずスキッド後半から加速する転がりによって非常に強くはっきりとしたバックエンドが特長でした。
インファマスに比べてアルティマブラックは
・スキッドは短い。ボール1〜2個分程。
・ブレーキは適度に柔らかく、しっかり止まるインファマスとは対照的。
・バックエンドは加速感が強い点は共通しますがアルティマの方がスムーズなイメージ。
・オイルへの強さはアルティマの方が僅かに強いです。コアの転がり特性によるものですね。
・曲がり幅はフレッシュなレーン状況では同じくらいですかね。ただ、オイル上の安定感はアルティマが上なので多くの場面でインファマスより安定して大き目の曲がり幅が得られそうです。
インファマスがかなり特徴的な性能のボールで、それに比べるとアルティマはバランスが取れた特性かと思います。
オイルへの強さ等の大まかな用途に関わる点に関しては大きな差は無いですが、アルティマの方が手前の転がりが強くオイルに流されにくい点は安定性や汎用性で優っています。
インファマスはソリッドとしては長めで直線的なスキッドと、ドライエリアに触れてからの強いトラクションと大きな曲がり角度が優れています。
万能性はアルティマ、アグレッシブさはインファマスです。
例えばストローカータイプのボウラーで先の動きでレーンを読むタイプや先の曲がりがしっかり見えた方が良いならインファマスが向くかもしれません。
同じストローカーでも手前を見るタイプやオイルの横の境目を沿わせて安定させるならアルティマです。
一例なのでこの限りではないですが。
というわけでインファマスとの比較は対照的な軌道イメージの差が大きく出ました。
【ブラックウィドーレジェンドとの比較】
次は、表面仕上げがポリッシュの同じカバー×ガスマスクコアのBWレジェンドとの比較です。
これは同カバーというだけであまり参考にならないかもしれませんが、人気のボールとの比較なのでインファマスよりBWレジェンドの方が参考にしやすい人もいるかなと。
BWレジェンドに比べてアルティマは
・スキッドは短い。インファマスと同じくらいの違い。
・ブレーキ感は柔らかい。レジェンドはインファマスと同じくしっかり止まります。
・バックエンドは加速感は共通してありますが、レジェンドの方が遥かに大きく鋭く動きます。曲がり角度も大きいです。
・オイルへの強さはほとんど同じくらいですが、レジェンドはポリッシュ仕上げの分流され気味な場面もあります。
・曲がり幅としては、立ち位置はレジェンドの方が4枚くらいインサイドに立つ感じなのでレジェンドの方が大きいですね。
レジェンドの方がメリハリがあり、鋭く大きく曲がります。
やはりアルティマはバランスが取れてて万能性が目立ちます。
ポリッシュ仕上げのレジェンドはスキッドの長さやバックエンドの動きの鋭さにと引き換えにアルティマに比べて安定性は劣る結果となりました。
でも表面仕上げはどうにでも出来る部分なので決定的な差とは言わなくてもいいかと。
多分決定的に違うのは曲がり幅という点になりそうです。
カバー、コア、表面、違う部分が多いと比較した結果の差の原因追及が複雑ですね。
ちなみにインファマスもBWレジェンドもアルティマに比べてアグレッシブという点が目立ちましたが、インファマスとレジェンドは何が違うのか。
これについても書きたいところですが、多分この脱線の仕方は絶対にしばらく本題に戻って来ないやつだと分かってるのであえて書きません。
一つだけ。インファマスのアグレッシブな様を「強いトラクション」という言葉を使い、BWレジェンドのアグレッシブな様を「鋭い」と表現してます。
インファマスは重く力強い軌道イメージで、BWは軽快で俊敏な軌道イメージだからです。
アグレッシブと一言で言っても色々ですね。
【用途・適正】
・僕は大体21mlくらい~30mlくらいまで、ミディアム~オイリーコンディションで使用します。
・多くの場合はアルティマがラインナップの一番上で使用出来ると思うんですが、もっと強いボールは存在します。
なのでアルティマをソリッドカバーのボールの中心的な位置付けと考え、オイルパターンによってアルティマに足りない性能を持つソリッドをラインナップに加えるような考え方も良いと思います。
例えばロングだったらアルティマの上にポラリスとか、
6:1とか7:1の外が止まる易しいパターンならアルティマの下にBWレジェンドとか、
勿論ソリッドは一番上にアルティマ1個だけでも。
だからラインナップでは一番上か2番目くらいの位置で活躍すると思います。
・タイトにもワイドにも攻める事が出来るので長時間の投球ができ、幅広いボウラータイプ・幅広い攻め方に対応します。
このボールが苦手な人っていないんじゃないですかね。
スムーズな動きではありますが、物足りなさを感じるようなユルさは無いですし、
対称コアですが加速感やシャープさがある動きで投げてて気持ち良いですし、
強いソリッドだからスピード不足に合わないかと言われればある意味その通りかもしれませんが、そう感じる殆どの場合スピード不足じゃなくオイル不足なだけでボウラータイプに合わないわけではないですし、
勿論スコアメイクにおいてもその万能性が非常に有効に働きます。
特にピンの絡みが非常に良く、ピンが横に飛ぶのでアンラッキーな8番ピンや9番ピンのタップが少ないです。
決定的に合わないタイプが思いつきません。
だから最初に言ったじゃないですか、ウルトラスーパー優等生って。
【総括】
万能性の高さが際立ち、そのバランスの取れた動きの中にもシャープさがあります。
これは非常に多くのボウラーに好評頂けるボールと自信を持ってお勧めできます。
「アルティマ」の名を使うに相応しいパフォーマンスです。