石川鏡介の旅ブログ

古寺名刹、神社、城跡、名所旧跡。さまざまな旅の思い出を綴ります。


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 四国八十八か所の第十九番札所は立江寺(たつえじ)といいます。正式には橋池山摩尼院立江寺といい、宗派は高野山真言宗で、別格本山、本尊は延命地蔵菩薩、開基は天武天皇で、所在地は徳島県小松島市立江町若松十三番地です。


 

 十八番札所の恩山寺から南東へ、五キロ弱の距離で、JR四国の牟岐線の立江駅にも近い、町の中のお寺です。

 駅から近いということは、公共交通機関を中心にお寺をまわる者にとってはたいへん便利なところだということです。ただし、恩山寺は駅のすぐ近くではないので、結局、順番通りにまわろうとすれば歩いて行くべきなのです。


 

 クルマでまわる場合、恩山寺から立江寺までの近道は住宅街のかなり狭く曲がりくねったところを通るので、かなり窮屈で不便に感じることでしょう。

 一九九九年の八月に初めて訪れた時も、今年(二〇一二年)の五月下旬に訪れた時も、私は歩いて行きました。一九九九年の時は同行者が二人いましたが、この前(二〇一二年)の五月下旬の時は一人でした。


 

 この立江寺は、四国八十八か所に四つある「関所寺」の一つとされ、その四つのなかでもとくに重要な所だといわれています。

 関所寺とはなんなのでしょうか。東日本でしたら、箱根の関所とか小仏の関所、白河の関、勿来の関、西日本でしたら逢坂の関とか鈴鹿、不破の関など有名ですが、そのように関所が設けられて役人が詰めて通行人を検めている、というわけではありません。邪悪な人間は先に進めない、という言い伝えがあるからで、仏・菩薩が目を光らせて邪悪な者の通行を許さないとされているから、まさに関所が設けられているようなものなので「関所寺」といわれているのです。

 それを象徴するような逸話があります。

 むかしむかし、石見国(今の島根県西部)の浜田城下に桜屋銀兵衛という商人がいて、その銀兵衛の娘にお京という女がいました。お京は大坂に出て芸妓をしていたが、要助という男と結ばれ夫婦になり、要助とともに故郷の石見で暮らし始めました。

 ところが、もともと派手好きで浮気性の女だったのか、要助がだらしのない男だったのか、あるいはその両方だったのか、たちまち不仲になり、お京は鍛冶屋長蔵という男とデキてしまった。今でいう不倫の恋というわけです。狭い城下ということもあり、たちまち人の噂にのぼって要助にバレてしまったのでしょう。「この浮気女め!」とお京は夫の要助に責められました。しかしそれで黙って恐れ入るお京ではありません。逆ギレして、間男の長蔵をそそのかし、夫の要助を殺してしまいました。

 こうなると、お京も長蔵も石見国には住めません。二人で手を取り合い、四国へ渡り、丸亀で生活を始めました。が、このまま平穏無事では悪因悪果の因縁話になりません。夫殺しの罪人ということで追われるようになったのか、要助の怨霊に悩まされたのか、お京と長蔵の二人は四国八十八か所巡りを始めます。

 そして立江寺にたどり着き、本堂前にぬかづき、合掌しようとすると、お京の髪の毛が逆立ち、天上の何者かに引っ張り上げられるかのように上へ上へと持ち上がって行きます。愕然としているうちに髪の毛は本堂前に垂れている太い鉦に巻き上げられ、からみつきました。

 女の悲鳴が境内にこだまし、長蔵が慌てふためき助けを呼びました。長蔵は住職を呼び事の次第を述べます。ありえないような出来事に驚きながらも住職はお京に尋ねました。本尊様の前でこのようなことが起こるのはよくよくのことだ、何か心あたりは無いか、と。お京は夫の要助を殺して駆け落ちで四国に渡ったことを住職に話し、懺悔しました。

 お京の懺悔が終わると、巻き上げられていたお京の髪の毛と頭皮が抜け落ち、お京は助かりました。その後、お京・長蔵は逃避行を終え、立江寺近くに庵を構え、仏道修行にはげんだ、ということです。


 

 そのお京の黒髪は今でも境内の一角の「黒髪堂」という小堂の中にあり、怪談が事実だったことを示しています。

(2012年6月21日の「石川鏡介のブログ」の記事を再編集)

 

 

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