夫の葬儀が終わって数日後、葬儀社の集金担当のようなおばちゃんが家に来た。
ベテランそうな、私より年配そうなその人は、私をみるなりこう言った。
「あら、まだお若い喪主さんね。再婚もあるかもだから、仏壇、本位牌は考えた方がいいわね」
ニコッっと笑って、サラッと言われたその一言は、夫を喪くしてまだ数日だったけど、
不思議と嫌な気はしなかった。
その後、夫の訃報を知った私のママ友の半分は、励ましのつもりだろうが
「今は、そんなこと考えられないかもだけど、いずれそのうちいい人が現れるから」というような事を言った。
そんな時も、嫌な気持ちにはならなかった。
どんな形であれ、先に希望のあるヴィジョンが想像できると、人は嬉しいのかも知れない。
さて、前回の続きの『恋バナ』ですが。
例の「詐欺引っかかりもどき事件」で、娘と私の立場が逆転したようなシュールな会話の中で
娘が私に言いました。
「でもさ、ママくらいの年代になると、職場も女性ばかり、ヨガくらいしか趣味も無しじゃ、まず出会いってものがないじゃない?
どうする? 中高年のマッチングアプリでもやってみる?」
「 あのさー、、、ふつう娘が母親にマッチングアプリ勧めんよね、、、」
昔から、娘はこんな感じである。 そんなちょっとぶっ飛んだ天真爛漫なところが、私は好きではあるが。
確かに学生でもない、それも訳あり中高年は出会い自体が少ないのだから、
そういうツールを利用して、選択肢を増やすのは合理的ではある。
合理的ではあるけれども………
実際にそれで知り合って再婚したり、そこまでじゃなくても幸せなカップルになったりしてる方々がいるのは知ってる。
でもやはり、アナログ人間の代表のような私には無理である。
ハードルが高すぎる。あらゆる意味で。
それをやるなら、明日インドに行ってガンジス川で沐浴しろと言われる方が簡単に実行できる気がする。
あくまでも、私個人の感覚だが、どうしてもどうしても『品定め』と『漁る』と言うワードが脳裡をよぎる。
ごめんなさい、私だけの感想ね。
昔、「ねるとん紅鯨団」という番組があったのを覚えている年代の方いますか?
とんねるずが司会をして若い男女の公開集団マッチングを楽しむ番組。
今の、テラスハウス的な?
それを真似したイベントを開催することになった企画会社に勤める友達に、
女性が足りないから数合わせ参加してと頼まれて、参加したことがあった。
15人対15人くらいだったかな。 もうね、気まずいこと気まずいこと…
その時の小っ恥ずかしさ、気まずさを30年以上経っても覚えてる
「たとえ、サクラでもこういうの無理だぁー」って思ったこと今もハッキリ覚えてる。
人には、向き不向きがある。 苦手なものに手を出すと碌なことがない。
それこそ、私のことだから、またしても変なのに引っかかりそうではないか
玉石混交すぎるマッチングアプリをするくらいなら、まだ結婚相談所の方が向いてる気がする。
とは言え、結婚、再婚を何が何でもしたい訳ではないのだった。
死別シングルの難しい所。 これまでもたくさんの人が書かれているように遺族年金の問題。
年金問題だけでなく、戸籍をどうこうするって言うのは、やはり、とっても大変なことなのだ。
第一、彼氏や恋人が欲しいと言うより、夫のように血は繋がってないけど、
気が置けなくて、自分をさらけ出せて、運命共同体の、夫に代わる存在が欲しいのだ。
そして、出会い方は極自然で、恋愛感情もちゃんと生まれて、プロセスを踏んで。。。。
ひゃあーーー 超自分勝手な妄想は広がる広がる。。。
妄想はこの辺にして、話を戻そう。
そういったあれこれに思いを巡らすうちに、自分のエネルギーの枯渇を感じ、面倒臭さを感じるようになる。
泣き暮らしていたところから、一つ進んで、この先を考えた時、寂しいだけの人生は嫌だ。
だからと言って、初婚の若い方達のようなガチの婚活や恋活はちょっと……
と、何とも中途半端な立ち位置に、はぁ〜〜〜…とため息をつく中高年は少なくないと思うのだが…。
これも超個人的主観だが、もし私が死別時点30代もしくは、40代前半だったら。。。
多分元気が回復したら、どこかの相談所に登録して真面目に婚活したような気がする。
だって、残り下手したら半世紀生きるかもなのですよ? 半世紀ですよ?
でも、50代の半ばだと、本当に微妙で中途半端。
老年ではないし、ミドルでもないような。
正しい50代の歩き方はどうなのーーー 誰か答えを教えてーーーって気分。
でも、そう、本当は自分が一番わかってる。
夫を喪くして以来、忘れてた感情。ときめいたりキュンキュンしたりすることをまだ諦めたくない自分がいたこと。
そのときめきは、恋愛だけに限らず、夢だったり、目標だったり…。
なので、今後は積極的恋活・婚活は無理でも、
消極的きゅん活をしていきたいと思っている。
『消極的なキュンキュン活動』
今後の自分の人生に彩りを与えてくれるキュンキュンするものを見つけようとしながら生きてく感じ。
どう? これくらいなら、やれそうでしょ?
私と一緒に「消極的きゅん活」しませんか?
ロマンス詐欺に注意しながらね

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