『フリー ~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 』(クリス・アンダーソン 著, 小林弘人 監修, 高橋則明 訳、日本放送出版協会 刊) をよんだ。

 

 「無料」であるということの効果はおそろしい。価格が100円でもついていれば、その品物やサービスを買うことについて、かならず消費者は是非を考える。しかし、無料であれば何も考えずに持って帰るし、利用をする。

 

 21世紀は、アトム(原子)からビット(電子データ)への転換の世紀であり、情報の流通コストが限りなくタダへと近づいていく。たとえば、新聞や雑誌、書籍といったものの印刷・流通コストが、ビットの情報で運ぶことによって限りなく無料に近づく・・・。ネット世代(30歳未満の世代を指すもよう・・)は、情報はタダであるとみなしている。

 

 つまり、フリーであることの効果をいかに活用するかが21世紀のビジネスモデルであるという・・・。

 

 ただし、フリーであることによって、いくつかの問題点も生ずる。無料駐車場によって道路の渋滞を引き起こす。無料に近いものとみなせる数々の財によって、ゴミを増やし、処理コストを生んでしまう。公共財をフリーにすると、フリーライダーを生んでしまう可能性がある・・・などなど。

 

 ネットビジネスで成功した事例でよくみられる、無料の巨大サービスサイトは、どのようにして収益を上げているのか。それはトラフィックと被リンクであるという。この二つは貨幣に交換しうるものであると、著者はいう。インターネットでビジネスを行ううえで、考えなければいけない視点について、多くの事例をあげながら論じている。

 

 ぜひご一読を。