マサのデリバティブ日記

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為替デリバティブを中心にいろんなトピックスをとりあげたいと思います。 © 2014-2016 Masayasu Aikawa

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Loan

ときどき「金利ってなんですか?」と聞かれるときがあります。

「金利って、ほらっ!お金を貸したら、増えて戻ってくるでしょ。その増えた分のことだよ。」

確かにザックリ言ってそうなんですが、どうもシックリきません。
そもそも子供の頃からお金の貸し借りはダメって言われていましたし。。

ニュースをみても、どうして金利が大事なのかさえ、なかなか分かりにくいものです。

そこで、「金利ってそもそも何なのだろう?」 
今回は、そんな素朴な疑問から出発することにしましょうー☆


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お金って、財布の中に入れたままだと、百円玉はずーっと百円玉のままですよね。でも、これを1ヶ月間だけ友達に貸してみたらどうでしょう。

とっても律儀な友達は1ヶ月後に100円返してくれますよね。そして、多分、そのとき「ありがとう!たすかったよ」って感謝の言葉を言いながら、百円玉を渡してくれます。なんだか得した気分になりますよね。

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それじゃあ、今度は100万円を1年間知らない人に貸すことにしましょう。

本当に1年後に100万円戻ってくるのでしょうか?なんだかちょっと危険な香りがします。
たとえ100万円戻ってきたとしても、嬉しくもなんともない。それに相手からはお礼の言葉もないかも知れません。

そこで、もし1年後に120万円返しますと多く返ししてくれる人が現れたなら…。そんなに増えるなら貸してみてもいいかなー、って思いますよね。

それなんです!お金は貸せば増える!これこそが金利の本質なのです。

つまり、100万円から120万円に増えた分の20万円が利子で、これをパーセントで表示したもの(=20%)が「金利(Interest Rate)」ということになります。

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ちなみに、友達に貸し出した場合の金利は、”感謝の言葉”です。いわゆるプライスレスですね。

このお金の貸し借りなのですが、正式には「金銭消費貸借契約(Loan Agreement)」といいます。

その一方で、お金を貸す側にとっては、お金を貸して増やすというわけですから、”投資"や"運用”と同じにみえますね。つまり、お金の貸し手にとっては、国債や株式、ファンドに投資して収益を上げることと広い意味では同じというわけです。

実際に、これをビジネスモデルの中心に位置付けているのが「銀行」です。

銀行の伝統的なビジネスは、預金(「デポジット(Depsite)」)や短期金融市場(「マネー・マーケット(Money Market)」)を通して低い金利でお金を集めて、それを企業や個人に高い金利で貸し出して、その金利差(預貸スプレッド)から収益を稼ぐという、とてもシンプルな収益構造となっています。

例えば、預金金利1%(年率)で100億円を調達して、それを年率4%で企業に貸し出せば、差し引きの3%である3億円が毎年の収益となるのです。

もちろん、その預金やローンの管理に必要なコスト(ATMの運営など)、そしてローンの借り手が倒産すれば銀行は損失を被るわけですから、このビジネスも一筋縄ではいきません。それでも収益を生み出す仕組み自体はとてもシンプル。これで銀行経営が成り立っているということですから、驚きですね。

このことを”利ざやを稼ぐ”といいます。(カッコつける人は”キャリーで稼ぐ”といいますよね。)

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最後に、銀行の預金と貸出の比率、つまり預貸率(=貸出残高÷預金残高)をみてみましょう。

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(出典: 経済産業省 中小企業庁 2014年3月時点)

日本国内の銀行の預貸率は概ね65%程度です。1990年前後のバブル崩壊直前期は預貸率が100%を超えるオーバーローンの状態(120%程度)で、預金で足りない資金をマネーマーケットから調達し、企業や個人に貸し出していました。現在では預金過剰となり、残る35%の投資先として国内外の国債や株式などの有価証券で運用しています。

また、金融危機以降、米国でもバランスシート調整が進み、預貸率が80%程度となっています。預貸スプレッドは、日本で1.5%程度、米国で4%程度です。


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金利についてあまり関わりのない方も、なんとなくイメージができてきたのではないでしょうか。

さて、次回は金利のもっと大事な役割である、「時間と金利の関係」について少し詳しくみていくことにしましょう。


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20150409

前回、時価が為替デリバティブ・ビジネスの重要な局面で使われていることを紹介しました。

とくに、時価と取引条件を調整しながら契約の最終型が決められますので、将来数年間にも及ぶ為替リスクヘッジの決済レートや仕組債のクーポンレート、言い換えればリスクヘッジ効果やリタ
ーンが、時価の算定方法(=モデル)とマーケット・データに大きく左右されることになります。(もう一つのインプットである”市場で観測されないパラメータ”については、別のコラムでとりあげることになります。)



deriva_execution



そして、いったんモデルと取引条件が決まってしまえば、為替デリバティブ取引の時価は、為替スポットレートなどのマーケット・データの変化にともなって動くことになるのです。


そこで、今回は、為替市場で観測されるマーケット・データの特徴を一通りみていきながら、時価を見積もるうえで金利がとても重要な役割をもっているわけを探ってみましょう。


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まず、マーケット・データは大きく2種類に分けられます。”過去のデータ”と”未来のデータ”です。

”過去のデータ”は、為替スポットレートなどの過去の時系列データのことで、いわゆる「ヒストリカル・データ(Historical Data)」のことです。過去の観測時点での実績値ということになります。

一方の”未来のデータ”というのは、将来時点で実現されるデータが手に入るわけではなく、将来の情報が織り込まれた現在時点のマーケット・データのことを指しています。というのも、市場参加者たちが将来時点の市場動向に対する見通しをもって取引するために、それがマーケット指標に反映され、現在時点のデータは「フォワード・ルッキング・データ(Forward Looking Data)」として扱うことができるのです。

たとえば、1年満期のドル円為替スワップを現在取引するときに、市場参加者たちは現在入手可能な情報から1年後にドル円がどの程度の水準になるのかを見込んで取引します。もちろん、実際に1年後どうなるのかは分かりませんし、大抵の場合、ハズレます。それでも、市場参加者たちの形成するマーケット指標は、現在時点までのさまざまな情報とマーケットに対する将来動向を見据えた、とても貴重なデータといえます。

マーク・トゥ・モデルでは、このフォワード・ルッキング・データをインプットとすることで、取引の将来価値を適切に見積もるわけです。

forward_looking


ここで一つ注意しなければならないことがあります。”流動性(Liquidity)”です。

市場参加者が多く、常にアクティブに取引されているようなマーケットでは、将来動向に対する見通しが偏りなく反映され、洗練されたマーケット・データが観測されることでしょう。これを”流動性が高い”とか、”マーケットに厚みがある”とかいいます。

ここでフォーカスされているのは「市場流動性(Market Liquidity)」ですが、「資金流動性(Funding Liquidity)」など、流動性をいくつかのタイプに分類することができます。とても大事な概念ですので、これについては今後まとめて触れることになります。

でも逆に、一部の市場参加者だけが取引するようなマーケットの偏ったデータで時価を見積もっても、それって適正じゃないですよね?

やっぱり、いろんな業種の参加者たちがさまざまな条件の取引をおこなって形成されるアクティブなマーケットでなければ、時価の数字に対する信頼も低くなってしまうのです。

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ここまでの流れで、為替デリバティブの時価をマーク・トゥ・モデルするには、流動性の高いマーケット・データが必要になることが理解できたかと思います。

そこで、為替市場の流動性はどうでしょうか?

じつは、1年までの満期をもった為替スワップや通貨オプションの取引であれば、流動性は極めて高いといえるのですが、1年を超えた付近から極端に流動性は低くなっていきます。つまり、たとえメジャー通貨であっても、5年や10年などの長い満期をもった為替デリバティブの時価を見積もるために必要となる流動性の高い中長期のマーケット・データが手に入らないのです。

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まるで為替市場が深い霧に包まれているような状況ですが、それを補うために実務上は、為替の代わりに金利のマーケット・データを利用します。金利の世界では、10年程度の長い取引が比較的多く、流動性がそれなりに高いのです。

以下の
2014年6月末時点のOTCデリバティブ残高データをみてください。為替と金利で、年限に対するボリュームが大きく違っていることがわかるでしょう。
Source: BIS, "Statistical release OTC derivatives statistics at end-June 2014"

otc_outstanding


最終的には時価を計算するモデルで金利パリティを応用することになるのですが、どのように利用するのかについては今後徐々に明らかにしていきます。


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さて、次回からはいよいよ金利ワールドの仕組みをみていくことになります。楽しんでいきましょうー☆


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20150326

これから先も為替デリバティブのお話しを進めていきたいのですが、そのためには金利の世界にも、ちょっとだけ足を踏み入れてみる必要があります。

というのも、長期間にわたる為替デリバティブ取引の価値を見積もるためには、為替マーケットの情報だけ不十分で金利の助けが必要になるからです。
この取引価値というのは、いわゆる”時価”のことを指しています。そして、為替デリバティブを取引・管理し、そのビジネスを続けていくためには、どうしてもその”時価”が必要なのです。

☆1☆  どうして時価が為替デリバティブ・ビジネスで重要なのか?  ☆
☆2☆  どうして為替デリバティブが金利と深く関わっているのか?  ☆

今回から2回にわたって、この2つの疑問を出発点にして、時価と為替マーケットそして金利の関係を紐解きながら、金利ワールドへの糸口を探ってみることにしますー☆


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まずは、時価についてイメージを膨らませてみましょう。時価というのは、寿司屋などでお目にかかる時価と似ていて、今この瞬間の価値のことを指しています。これを金融工学では「現在価値(Present Value)」といったり、会計の世界では「公正価値(Fair Value)」といいます。

デリバティブ取引だけでなく、株式や債券などを含めたすべての金融商品は、各々の時価に基いてさまざまなオペレーションを行うのですが、時価といっても実務上は次のように大まかに3つのレベルに分類して捉えます。

Fair_Value_Hierarchy


※ この時価の分類方法(「公正価値ヒエラルキー(Fair Value Hierarchy)」といいます。)は、会計ルールのグローバル・スタンダードであるIFRS(国際財務報告基準、International Financial Reporting Standards)に示されていて、本来は時価を商品のインプットの流動性にしたがって、3つのレベルに分類して整理するものです。この詳細については別枠のコラムでご紹介しますが、ここではもう少しザックリと”時価”を捉えてみることにします。

まず、株式や国債などの場合は市場価格がありますから、それを時価とすることができます。これが最も透明性の高い時価であり、Lv1の「マーク・トゥ・マーケット(Mark-to-Market)」というものです。

次に、デリバティブや仕組債のような複雑な商品を考えます。この場合、一般的に市場価格がありませんので、Lv2とLv3のように、マーケットで見える類似商品の価格を利用して時価を見積もるか、プライシング・モデルを使って時価を計算することになります。ここでは、Lv2を「マーケット・アプローチ(Market Approach)」、Lv3を「マーク・トゥ・モデル(Mark-to-Model)」とよぶことにしましょう。

デリバティブはOTC取引ですので、その特徴の一つとして取引当事者間で柔軟に取引条件をカスタマイズできるというフレキシビリティの高さがあげられます。この特徴は、マーケットで同じような取引条件のものが流通しておらず、Lv1の市場価格はもとより、Lv2のマーケット・アプローチでは時価の算定が難しいことを意味しているのです。つまり、デリバティブではほとんどの場合、Lv3のマーク・トゥ・モデルで時価を見積もることになります。


そこで、デリバティブの世界で最も一般的な時価算定のアプローチであるマーク・トゥ・モデルの仕組みをみていくことにしましょう。

Pricing_Model


図で示されている通り、マーク・トゥ・モデルでは、①取引条件と②市場で観測されるパラメータ(「マーケット・データ(Market Data)」といいます。)と③市場で観測できないパラメータをインプットとして、金融機関独自の計算方法(これを「プライシング・モデル(Pricing Model)」もしくは単に”モデル”といいます。)によって時価が見積もられます。このモデル自体はブラック・ショールズ式であったり、複雑なシミュレーション・モデルであったりしますが、とりあえずは一つのブラック・ボックスとみなして考えることにします。

ところで、インプット・データには、とても重要な役割があります。まず、②は、為替スポットレートや為替フォワードレートなどのようなマーケットでみえるデータを指しています。一方、③は、金利と為替の相関などのようにマーケットではみえないパラメータを指していて、ここに一つ恣意性が入ることになります。そして、②のマーケット・データが時々刻々と動くことで時価もそれに応じて変化するわけです。つまり、時価のクオリティは、時価を左右するマーケット・データのクオリティにも強く関係していることがわかります。


最後に、どのような場面で時価が利用されているのかをみてみましょう。

Value_in_Business


  1. 取引条件の決定:為替デリバティブの経済効果を示す取引条件(通貨・金額・決済レート・決済日・取引期間など)は、取引の時価をゼロとするように調整して決定されます。(これを”ゼロコスト”といいましたね。)

  2. マーケットリスクのヘッジ:為替デリバティブ取引から発生するマーケットリスクをインターバンク市場でヘッジするためには、マーケットの変化が取引の時価に及ぼす影響を見積もる(つまり、取引のリスク量を計算する)必要があります。

  3. クレジットリスクの見極め:OTC取引では、取引相手の信用力に応じた与信管理を行うため、取引期間全体にわたって相手方の潜在的なクレジットリスク(これを「ポテンシャル・フューチャー・エクスポージャー(PFE、Potential Future Exposure)」といいます。)を見積もらなければなりません。

  4. 時価会計:時価会計を採用する金融機関や上場企業では、財務諸表に為替デリバティブ取引の時価を適切に反映する必要があります。

  5. 規制対応:自己資本比率やレベレッジ比率などレギュレーターから求められる規制指標を時価に基づいて計算し、公表しなければなりません。


このように、時価はビジネス上のとても重要な局面で利用されています。そのため、当然のことながら、時価はできるだけ客観的な方法で評価されなければなりません。金融機関が恣意的なパラメータを適用していたり、都合の良いモデルを使って時価を算定していたのでは、さまざまなトラブルが生じるためです。その意味では、時価の算定方法(インプット・データとモデルのセット)は為替デリバティブを進めるうえで、とても本質的な位置付けにあると考えてよいでしょう。


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次回は、為替デリバティブの取引時価を見積もるうえで、どうして金利が重要な役割を担っているのか?その点にフォーカスしてみましょう!

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