" MONDO CANE "
監督 グァルティエロ・ヤコペッティ
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この映画の中のシーンは
すべて真実である。
目を背けたくなるような
シーンがあったとしても
この地球上で現実に
起こったことである。
ジャーナリストの使命は
真実をオブラートに
包むことなく
客観的に伝えることである。
檻に放り込まれる犬
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男を追いかける トロブリアンド諸島キリウィナ島の女性
野生の果物が たわわに実り 誰も働かない
捕まった男は 女たちと子作りを強いられる
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ニューギニアのチンブー族
耕作の習慣がないので貧しい
5年に一度祭りが行われ
5年間 飼育した何百匹もの豚を 3日3晩で食べ尽くす
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アメリカでの愛犬熱は度が過ぎる
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台北では犬は食用に飼育され
伝統料理になり食通を楽しませる
チャウチャウが最も好まれる
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フォアグラの産地 ストラスブール
毎年50万羽以上のガチョウが
喉に管を突っ込まれ 無理やり エサを与えられる
ガチョウを栄養過多にして 肝臓を肥大させる
1回のエサの量は 普通のガチョウの1週間分
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日本の 畜産場では 肉を柔らかくするため
仔牛は1日6ℓのビールを飲まされる
ハンブルクでは
ビールを飲んで死を忘れる
いずれ来る死の不安より今の喜び
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ビスマルク諸島のタバール島では
部族で一番の美人をオリに閉じ込め 太らせる
最低120kgになるまでタピオカを食べさせる
タピオカはデンプン質なので 太らせる効果絶大
それから村の独裁者に妻として差し出される
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10年前に最後の原爆実験が行われた
ビキニ環礁の近くでは
死んだチョウが列をなして海に浮かぶ
卵を温める期間だけ 地下の巣穴に入る鳥は
そのまま地中で暮らすようになった
カモメの卵は産み落とされる前に死んでいた
海ガメは方向感覚を破壊され
産卵後海に帰れなくなった
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マレーシア諸島の先住民は 海葬する習慣がある
葬式の行われる夜になると 肉目当てにサメがやって来る
村の人々にとっては サメ漁も 生活手段のひとつ
乾燥させたヒレは強い媚薬効果があるとされ高く売れる
この村では 片足 片腕を失うことは 珍しくない
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東京に住む男性はリフレッシュのため
東京温泉に やって来る
ブラとショートパンツの若い女性が
体を洗ったり サービスしたりしてくれる
1000万人が住む東京では
600万人の女性が400万人の男性の世話を務めている
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中国では葬式にあの世に届くけと お札を焼く
中国では死後の世界でも 幸せは富だと思っている
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シンガポールでは
人口の2/3以上は中国系
彼らが金儲け以外のことで体を動かすのは
食卓とベッドだけで 多くの婚外子をもうける
年寄りは施設に入れ
早く死ね と祈願しつつ家族はその時を今や遅しと待つ
葬式には豪華な食事が待っている
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などなど
世界には不思議な風習が色々・・・
原題は“犬の世界”
邦題は
少し前にヒットした「 青春残酷物語 」
にあやかって つけられた
嫌がる牛に無理やりビールを飲ませるとか
残酷なシーンもあるが
残酷だけにこだわった映画ではない
ドキュメンタリー と謳ってはいるが
実際には演出や やらせ
捏造された題材が多数含れ
この作品以降
怪しいドキュメンタリー映画を
モンド映画と呼ぶようになる
1962年 イタリア映画 108分
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