開催報告「甲状腺ガン当事者の声に出会う会」と「命と希望の対話」 | フクシマンの福島リポート(郡山市)

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3.11以降放射能に汚染され福島は変わってしまいました。子供は自然で遊ぶことで成長してゆきますが原発は子供達から泥んこになって遊ぶ機会を奪ったのです。子供達に何がしてあげられるのか?もっと考えるために、福島を生きる、フクシマンが福島の今をリポートします。

 9月2日(土)「甲状腺ガン当事者の声とその背景に出会う会」

 9月3日(日)「いのちと希望の対話 ー命を削るのではなく、輝かせるには?ー」を連続開催しました。


 9月2日「甲状腺ガン当事者の声とその背景に出会う会」では、
 甲状腺ガンにかかられた大越良二さん(71)が、ご自身の闘病の記録と、病気の苦しみや大変さを、克明に伝えてくださいました。

  「大人の私ですら、闘病や、再発の不安と向き合うのはこんなに大変なのに、子どもたちはどんな思いをしているのだろう?」という大越さんの言葉が胸に響きました。

 また、厳しく不安な闘病の日々を支えてくれたのは、ほかの患者さんや、つながっている人たちだったと話して下さり、「つながる」ことの大切さを教えてくださいました。

 ご自身が病気に苦しみながら、他者への感謝の思いを語る、大越さんのお話は、聞く人の心を打ち、涙をにじませながら話に耳を傾ける姿が会場のあちこちで見られました。

 次にお話ししてくださった写真家の飛田晋秀さんは、甲状腺ガンにかかった子どもたちの取材を続けています。

 飛田さんは、今子供たちが直面している現実の重さを、お話しくださいました。

 肺に転移した子供や、大学を辞めざるを得なくなった子供たちがいることなど、想像以上に厳しい現実に子どもたちが直面していることが語られると、会場は深い悲しみに包まれました。

 飛田さんは、患者同士は、つながり、助け合いたいと思っているが、風評という無言の圧力におされ、横のつながりが広がらない現状も、教えてくださいました。

 大越さんが「つながること」の大切さを訴えて下さった直後に、患者同士がつながりやすくなる環境ではなく、むしろつながりにくくなる空気が社会的に醸成されていることがわかり、誰もが支援の必要性を感じ、何とかしなければと痛感しました。

 この日、当事者の話を聞きに来てくださった方は、わずか6名。

 主催者側の力不足もありますが、甲状腺がんに関する県内の関心の低さを実感し、当事者のためにもっとできることはないのだろうかと、身をよじるような煩悶を覚えました。

 一人でも多くの方に甲状腺ガン当事者の思いを聞いていくために、大越さんのお話と、飛田さんのお話を、後日動画で公開したいと思っています。

 準備が整いましたらご報告させていただきますので、是非ご覧ください。

ホームページ
https://openforumkoriyama.jimdo.com/ 


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   9月3日「いのちと希望の対話 ー命を削るのではなく、輝かせるには?ー」には、日曜日だったこともあり、たくさんの方が来てくださいました。

 

 集まった顔ぶれはバラエティーに富み、子育てをする普通のお母さんや、行政関係のお仕事をされていた方や、スクールカウンセラーの方や、高校教諭をされていた方や、幼稚園教諭や、保養の運営を続ける支援者など、様々な福島県民が来てくださいました。

 

 また、水俣病の被災地である熊本県や、イタイイタイ病の富山県から、(現地で当事者の声に向き合い続ける)熊大の教授や、富山大の准教授が来てくださり、貴重な水俣や富山の声も聞かせていただくことができました。

 

 行政関係のお仕事をされていた方が来てくださったおかげで、国民が被ばくのリスクにさらされた時に履行されるはずの原子力災害対策特別措置法が、3.11の後何故ことごとく無視されたのか?

 

 スピーディーの情報が公表されなかったことなど、福島県民を被ばくのリスクからまもるのではなく、逆にリスクにさらす施策が、何故行われたのか?

 

 その決定過程で何がおこっていたのか?貴重な声を聴くことができました。

 

 その根本原因にあるのは、「忖度」であることがわかり、「忖度」だらけの福島県(日本)の中で、私たちはどうやって命を輝かせて生きてゆけばよいのか?対話が深まってゆきました。

 

 やがて対話の中から、普通の日常のなかで、私たちひとり一人も「忖度」をしていなかったか?という自己への問いかけが生まれ、行政のトップだけでなく、私たち自身も「忖度」をしていたという気づきに至りました。

 

 「忖度」ではなく「対話」する。

 

 自分と異なる意見の人たちと「対話」し、多様な声が共存できる社会に近づくことが 命を輝かせることにつながるのかもしれないと、話し合いが深まってゆきました。

 

 こちらも一人でも多くの方に聞いていただきたい貴重な内容が話し合われましたので、対話を書き起こし、プライバシーに配慮した形で、後日記録をホームページで公開したいと思っております。

 

 スタッフが少なく、前回のオープンフォーラム3「復興」の開催報告のまとめもまだ作業途中のため、9月3日の対話記録の公開には、かなりの時間がかかりそうです。

 

 時間はかかりますが、一歩一歩作業を進めてゆきますので、どうかお待ちください。

 

 今回は、多くの方に2つの会の開催にご協力いただき、心より感謝しております。

 本当にありがとうございました。

 

郡山対話の会 池田雅之