四国霊場第八十一番札所白峯寺と崇徳上皇について | 石川鏡介の旅ブログ

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 四国霊場第八十一番札所の白峯寺に到着しました。

 お寺の紹介は、以前に詳しく書きましたので、ここでは割愛させていただきます。

 雨の中、境内に入り、まず、本堂を目指しました。さすがに参詣者は少なかったです。

 山の中の札所ですから、平たんではありません。曲がり路、石段などあり、息を切らして本堂へ。

 傘を置いて、ローソク、線香に火をつけます。納め札を「納め札入れ」に入れ、お賽銭をあげ、経本を取り出してお経を唱えます。それが基本です。

 続いて大師堂へ。本堂の時と同様のやりかたでお参りします。

 雨が降っているとはいえ、ずっと歩いてきたので、自分のペースでお参りできます。これがタクシーに乗っていて門前にタクシーを待たせていたら、そうはいかなかったかもしれません。また、団体でのお参りだったら、「自分のペース」というわけにはいきません。

 境内をゆっくり歩きます。

 白峯寺といえば崇徳上皇の御陵がある御寺です。平安末期の動乱の時代と、崇徳上皇の生涯について考えざるを得ません。

 長い平安時代にあって、さまざまな権力闘争や政変、小競り合いなどは、繰り返し繰り返し起こりましたが、京の都の中での激しい戦はなかったといっていい。平将門の乱や前九年の役などは地方で起こったこと。京の都に血の雨を降らせた「保元の乱」は、当時の人々に大きな衝撃を与えたと思われます。

 白河法皇と鳥羽院や、その女性関係をめぐる激しい愛憎。ご皇室内の後継者を巡る思惑と暗闘。鳥羽院と崇徳上皇の父子関係。崇徳上皇と後白河の対立。それらに摂関家の藤原氏の一族内の後継者争いがからみ、藤原氏内部の権力闘争が武家を巻き込み、源氏や平氏の争い、はたまた源氏は源氏内の、平氏は平氏内の争いもあり、じつにさまざまな争いがからみあって、どうにもならない状況となって、沸点に達した。それが「保元の乱」です。

 敗れたのは崇徳上皇側。争いの元凶といってもいい藤原頼長は敗死。上皇側についた源為義や平忠正らは斬首。源為朝は伊豆大島へ流罪。そして崇徳上皇は剃髪・出家したが、それで許されることなく、讃岐の国へ配流となった。

 京と讃岐では、気候も風土も違い過ぎる。瀬戸内海を渡って讃岐の山々を見た時の崇徳院の心境はどのようなものであったか。

 やがて、讃岐の配所にて、崇徳院は写経にはげむようになる。五部の大乗経典書写により、乱の謝罪と、戦死者供養と、国の安寧を祈願したということらしい。

 しかし、その写経を京へ送ったところ、後白河の側は「呪詛が込められているのでは」といって送り返して崇徳院の願いを全く受け付けなかったという。

 そこから崇徳院の怨霊伝説が始まる。

 しかし、本当に、崇徳院は怨霊になるほどの気性の激しい、恨み深い御方だったのだろうか?

 初めから、呪詛などしていたのだろうか。いや、そうではないと、私には思えてならないのだが。

 怨霊というのは、恨まれていると思っている人の心に棲みつくのではないか。

 崇徳院は、自分の弟(後白河)を殺せ、などと思って乱を始めたのではなく、それこそどうにもならない大きな渦に巻き込まれるような形で乱の旗頭となり、「勝てば官軍、負ければ賊軍」の言葉のように賊扱いされ、出家しても許されずに讃岐へ流されたのではないか、と思う。

 そうして、そんな自分の悲運に嘆き悲しみながらも、乱の旗頭となったことを心より反省し、その謝罪の気持ちと、死者への供養と、自分の子の行く末への祈りの為に、衷心からの写経を行なったのではないか。

 ところが、勝った側は、そうは思わない。権力闘争渦巻く都に生き続け、勝者となった側だ。相手がいる限りまた争いが起こると思ったろうし、写経も呪詛だろうと考えた。それだけ、都の「殿上人」にとっては、呪詛が当たり前に行われていたのだ。

 しかし、崇徳院側が呪詛など思わず、心からの祈りで反省と供養と国の平安への祈りとを写経に込めたのだとしたら?

 切なる祈りを踏みにじられたら、その人の心はどうなるのだろう? 

 初めから、怨念を込めた呪詛の写経であったなら、弟(後白河)や信西から「呪詛だろう」と言われても「ちっ、見抜かれたか」で終わったかもしれないが、もともと悪意がなく心を込めた純粋な気持ちからの祈りで、それが全く聞き入れてもらえず、「呪詛」などと最悪の捉え方をされたら、怨霊となるのも当然なのではないか?

 そんなことも考えました。

 崇徳院は、もともとは心優しい御方だったのではないか?

 だからこそ、崩御の後に西行法師がっ讃岐の白峯の御陵を訪れたのではないか?

 そう思うと、世の中で恐ろしいのは、他者の衷心からの願いを理解できない人間のこころではないか? と感じられるのです。

 

 

 


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