カタツムリは、キライではない。
かといって、頬ずりするほど好きというわけでもない。
フランスではこの仲間をエスカルゴと称して食べる。
オイラは生のカキ貝が大好きだ。
でも、目の前のカタツムリをパクッと口に入れる勇気は今のところない。
もともと、ハマグリやアサリ、シジミの2枚貝と同じ貝であるが、ナメクジ同様巻き貝に分類される。
軟体動物の端くれで、たまたま陸に上がって肺呼吸するに至っただけのこと。
ナマコやホヤを最初に口にした先人たちを思えば、これなどはまだ可愛い方。
意外に美味だったら、大変なこった。
気をつけなければならないのは、寄生虫の宿主であること。
学生時代、山の沢で生きたザリガニを舌に感じた喜びは大きかった。
舌先で遊ぶつもりが、スルッと喉の奥に消えたサンサョウウオの卵の感触も忘れられない。
でも、やっぱりカタツムリは止めておこう。
寄生虫の影が目ん玉の奥に写るのは、甚だ気分が良くない。
でも、手に乗っけて遊ばせるぐらいのことはする。
動きは緩慢だが、写真のように精一杯触覚を伸ばし、粘液を出して移動する。
雨降り後、野菜の葉の上で散歩していることがある。
天気の良い朝は、白っぽい照りの様な筋が付いているから、夜中に這った跡が分かる。
これが、ナメクジだと親のカタキ同然になるのはどうしたことだろう。
そもそも、カタツムリから殻が無くなるという進化を辿ったから、ナメクジの方が格的には上のハズ。
にもかかわらず、カタツムリはペットにされても、ナメクジは踏んだり蹴ったり。
この差別の感情は思ったより激しい。
以前、キノコのナメコ菌を木株に接種したところ、せっかく出たナメコがナメクジに食われてしまった。
カタツムリは植物の葉を吸うことで食事するが、ナメクジは名の通りキノコをナメるのが大好き。
見つけ次第、クツ底でグリグリ踏みつぶすか、塩をたっぷりかけてやる。
保湿100%のカラダなので、あっという間に溶ける。
また、ビールの香りが大好きで飲んべなのだ。
一網打尽する際は、空き缶にビールを入れておくと朝には多数溺死している。
カタツムリもナメクジも雌雄同体。
ひとつの体の中に、卵子と精子の両方を持っている。
メンドウなくてイイヤと思うが、それが生き物の面白いところ。
必ず2匹が出会って愛を語り、互いに寄り添うというのだ。
オスとメスを兼ねているので、2匹で4つの性器官を持って接合する。
おまけに、たっぷり時間をかけるらしい。
それをエロいと感じて、何時間も面白く観察する人が生物学者となる。
ある意味、研究者というのはマニアックな世界に住んでいる人々を指す。
最近カタツムリのネバネバが、皮膚の再生を促すというので化粧品になった。
お隣の韓国では、粘液の効果をカタツムリクリームとして販売され、大人気とのこと。
そこで思いついたが仲間のナメクジ、使わない手はない。
いっそうのこと、生きてるヤツを顔パックとして這わしてみたらどうだろう。
こう書いて、嫌らしいイメージしか持たれないナメクジはやっぱり可哀想と思う。
でも、千人に一人ぐらいは手段を選ばない女性がいるかもしれない。
不老を求めた秦の始皇帝を笑ってはいけない。
女性の果敢な美へのあこがれと挑戦には心から敬服するばかりだ。
北海道にも、夏がやってきた!